アウターライズ (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.62
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本棚登録 : 173
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120052828

作品紹介・あらすじ

「現時点で判明している被害者は六名です」

東日本大震災に匹敵する災禍「アウターライズ」に見舞われた東北だったが、規模に比して抑えられた被害状況を公表した。

どんな対策が行われたのかと注目が集まる中で突如、宮城県知事が“独立宣言”を行った。

そこから三年、一切の情報が遮断された国へと変容した東北に、

ジャーナリストたちが招かれる。

あのとき被災地で何が起きたのか、

そして新たな国の誕生を、我々はどう受け止めるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 東日本大震災の十年後、東北地方は、海洋プレートが折れ曲がり沈み込む際に起こる大地震(アウターライズ地震)に見舞われる。しかし、その地震による被害者は6名。注目が集まる中、東北は独立し鎖国をする。そして三年後、ジャーナリストたちが招かれ、その地に何を見たのか…
    「東北独立」で驚いたけれど、その中にも経済や世界のバランス、核について、貧困格差、もちろん防災と復興、人間の愛情ありで予想以上のエンターテイメントの1冊でした。社会派? SF風? でも引き込まれたなあ。作者の東北愛もあったなあ。

  • 東日本大震災から10年。東北の生き残った人々は、津波で流された故郷の復興に努力し続けた。新しい故郷と人生がようやく軌道に乗ってきた彼らに、再び津波が襲いかかる。そんな理不尽なこともないとは言い切れない。そのとき、再び東北人は復興の努力を繰り返すことができるのか、それよりも再び津波から何もかもを捨てて逃れようとできるのか。

    結果、今回の津波の被害は死者わずか6人。しかも、自衛隊の異常に早い出動。津波対策が完璧だったのか、それとも津波は事前に予知されていたのか。そんなミステリーに加えて、東北の復興が意外な展開を見せる。

    62歳で作家デビューし、東日本大震災によって人生が激変した人々を軸にした小説を発表し続けた著者。本作品の主人公は珍しく人ではなく、東北という土地そのものだ。しかし、震災後の東北に対する著者の思い入れがあまりに強くて、ファンタジーのような作品でのめり込めなかった。ミステリー部分の謎解きも現実離れしている。

    デビュー作「藻屑蟹」などで描かれる道徳や人情そっちのけのギラギラする生き方のキャラクターが赤松作品にはふさわしい。

  •  「藻屑蟹」「ボダ子」の二作で、もう東日本震災の小説は書かないと作者は宣言していたが、こういう形で再び震災を書くとは思わなかった。
     経営者から一転、土木作業員からの住所不定無職まで人生の山と谷を見てきた作者だからこそ、国家の理想を描ける。
     それに加えて、朴訥かつ勤勉、忍耐強い東北人の気性がよく表れている。
     
     筆者が理想とする国家と、現在の日本が対比されている。
     果たしてどちらが良いものか。
     特に、作者の「自己責任」という言葉に対する怒りを感じた。


     2021年2月5日、東北地方は再び津波に襲われた。
     東日本震災を超える津波は復旧中の町を易々と飲み込み、襲い来る津波に人々は無力感しかなかった。
     東日本震災を上回る被害が確実視される中、日本全国、世界各国は驚愕する。

     今回の地震による犠牲者数は、6名だった。

     震災から三日後の発表は世界中を狂喜させ、更にその二日後、東北地方は日本国からの独立を宣言した。
     独立した東北国は三年間の鎖国後、その門を開いた。
     その国のシステムは、既に日本とは全く違ったものになっていた。

  • 未曾有の大災害『アウターライズ』に見舞われた東北が、独立を宣言して鎖国する。建国から3年、開国した東北国へ向かったジャーナリストたちが目の当たりにした東北は日本とは全く違う形になっていた。
    人への希望を持ち続ける、そんな作品だと感じました。東北愛も。
    「主義は無い」と登場人物は言ってたけど、東北国は共産主義に近い気がします。集権的にならず、人がきちんとしてれば社会主義や独裁に進まないのか。。普通は無理。
    医療費住居無料でベーシックインカム月25万、財政破綻しないなら生きていける気がします。何もせずに月25万入ってくると言われても、わたしも働くだろうけれど。暇だとろくなことにならない。

    東日本大震災とアウターライズを経験してる人たちなので東北国の人々がここまで尊くいられる気はします。経験してない世代になるとこの気概を保つのは難しそう。。
    東北国の方々もだけれど、中心に描かれるジャーナリスト3人の矜持も良かったです。詰めるとこ、追いすぎないところ…マスコミへの希望もあるのかも。

  • 図書館で借りたもの。
    未曾有の大災害に見舞われた東北が、突如“独立宣言”を行った。規模に比して抑えられた被害状況。被災地では何が起きたのか。3年後、一切の情報が遮断された国へと変容した東北に、ジャーナリストたちが招かれ…。
    初読みの作家さん。

    東日本大震災から10年、再び東北を地震と津波が襲う(アウターライズ)。
    復興してきたところにまた津波はきつい…。
    再度の復興のため日本から独立した東北国。ベーシックインカムとして成人に25万、未成年に10万が月に支払われる。税金もなく、医療費も住宅費も国が負担。
    いいなぁ~日本との違いがすごい。

    アウターライズでは東日本大震災よりさらに大きな津波がきたのに、亡くなったのは6人のみ。
    なぜ、自衛隊の初動が早かったのか。
    わざと地震を起こし、それをきっかけに独立したのか?
    その真相は、いつ津波がきてもいいように自衛隊員たちが毎日東北太平洋沿岸に展開していた。
    誰の命令でもなく、自主的に。
    もう東日本大震災がのような思いはしたくなかった。
    『日々のけっして楽ではないであろう業務をこなし、本来であれば自分の自由になる時間を、あるいは家族との寛ぎを犠牲にして、いつ来るともしれない災害に備える隊員たちの姿を思い描いた。』

    読んでて辛いところも多かった。落としどころは自分でつけないといけないんだな、と思った。

  • 赤松利市さん『アウターライズ』読了。止められなくて一気にあっという間に読んでしまいました。
    尖った赤松さんが好きな人には物足りないのかも知れないけど、私は丸く優しい赤松さんの方が好きです。何度も感想文に書いているけど、みんなが良い人という話が私は好きなんです。だからベタだけど、赤松さんらしさがないのかも知れないけど、私はこの『アウターライズ』がすごく好きです。

    私は埼玉県越谷市出身で東北に近いので何度も行っていること、小さい頃から東北人(主に会津)の気質や歴史や思いや確執を聞かされて育ったこと、大人になってからも東北地方の歴史(主に奥州藤原氏、仙台藩、会津)に興味があること、など震災と関係なく東北を身近に感じているので、より興味が持てたというのもあります。

    ただの理想の夢物語ではなく、思いが詰まった本当にいい話でした。

  • 8月-7。3.5点。
    東北を再度地震が襲い、津波が。奇跡的に死者が少なく、同時に東北が独立へ。

    架空の近未来を描くが、描写が上手く物語に入れる。
    ラストは意外だった。

  • 赤松利市さんの新作は、震災被災地のその後を描いたサスペンス。東日本大震災に匹敵する震災「アウターライズ」に見舞われた東北だったが「被害者は6名」だという、直後 東北が「日本から」独立する。独立から3年後に「東北国」に招かれたジャーナリストは「アウターライズ」の真相を知ることになる… 現在の東京中央集権の日本への警鐘的な要素もあり、ベーシックインカム・核廃棄の問題にも触れられている。最後はかなりダッシュで終わったが面白かった。

  • 東日本大震災の後、再度東北を地震と津波が襲った。
    その際の死者はわずかに6人。それを契機に東北は日本からの独立を宣言する。
    3年の鎖国を経ていよいよ開国を目前にした東北国は、まず報道関係者を招待した。
    そこには東北国の成立や、震災の死者が少なかったことに疑問を持つ人間がいた。

    いやー、なんとも話が大きくて、すごかった。
    東北国の仕組み、理想的な国家だなあと思ったけど、実際にやろうと思うと難しいのかな。
    どんな風に物語が終わりを迎えるのかどきどきしながら読み進めたけど、終わり方だけちょっと不完全燃焼だったな。

  • 犬に続いて呼んで最初は村上龍的かと思ったがまた違い独特だった。

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著者プロフィール

赤松利市
一九五六年、香川県生まれ。二〇一八年、「藻屑蟹」で第一回大藪春彦新人賞を受賞しデビュー。二〇年、『犬』で第二十二回大藪春彦賞を受賞。他の著書に『鯖』『らんちう』『ボダ子』『饗宴』『エレジー』『東京棄民』など、エッセイに『下級国民A』がある。

「2023年 『アウターライズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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