シーソーモンスター (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 1403
レビュー : 165
  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120051821

作品紹介・あらすじ

出会ってはいけない二人が出会ったとき、世界の均衡は崩れ、物語は暴走する――

【時代をまたいで疾走する、エンターテインメント小説2篇!】

我が家の嫁姑の争いは、米ソ冷戦よりも恐ろしい……。
バブルに浮かれる昭和後期の日本。ある日、嫁は姑の過去に大きな疑念を抱くようになる。(「シーソーモンスター」)

突然、僕は巻き込まれてしまった。時空を越えた争いに――。
舞台は2050年の日本。ある天才エンジニアが遺した手紙を手に、死んだ男の元同僚と配達人が見えない敵の暴走を前に奮闘する!(「スピンモンスター」)

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの伊坂さんはやっぱり面白かった。
    ページをめくる手が止まらなかった。
    だから晩ごはんを作るのが遅くなった。

    嫁姑問題なんだと思って読み進めたら、なんか嫁が凄い事になってるし。
    そしたら最後にはもっと意外な事になるし。
    まさかだったな~

    そこからだいぶ未来のスピンモンスター。
    嫁が絵本作家として再登場。
    内容はガラッと変わるんだけど、基本テーマは一緒みたいな。
    最後はどうなるんだろう?とハラハラした。

    とにかく面白かったです。

  • かなり大詰めのところでお米が炊き上がりそうになって、ああ、どうしてこんなタイミングで、と嘆きながらも自炊をはじめ、そうしたらわたしの頭の中でその先の物語がどんどん膨れ上がっていって、嫌だそんなの嫌だ、そんなわけない、と頭を振ったり目をつぶったり、包丁を持つ手がおぼつかない。手が、身体がかくかくと、震え始める。
    さあ、ご飯ができたぞ、早く食べて続きを、と思ったところで楽しみにしていたラレジエーションハウスが始まりそうになって、ああ、どうしてこのタイミングで、と嘆きながらもラジエーションハウスが始まったら一気に夢中になって、そうしたら今度はドラマの合間の車のCMで自動運転がなされていて、気持ちはすぐに物語へ戻る。
    で、結局ラストは想像と違ったわけだけれど。

    伊坂先生の呼びかけで始まったという「螺旋プロジェクト」。伊坂先生の新刊(本作品)が出版されるのは知っていたし、この企画を知ったのは朝井さんの作品に触れている時だったのだけれど、本当にちょうどいいタイミングで朝井さんの作品を読み終え、本作品を購入したので、続けて読んでみました。
    またしても一気読みで読了。いつも、主人公が追い込まれて追い込まれて追い込まれた時の、あの緊張感と臨場感は、息をすることすら忘れるくらい。
    伊坂先生の作品に出てくる女性は、いつも強い。女性に対する敬意のようなものが感じられて、結構好きです。今回は、綾瀬はるか、でしょうか。そして、平凡な日常を送る平凡な男性主人公、といえばやはり濱田岳がしっくりきます。
    「シーソーモンスター」:本作品では螺旋プロジェクトが背景にあるから、海とか山とか、そうしたことでの対立として描かれているけれど、実際問題、自分と似ているからこそ、相手の反応の裏とかまで全部わかってしまって、イライラして、でも距離を置くととても心地よく関われるっていうこと、あるなーと思いました。そして夫婦愛に癒された。
    「スピンモンスター」:モダンタイムスを読んだ時に感じたような、空恐ろしさがありました。LINEに疲れてガラケーにした、という大学生のインタビューを見たことがあって、もう片足突っ込んでるな、みたいな。大切なデータがハッキングで見つかるより、紙に書いて分厚い本に挟んだ方が見つからない気がする。結局、便利さというのは代わりに個人情報を差し出すようなもので、それが進むと、個人情報が裸で歩きまわる、監視社会となる。それで結局また、アナログに立ち返る。

    伏線回収は今回もお見事ですが、一点、どうしてもわからなかったところがありました。ここからは物語の核心にふれるので、読もうとしている方は絶対に、絶対に読まないでください!
    さて、その疑問点というのが。中尊寺敦がしていた人体実験、つまりは水戸の眼に埋め込まれたカメラなんですけど、あれって、水戸が遭った事故のあとに運び込まれた病院で埋め込まれたわけですよね?ということは、その事故に遭った時にはまだカメラは埋め込まれていなかったわけで、どうして水戸はデータセンターで事故の場面を確認することができたんだろう、って。この疑問だけがずっとぐるぐるしていて。本当は水戸が檜山で、その光景は檜山のものなのか!?とも思ったのですが、どうやらそれも違いますよね。
    お分かりになる方は、教えていただけたら幸いです。

  • 昭和の終わりが舞台の「シーソーモンスター」と近未来の「スピンモンスター」2編。螺旋プロジェクトのもの。
    シーソーモンスター
    元スパイの妻は姑と仲が悪い。これは相性の問題なのか(山の人間? 海の人間?)。義父は事故死、その事件に関係する浮浪者もその後、亡くなっており妻は義母に疑いを持つ。昔のスパイ機関より情報を求め真相を探る中、夫が誘拐されてしまう。すべての真相は、そして姑との戦争はどうなるのか。
    スピンモンスター
    人工知能が発達し幅を利かせている2050年。E-mailではなく、情報が残らない手紙を運ぶ仕事をする水戸。移動中の新幹線で隣に座る男より突然、もうすでに報酬は入金してあるとも言われ、依頼を受ける。しかし、それが大事件となって水戸に降りかかる。人工知能の破壊に関わる内容であった。水戸は子供の頃、車の旅行中に事故で家族を失っている。その事故で水戸同様家族を失った檜山。山の人間と海の人間か。檜山は正義感ある警察官であり、水戸を追い詰める。
    伊坂さん独特の会話の面白さで、あっという間に読み終えました、面白かったね。しかし、登場人物の魅力にややかけるような気もするけれど、それじゃ螺旋プロジェクトの一部のせいかもしれんね。個別に楽しめるようだけれど、螺旋の全部を読んでどうつながっているのか味わいたいです。しかし、うまくまとめているなあ。人と人との対立の物語かなあ。スピン〜の方はこんな未来になっちゃうのかなと怖い気もしながら読みました。

  • 嫁姑の対立をえがく家庭ものかと思いきや、話は思わぬ方向へ。
    意表をつく展開の「シーソーモンスター」が、たのしかった。
    日常に侵入してくる、非日常なトラブル。
    ぶれない姑への対抗心と、宮子のもうひとつの顔のギャップが、おもしろい。
    事実でない情報が独り歩きし、権力や世間から追い詰められていく「スピンモンスター」は、筆者らしい展開。
    こちらでも、宮子の活躍がたのしい。

    『小説BOC』螺旋プロジェクトの1冊だけれど、単体の小説として成立している。
    におわせるものはたくさんあり、ほかも読んだ方がより深く楽しめそう。

  • 昭和のバブル期。嫁姑の対立。そこから展開されていくもの。人と人との対立やそれをそばで見ている人の思い。思わぬ方向に進む物語で緊迫した空気が張り詰めたりもするけれど、そんな時にもユーモアがあるところがいい。嫁姑問題から広がりを見せ命に関わる出来事にどんどん巻き込まれていく。その日常のなかに入り込んだ非日常の面白さがある。昭和のバブル期から2050年の近未来へ舞台は変わる『スピンモンスター』。時代は変わっても対立はあり、人々を動かし混乱させているのは変わらない。時代が進み、人とテクノロジーの共存、便利さ、恐怖。人を脅かすものと、それでも人からは奪えないもの。人がつなげてきたものと、そのなかで対立しだしたもの。そういう構図が面白い。『シーソーモンスター』から続くもの、つながっているもの。未来を思うと悲観的にもなるけれど伊坂さんの作品を読むとそんなこともないんじゃないかという気にもさせてくれる。

  • 一話目の方が好き。飄々とした一般人が実は、という伊坂ワールドが心地よい。この話だけで一冊あってもよかったくらいの満足度。二話目も悪くないけど長い割には結末ががウーンという感じ。

  • 対立がテーマの二編。嫁姑の編と同級生の編とで、時代も対立する理由も全然違うのに伏線とその回収があっておもしろかった。
    対立がテーマだけあってスリルのある展開。久しぶりにハラハラドキドキした。先が気になって早く読みたいあまり4、5行読み飛ばして「あれ?」と思って戻って、というのを何度かしてしまった。

  • 6.昭和後期、8.近未来
    井坂の新作だから読んだんだけど、プロジェクトのようなのでそちらに分別。
    「シーソーモンスター」
    バブルな頃。宮子さんは新幹線で偶然隣になった男を良いと思い、近づき結婚。嫁姑の話かと思えば、嫁も姑もスパイを仕事にしてたことがあったのよ。
    海も山も勝たなかった。
    「スピンモンスター」
    情報操作とか、監視カメラとか、井坂ではよく出てくる設定。音楽絡ませるとか、もういいですって感じなんだけれど。目に埋めるカメラはすごいね。謎解きにも、物語の終了にも効いてくる。
    90になった宮子さんが出てきてほっとする。姑とともに、絵本作家になってたし、男の子もできたみたいだし。
    山が勝ったのかな。

  • 「シーソーモンスター」
    面白企画。


    まず、螺旋プロジェクトについて話さねばならない。螺旋プロジェクトとは「小説BOC」1~10号に渡って連載された作家8組による文芸競作企画である。古代から未来まで日本で起こる「海族」と「山族」の闘いを描くと言うテーマを持ち、それぞれが小説を書くと言う一風変わった試みで、「シーソーモンスター」は近未来を舞台にした、朝井リョウ「死にがいを求めて生きているの」に続く螺旋プロジェクト第2作となる。



    螺旋プロジェクトに参加する作家は3つのルールを遵守する。


    ルール1:「海族」と「山族」、2つの種族の対立構造を描く
    ルール2:全ての作品に同じ「隠れキャラクター」を登場させる
    ルール3:任意で登場させられる共通アイテムが複数ある


    というもの。ルール1を見破ることは可能だが、ルール2&3に気づくのはなかなか難易度が高そうであるが、読者を惹くフックとしてはなかなか興味深い。


    さて「シーソーモンスター」なのだが、近未来をテーマにしているものの、始まりは昭和後期の平凡だが平和に暮らしていた夫婦を襲った危機である。この危機を乗り切った夫婦に導かれた1人の手紙配達人を巻き込む事件が、2050年に勃発する(こちらはスピンモンスター)。


    ちょっと気弱だが正義感はある。が、おっちょこちょいで鈍感な男は、たびたび伊坂幸太郎作品に登場すると記憶しているが、実はその男はなんでも知っているといった秘密兵器に近いストロングポイントがあるわけでもなく、ただただ平凡な男であり、実は秘密兵器ならぬ最強兵器はその妻であった、と言う組み合わせも馴染み深い。更に、2050年後に登場するキーマンであるが、この男ももはや顔なじみキャラに近い雰囲気を醸す。ああ、あいつみたいな奴ね、と合点しちゃうくらいの馴染み感。伊坂幸太郎の味が染みてる。


    海族と山族の対立が齎す結末はちょっと予想外。スピンモンスターの中盤までが醸し出すいつもの味から一転、こんな形になるとは。


    水戸直正を想うと辛いものがあり、彼に課せられた試練の結末には謎がたっぷり残ったなと率直に感じた。いつもは作品により形は違えど余韻が残るが、こんな謎残しは、伊坂幸太郎では久々な気がする。やはり、螺旋シリーズが関係してるのだろう。

  • 螺旋プロジェクト、の一冊。正確には2編入っている。

    ★昭和後期舞台の「シーソーモンスター」
    米ソ冷戦は終結に向かうが嫁姑の冷戦は激化。
    実は双方ともに元スパイ。
    夫は医薬品メーカーの営業でバブルに踊る病院経営者の悪事に気がついてしまったために命を狙われる。
    そこで嫁姑が大切な夫・息子のために力を合わせて戦う。
    妻は海族、姑は山族で相容れない関係(夫・息子は実は養子)

    ★近未来舞台の「スピンモンスター」
    人工知能ウェレカセリの開発者・寺島が死に際に残した手紙を中尊寺に届けることになった運び屋・水戸。
    そこにはウェレカセリを消すためのコードが隠されていたため、二人はウェレカセリに追われることになる。
    水戸は幼少時に自動運転の車同士の交通事故で家族を亡くしていたが、相手方の車の生き残り檜山は後に同級生となり、体制側として水戸たちを追う一人でもある。
    水戸は海族、檜山は山族。
    二人の逃亡を助ける絵本作家の老女は実はシーソーモンスターの嫁。
    逃げる過程で水戸は過去の記憶が自らによって都合の良いように改竄されていたことに気づく。
    水戸は檜山に撃たれ植物人間同様となる。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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