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Amazon.co.jp ・本 (376ページ) / ISBN・EAN: 9784120051920
作品紹介・あらすじ
灼熱の夏、23歳の母・蓮音は、
なぜ幼な子二人をマンションに置き去りにしたのか。
真に罪深いのは誰なのか。
あの痛ましい事件に山田詠美が挑む。
虐げられる者たちの心理を深く掘り下げて、日経新聞連載時から話題を呼んだ、迫真の長編小説
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
重いテーマを扱ったこの作品は、2010年の大阪二児置き去り餓死事件を元に、母親や祖母、周囲の人々の複雑な背景と心情を描写しています。読み進める中で、登場人物たちの苦悩や葛藤が伝わり、特に幼い子供たちの...
感想・レビュー・書評
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幼い子供二人を部屋に置き去りにして殺してしまった母。母には何が、そして、その母(子供にとっては祖母)には何があったのか2010年大阪二児置き去り餓死事件を元に書かれたとのことです。
読み始めから重い。読んでて苦しくなる。巨大な岩を背負って読んでいるよう。苦しいけれど、母が祖母がどんな思いで、どんな生い立ちがあるのか、読み進める、ページをめくる手は止まらなかった。
母だけが悪いのではない、祖母もまた家庭が複雑だったこともあるし、夫だって見殺しじゃないか。祖母の兄以外の男、つみびとだらけだ。
本を読んでいると、その内容で気分が左右される時があるけれど、この本を読んでいるときは、仕事中でも悲しくなった。最近の中ではこの本が一番重かったか。DVに始まり、性的暴行、ネグレクト、耐えられない。小さな子供は無力だ、絶対こんなのだめ。心の傷は簡単には治らない。大人にもケアすること必要。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ワイドショーのように結果を見て断罪するのは正義派気分に浸れますが、そこから生まれるものはありません。山田詠美はフィクションというかたちを借りて、被害児童から遡ること4代にわたる関わった人々を描写し、それぞれの生い立ちから行状、考え方を優れた想像力を持って問題の構造を描写します。事の重さ辛さに読み進めるのが苦しくなりますが、向き合う作者の真摯な姿勢にも心が打たれます。重層な物語ですが、巧みな構成と端的な文章で全体像が見えてきます。日本でも格差は進行し、コロナ厄災でも容赦なく低学歴・低所得層を中心にダメージを与えています。シングルマザー層は最底辺の所得階層です。明日の日本に希望が持てるよう、本書を手がかりに負の連鎖は断たねばなりません。力作というしかありません。
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私自身の第一子が1歳になりたての頃に実際に大阪で起きた衝撃的な事件がモデルとなった小説。当時、自分の子育てに対しても改めて深く考えさせられた痛ましい事件だった。メディアで見た被害者となった幼い姉弟の笑顔がとても可愛く、親からしっかり愛されている表情に見えたので、あの事件には違和感が残っていた。今回たまたまこの小説の存在を知って、少しは事件の真相のようなものに触れることができるのかと思い手に取りました。
法的に裁かれたのは、直接的な加害者となった母親一人だけれど、そこに至るまでに、他の人間は罪を犯していないのか!?終始そこに焦点があてられて物語は進んでいきます。まったく罪がないのは幼い兄妹。桃太の視点からの章がとにかく心がギュッと締め付けられて読み進めるのが苦しかった。子供はいたいけで純粋でただただ生きるための穢れのない欲に正直なだけだということが、痛いくらいに伝わってくる。
大人になればなるほど、自分の身勝手な欲望を満たす為に、弱い人間を犠牲にして心身を傷みつける。
子供よりも力がある大人こそがいま一度自分自身を振り返って傲慢になっていないかを問わないといけないと思った。
本の帯に「フィクションでしか書けない〈現実〉がある」と記されている。最後の死亡事件のきっかけとなっていく数々の出来事は、表沙汰にはなっていないけれど、被害に遭った本人にとっては人格ひいては人生を変えられてしまう事件に相当する出来事であり、フィクションとはいえ、実際にもそれに相当することが起きていたのだろうと想像します。
本書の参考文献となった杉山春氏の「ルポ虐待-大阪二児置き去り死事件」も読んでみたいと思います。 -
物語は①母・琴音、②娘・蓮音、③小さきものたち(蓮音の子どもたち)の三つの視点で進みます。いずれも悲惨ですが、特に蓮音がどんどん追い込まれていく様子が読んでいて辛かった。子どもたちが死に至る描写も苦しくなりました。
母・琴音についても、一見身勝手で悪に見えますが、彼女が辿ってきた人生を知ると、なんとも切ない気持ちになります。
安心や安全が奪われた日々が母から娘に受け継がれ、それぞれの人生で悲劇が拡大していく様子に、どうして、と思わずにはいられませんでした。
そして何よりも、蓮音の、
助けを求める方法がわからなかった。
これが一番悲しいです。
周りを頼ることができずに(頼っていいと思えなかったり、頼れる人がいなかったり)苦しんでいる人が、一人でも多く救われる世界であってほしいです。
大人になったモモくんが、蓮音に宝石を送るシーン。
親子でテーマパークや尾瀬を歩く姿。
ぎこちなさが残りながらも、家族の絆を修復していく琴音と蓮音。
心からの「幸せ」を口にして、笑顔で子どもたちを抱きしめる蓮音。
ハッピーエンドを想像しています。
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─母親は、子への愛情を万全に整えた女神様なんかじゃない。どんな母だって、ほころびはある。たいていの場合、それを上手く隠しおおせたというだけだ。そして、そう出来ないものを母親失格と呼ぶ。─
印象的だった文。ほんとにそう、母は偉大だなんて幻想を抱きがちだけどほんとにただ1人の人間。子どもを産んだ瞬間人格者になれるわけじゃない。私も毎日毎日ほころびを隠すのに必死なのかも。だから焦って、イライラしてしまう。
先日アマプラで「子宮に沈める」を観た。
派手な映画ではないんだけど、見終わったあとからジワジワと色々な思いがめぐってずっと頭から離れなかった。なかなかそんな映画ってない。つらい映画だけど観てよかった。
この映画について調べていたら元になる実際の事件があったとのこと。そしてその事件を元にこのつみびとという本もあるということを知って読んでみた。
映画では母親の生い立ちや親については触れられてなかったから、逆に誰でもほんの少しのきっかけや歯車の狂いでこうゆうことは起こり得るのかもしれない、と。他人事じゃないなと怖くなった。
こちらの本ではより実際の事件に近い形で書かれているようで(?)、母親の親、さらにその親についてまでも描かれ、虐待の負の連鎖を突きつけられる。
私がこういった話を読んで1番許せないのは性的虐待をする父親(継父)。結局全ての悪の根源がこれなんじゃないかと思える。。
普通に育てたって子どもに自己肯定感をつけるのって難しいのに、、性的虐待って考えただけてもあまりにも残酷に人の心を殺してる。ほんとに、どうにかせめて性的虐待だけはこの世からなくしてあげられないだらうかって思う。。
本のテーマは興味深かったが、小さい子どもをはじめ、登場人物の行動の幼稚さに比べて思考や語りがまともで大人びていてその違和感で入り込めなかったというのはある。
でも最後の締めはなんか、おぉ、、となった。
どんなひどいことされても子どもはやっぱり母親を求めてる、のかなぁ
父親は?どうなんだろう…… -
淡々と、どちらかと言えば斜めに、心を横においてしか読むことが出来なかった。そうでないと、私の心が平静を保っていられなかった。
大阪で起きた2児餓死事件を元に書かれたフィクションである。
フィクション。そうであってほしいと思い、だけど、限りなくノンフィクションなのではないかとも思ってしまう。
虐待の連鎖。そんな言葉で終わらせてはいけないと思う。普段生活していると、普通は知る事もない世界かもしれない。だけど、これが現実として生きている人が確実にいる。違う世界の創りものの出来事なんかじゃない、それは確実にリアルであり、ノンフィクションということ。
鬼母と呼ばれている彼女、彼女の母親、そして亡くなった子どもたち、この三者の立場から細切れに物語が進んでいく。全てがやるせなかった。
つみびとは誰だろう。いや、誰、じゃなくてみんなかもしれない。
とにもかくにも…という表現が適切かどうかは分からないけれど、できる限りの精一杯の心で、ギューッと抱きしめてあげたい。大丈夫だよと言いながら、精一杯抱きしめて一緒に泣きたい。責任も取れない私のエゴだったとしても、考え続けたい。 -
虐待の末に子どもを死なせる事件に対して、「なんで?」と思う。こうなってしまってから、「なんで?」と問う。こうなるに至った理由を深く考えることもせず、同じような事件が起こるとまた同じ反応をしてしまう。こうなる少しでも前に問うことができていたら、と思う。
親から受け継がれる“血”、親から受け取る“愛情”はどこまでもついてくるもので、それらが善でも悪でも、人を支えているのかもしれない。
事件を起こすにいたった背景を、これだけ長い小説で読んでも、同じような事件には同じように反応してしまうのだろうと思う。ただ、「決めつけ」や「思い込み」で軽々しく考えたり、発信したりするべきことではなないと感じた。 -
実際の事件をもとにした作品。
ニュースではシングルマザーの母親だけが悪者として扱われるけど、本当にそうなのか?
親子、それぞれの視点で描かれているが負の連鎖をどこかで断ち切ることができたのだろうか。
救いの手をどうやって差し出せばよかったのか。
色々考えさせられる作品であり、幼い子供が被害に遭うのは本当につらい。
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コメント失礼します。
いろんな場面で「ハッピーエンドに修正したいマン」として登場したくなります。コメント失礼します。
いろんな場面で「ハッピーエンドに修正したいマン」として登場したくなります。2024/07/14
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読み終わったあと、実際に似たような事件があると知って驚いた。
母娘それぞれのパートで語られているけど、どちらも重く救いがない…
ネグレクトされ死に至った2人の幼児を思うとやりきれない。 -
幼い子ども二人を育児放棄で死なせ、逮捕され服役中の蓮音。何故彼女が事件を起こすに至ったのか。彼女は幼い時に実母が家庭から逃げ出し、過酷な人生を歩んできた。虐待の記憶は連鎖するのか。蓮音視点と母、琴音視点でそれぞれの人生が回想される。不幸はあのクズのせい、と決めつけるのは容易い。でも容易く人のせいに出来なかった弱い存在だった二人が僅かな幸福の暖かさに目が眩んで或いは信じられなくてより深い闇に落ちていく姿がリアルで流石。翻弄される心の嵐を描くのはエイミーの真骨頂ですね。ほんの少しの差で塀の外と内に立つ母娘。逃げた者と留まった者。差し伸べられた手と自分から差し伸べた手。その差について考えてしまう重いが読ませる一冊。
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やりきれない。本当にやりきれない物語。
これは鬼母と呼ばれた蓮音の物語。蓮音は、真夏、部屋に子どもたちを置き去りにし、結果殺すことになり、刑務所に収監される。
読んでいて、特に子どもたちが登場するシーンでは、なんとかこの子たちを助けてあげてと思わずにはいられなかった。どうしようもない母親でも、子どもたちにとったら大好きな母親だ。でも、いつか帰って来なくなる日が来るんじゃないかと不安に思いながら生活している。普通の子はそんなこと思いもしない。どんな子だって、両親に甘え、絶大な愛情の元育っていく。
蓮音は「あの母親の子だからねぇ」と言われるような母親を持つ。蓮音もある意味被害者であった。蓮音の母親である琴音も被害者だ。まさに負の連鎖が子どもたちを不幸にしていく。
この物語を読んでいると、親たちの勝手な振る舞いに怒りが湧いてくる。でも、こうした事件も、親も当たり前のように存在しているのが今の世の中だ。
ただ、ほんの少し蓮音の気持ちもわかってしまう。辛い生活から逃げ出し、ほんの少しの時間だけ何も考えずにいられる楽しい世界へ行きたい。きっと、だれもが一歩間違えば第2の蓮音になる可能性もあると、恐ろしくなる。
でも、絶対に逃げちゃいけないと思う。子どもたちの笑顔のためにも、自分を好きでいるためにも。 -
久しぶりの山田詠美さんの小説。
いやー…苦しかった。虐待は連鎖するって、なんだろ。かわいそうすぎて。小さきものたちのシーン読むの辛かった。最期のどんぶらこが苦しすぎて。
大阪二児置き去り死事件は記憶にも残ってます。それを題材にした小説ですが、同情はしづらかった。でもどこかで不幸の連鎖は止められたんじゃないかなって。悲しい -
図書館でやっとこさ予約確保でき、手にしたときは、この時期2週間でいけるかな…のぶ厚さでしたが、一気にいきました!吉田修一氏の「悪人」を読んだとき、だれが何をもって悪人というかと考えされられたが、この作品も読んでいるともうすべてが罪に思えてくるのだけれど、ん?罪ってその根本的なものってなんなの?という疑問も常にありました。子どもが母親に言われて思っていた「罰」についても心に残りました。
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冷静に読めなくて込み上げてきて何度も中断した。
「徹底的に甘やかされてきたので他人の甘やかし方もぜんぶわかる」と言うわたしの友人を思い出した。この話はその反対なのだと思う。
「母」と「娘」と死んでしまった「小さき者たち」。大丈夫だよって言ってもらったことないんじゃないかな。「母」に助けを求めることができない、やり方がわからないから。大事にされていないことを嗅ぎつける周囲の描写。 -
内容紹介 (Amazonより)
灼熱の夏、23歳の母・蓮音は、 なぜ幼な子二人をマンションに置き去りにしたのか。
真に罪深いのは誰なのか。
あの痛ましい事件に山田詠美が挑む。
虐げられる者たちの心理を深く掘り下げて、日経新聞連載時から話題を呼んだ、迫真の長編小説
実際に起きた大阪2児餓死事件を基にしたフィクション。
負の連鎖...確かに育ってきた環境は成長していく過程でとても大きく影響するとは思うけれど 全ての人がこの蓮音のようになるかといえばそうではないと思ってしまう。
反面教師にして強く生きている人もいると考えてしまう。でも実際に同じ立場になった時 自分ならどうするかと考えると...やっぱり、蓮音と同じ行動は取らないなぁ...
そのままにすると餓死するとわかっていて帰らないっていうのが やはり理解出来ません。
....それはやっぱり育ってきた環境が違うからなのでしょうか?同じような境遇の人は蓮音の気持ちや行動が理解出来るのでしょうか?
たしかに蓮音だけが悪いとは思えません。蓮音の周りには無責任な人があまりにも多いとは思います。
誰か1人でも助けてくれる人がいたなら...と思ってしまいます。
...そう思いますが やはり2人の子供を救えるのは蓮音だったのでは... -
半分ほど読んで何だかとても疲れてしまいしばらく放置。返却期限ギリギリになって何とか読み終えたが、やりきれない思いだけが残った。この子たちの人生って…。
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読んでて辛いなと思う場面もあったが、
それだけじゃないものを感じたというか……
これは他人事ではないし、
私自身、作中にもある血の連鎖が怖くて
簡単に子供を産むことを選択できない人間です。
ですが琴音を見て、少し希望を感じました。
周囲の人間の助けによって変わることが出来る。
成長し自分の行動を省みることができれば…と。
確かに琴音は蓮音を追い込んだ1人だったけれど、
それも全部が全部琴音のせいではない。
桃太と萌音、幼い2人の命が奪われたのは
周囲の人間達によってもたらされた悲劇だった。
誰のせいでもないが、全員の責任である。
つみびとは誰でもなく、全員である。 -
大阪二児虐待事件に着想を得たというこちらのお話。新聞で紹介されており、かつては山田詠美のラブロマンスのファンだった自分と、元児童養護施設の職員として、こちらの事件をきっかけに保育者のコミュニケーション支援が家庭を救うきっかけになるのでは…と感じたことが頭をよぎり、手に取りました。
読み進めるうちに、登場人物の生い立ちの中で体験してきたたくさんの理不尽さやそうせざるを得なかったであろう心の動きゆえの人格形成・どかしさの連鎖の背景にある複雑な家族システムの課題などが浮かび上がってきて、「つみびと」はいないのだろう・・・と涙が流れる結末でした。
保護者支援にかかわる人のみならず、さまざまな人が読むことで 多様な家族の背景に寄り添うまなざしが優しくなり、少しだけやさしい社会に近づくのではないでしょうか。
正しいことを言うことが大切なのではない、自分に何ができるだろうか、と考えることが大切だとしみじみ感じました。
まずは、それぞれの家族に寄り添う保育者支援の歩みを重ねていくことから・・・・保護者支援研修を丁寧に行っていきたいと思います。
著者プロフィール
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