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Amazon.co.jp ・本 (536ページ) / ISBN・EAN: 9784120053108
作品紹介・あらすじ
本書は、伝説のロシア人エージェント、オレーク・ゴルジエフスキーについて、
本人インタビューやMI6関係者証言から、
その至難の諜報人生を克明に辿った英国発の世界的ベストセラーである。
1938年生まれのソ連KGBエリート将校が、共産主義の現実に幻滅し、
1974年にイギリスMI6の二重スパイとなる。
以後、その暗躍が20世紀後半の冷戦構造を決定的に変えることになる。
現在ゴルジエフスキーは、イギリスで24時間体制の警護を受けながら、名前も身分も偽った二重生活を送っており、
「彼は、私が今まで会った中で最も勇敢でありながら、
最も孤独な人間のひとりである」と本書の著者は記す。
感想・レビュー・書評
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【彼は、私が今まで会ってきた中で最も勇敢な人物のひとりであり、かつ、最も孤独な人間のひとりである】(文中より引用)
ロシアの諜報組織KGBで出世の階段を上りながら、英国に寝返り、重要情報を私続けてきたオレーク・ゴルジエフスキー。いかにして彼は組織を、そして自国をを裏切るという決断に至ったのか・・・。著者は、『キム・フィルビー かくも親密な裏切り』などで知られるベン・マッキンタイアー。訳者は、『イスラームの歴史』などの翻訳を手掛けた小林朋則。原題は、『The Spy and the Traitor: The Greatest Espionage Story of the Cold War』。
ここ最近で一番面白かったノンフィクション作品。手に汗握るという言葉がピッタリくる「騙し騙され」劇に寝る間を惜しんで読み進めてしまいました。「信頼」と「裏切り」について深く考える上でもオススメです。
ベン・マッキンタイアーにハズれなし☆5つ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一行も読み落とすことができない、手に汗握るノンフィクション。神経を集中させながら読み進めるほどに緊張感が増していく。二重スパイを勤めたゴルジエフスキーさんの信念や行動には賛同するが、奥さんが彼に裏切られたという言い分も分かる。彼女はソ連というケージの中で培養され、完全に洗脳されている状態に満足しているのだから…。ロシア、中国、北朝鮮は皆似たような方法で国民を洗脳し操っていることに改めて恐怖を覚える。
以下本書より抜粋。
「すべてのスパイは、自分が愛されているのを感じる必要がある。スパイは、自分は必要とされていて、秘密のコミュニティーの一員であり、報いられ、信頼され、大切にされていると感じたいと思っている。担当官との絆は彼らにとって、嘘と欺瞞があふれる中で唯一の、永遠に続く本物のつながりだった。」 -
映画のような本当にあったらしい、冷戦下でのKGB職員がMI6のスパイとして動いていたお話。
初めは世界観の説明で退屈に感じるところもあると思いますが、途中からはまさにスペクタクル。 -
スパイ小説の古典や映画007ももちろん好きだけど、これは面白かった。
何よりもリアル。本当の話だから当たり前なのだけど。同著者の『キム・フィルビー』よりも最近の話ー冷戦末期、サッチャー政権下における脱出劇ーなので、自分の記憶にある時代の出来事と言うことだけでドキドキ感が増します。
MI6やKGBの組織もリアルに描かれている。 -
『手袋をはめたオーバーオール姿の男ふたりが室内を手際よく捜索していくかたわらで、技術員二名が電線を目の付かない場所に手早くひきながら、壁紙の奥や巾木の裏に盗聴器を埋め込み、電話の受話器に盗聴用のマイクを仕込み、リビングと寝室とキッチンの照明器具にビデオカメラを設置していく』
『元KGBの人間などというのは存在しない…KGBは、選ばれた者のみが入会でき、退会することのできないクラブだとプーチンは語っている』
『ひとりのスパイを逃さずに済むなら、無実の者が十人処刑になってもかまわない』
『スパイは、最も近くて親しい者さえだまさなくてはならない』
冷戦時代、MI6の二重スパイであるゴルジエフスキーの諜報半生を綴ったノンフィクション。
KGBの高官であった彼がなぜソ連を裏切ったのか?
たった1人のスパイが、核戦争を阻止したのか… -
【文章】
読みやすい
【ハマり】
★★★★・
【気付き】
★★★・・
ソビエトの諜報機関であるKGBに所属しながら、イギリスの諜報機関であるMI6に、KGBの情報を流すという、いわゆる2重スパイを行っていた男の話。
第1部、第2部は、話しが淡々としていたため読み進めるのが少し辛かったが、第3部の尾行や盗聴などの監視下での脱出劇は、ドラマチックで読み応えがあった。 -
- オレーク・アントーノヴィッチ・ゴルジエフスキーというKGB職員でありながら、MI6の二重スパイになった男の物語。本人および多くの関係者へのインタビューを基にした本作はすべてがとにかく詳細で、リアルで、それでいてものすごくスリリングで小説のように面白く描かれている。
- KGB情報員だったオレークだが、ベルリンの壁建設やソ連によるチェコスロバキア侵攻を目の当たりにして共産主義および祖国への不信感は高まり、また西側の文化への憧れがあったことも重なり、MI6のスカウトに応じる。MI6から得た情報を巧みにKGBに渡してKGB内で出世しつつ、より機密度の高い情報を集めてMI6に提供する。さらには第三次世界大戦を阻止したり(エイブル・アーチャーという西側の軍事演習に対して、ソ連は本気で核攻撃されると恐れ、先制攻撃を検討していた)、サッチャーとゴルバチョフの会談を演出したりと活躍していく。KGBという組織の恐ろしさが描かれる一方で、官僚的で典型的なダメ組織っぷりも描かれてる。
- 二重スパイとしての日々も面白いが、やっぱり最後のモスクワからの脱出「ピムリコ作戦」が抜群に面白くて止まらない。ロンドン市局長へ抜擢された直後にKGB議長に呼び出されて、ロンドンからモスクワに行くが、そこで二重スパイを疑われていることを知る。そこでオレークは、入念に計画されてはいたが、成功率は低いと見られていたピムリコ作戦を発動する合図を送る。そこから作戦成功までは読む手が止まらない。
- 現代の情報戦はもっとサイバー空間で行われているだろうから、表向きの派手さとしてはやはり冷戦下のスパイものが一番面白い。尾行を巻くことを「ドライクリーニング」と呼ぶことや、与えてもダメージがない程度の真実の情報「チキンフィード」の利用することなど、今回学んだスパイのテクニックはいつか何かのために習得しておくことにする。-
2024/01/05
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2024/02/01
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2024/02/01
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この一冊KGBの男 ベン・マッキンタイアー著 二重スパイが紡ぐ冷戦秘史
2020/8/1付日本経済新聞 朝刊
「元KGB(国家保安委員会)の人間など存在しない」。KGBの後継組織で演説したプーチン・ロシア大統領の発言である。この秘密組織に入り込んだ者は、生涯その一員であり続けるべきだという意味だ。本書の主人公は、共産主義イデオロギーに反発して、英国の秘密情報部MI6の二重スパイに転身し、冷戦下、西側に大量のソ連情報を送り続けた「元KGB」である。
これにより、ソ連のスパイ網が暴かれ、核戦争の回避が促進され、西側に有利な形で冷戦終結が導かれた。その功績から、架空のスパイ、ジェームズ・ボンドと同じ勲章をエリザベス女王から受け取った。対立するソ連と英国の2つの秘密情報組織の活動を通じて、知られざる冷戦の舞台裏が明かされる。「鉄の女」とKGBが蔑むサッチャー首相と、新指導者とKGBが担ぎ上げるゴルバチョフ書記長との初会談を成功させたのも、両秘密組織に通じる二重スパイが両国にもたらす情報であった。
「泣く子も黙るKGB」の内部やスパイ養成学校、国外での工作活動の実態が生々しく描かれるが、映画や小説で非道な完璧集団とされるKGBも、内実は硬直したソ連の官僚組織に過ぎない点が面白い。膨大な資料と本人や関係者のインタビューに基づくノンフィクションであるが、007に負けず劣らず、手に汗握るスパイ映画のようなシーンが連続する。モスクワ中心部の街頭で主人公が英国のスーパーのレジ袋を持って現れることが、MI6が極秘の国外脱出計画を決行する合図であった。英国大使館員の車のトランクルームに身を隠し、KGBの追跡を逃れてフィンランド国境に向けて命がけの逃亡を図る。
ソ連で死刑判決を受ける「元KGB」は、厳重な保護下で今も偽名で英国内に潜伏する。同じくMI6に寝返ったロシア軍の元スパイ・スクリパリ大佐は、英国内で神経剤を用いた暗殺未遂に遭遇する。英露ともに現在も世界中で対外諜報(ちょうほう)活動を行っているが、冷戦時代のような二重スパイが暗躍する華々しさはもはやない。これほど世界に影響を与えたスパイは、もはや登場しないであろう。
「KGBの一員」であり続けるプーチンは、憲法を改正して2036年まで大統領を続投する道を切り開いた。やはり、プーチン率いるロシアの本質は、KGB抜きには語れそうもない。
《評》防衛研究所政策研究部長 兵頭 慎治
原題=THE SPY AND THE TRAITOR(小林朋則訳、中央公論新社・2900円)
▼著者は英タイムズ紙のコラムニスト・副主筆。著書に『ナチが愛した二重スパイ』など。 -
後半の脱出するところが良かった。
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事実は小説よりも奇なり、とはよく言うが、まさにこれ。
小説よりもハラハラドキドキ。こんなスパイが存在したとは。。。
すぱいふぁみりーなんて目じゃないぜ。 -
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これは本当におそロシア。
崩壊する国はそれなりに理由がある。 -
ケンブリッジ大学在学中に共産主義に転向し、イギリス情報局に
スカウトされるよう仕向け、ソ連の為に働いたのが「ケンブリッジ・
ファイブ」と呼ばれた二重スパイ集団のなかでも有名なキム・フィルビー。
そのキム・フィルビーがソ連へ亡命後、新たな二重パイが誕生した。
オレーク・ゴルジエフスキー。KGB一家に生まれ、自身もKGBに入局。
家族の中で唯一、体制に批判的であった母の影響も根底にはあったの
であろうが、入局後の2度のデンマーク勤務で西側世界の生活に触れ、
「プラハの春」弾圧で自国のイデオロギーに強い怒りを覚えた。
本書はゴルジエフスキー本人はもとより、彼に関わったイギリスの
MI6の職員たちに取材して著わされた大作である。
彼がMI6、ひいては西側の為に働くようになった直後から、「もしも」
の時の為の脱出計画「ピムリコ」作戦が立てられた。モスクワ中心部
から、ゴルジエフスキーを無事に脱出させようというこの計画は、
関わった誰もが実際に行われないよう祈っていたのではなか。
実際、長年の間、彼はソ連の情報をイギリスへ送り続けながら、その
正体がKGBに露見することはなかった。
それどころか、KBGでは出世路線から外れると言われていた離婚を
経験しながらも、再婚後は順調にKGB内での階級を上げて行った。
だが、思わぬところから「KGB内に西側のスパイがいる」ことが
発覚する。この露見の過程は胸糞悪いけれど、興味深い。
状況証拠はあるが、ゴルジエフスキーが西側のスパイだという
決定的な証拠はない。それでも、KGBはイギリス支局に赴任して
いたゴルジエフスキーをモスクワへ呼び戻す。適当な理由をつけて。
そして、遂に「ピムリコ」が発動する。
スパイ小説よりもスパイ小説なのだ、この脱出劇が。
ソ連側から「疑惑の人物」とされ、常に監視が付いているゴルジエフ
スキーをモスクワ中心部から連れ去ろうとするのだから。
ドキドキしながら読んだし、手に汗握るとはこのことか…と思ったわ。
時のイギリス首相マーガレット・サッチャーさえ巻き込んだ二重スパイ
は、今も存命である。ただ、再婚後に幸せな家庭を築いていた彼は、
愛した家族を一緒に連れて行くことは出来なかった。後々、再会を
果たすことにはなるのだが。
二重スパイとしては悔いはないのかもしれぬが、夫として、父として
の彼は幸せだったんだろうか、と考えてしまった。
老齢になった二重スパイは、イギリスの片隅いある警備が厳重な家で、
少数の知り合いだけに囲まれて暮らしているそうだ。
古い作品だが『KGBの内幕』は、イギリス亡命後のコルジエフスキー
が執筆し、日本でも発行されたんだよね。
いや~、面白かったわ。この著者、『キム・フィルビー かくも
親密な裏切り』も書いたんだよね。この作品も面白かったから、
ほかの著作も読んでみよう。 -
それが何であれ
芯、軸があること
ピンチでもブレないことが
生きる上での強さだと
登場人物から気付かされました
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最後の脱出以外は地味なスパイワールド
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Amazonのレビューが大変良かったので読む。
全492頁、小説ではなくノンフィクションゆえの構成により少々冗長に思える箇所あり、半分あたりで断念。 -
本書は、伝説のロシア人エージェント、オレーク・ゴルジエフスキーについて、 本人インタビューやMI6関係者証言から、 その至難の諜報人生を克明に辿った英国発の世界的ベストセラーである。1938年生まれのソ連KGBエリート将校が、共産主義の現実に幻滅し、 1974年にイギリスMI6の二重スパイとなる。 以後、その暗躍が20世紀後半の冷戦構造を決定的に変えることになる。現在ゴルジエフスキーは、イギリスで24時間体制の警護を受けながら、名前も身分も偽った二重生活を送っており、 「彼は、私が今まで会った中で最も勇敢でありながら、 最も孤独な人間のひとりである」と本書の著者は記す。
新聞の書評で知り手に取りました。すごい・・・と絶句するしかない、その辺のスパイ小説を二度と読む気にならないくらい面白くて胸が熱くなる、だけど哀愁も残る、素晴らしいノンフィクション。KGBってすごく怖いイメージしかないけれど、その中で、イデオロギーのために闘っていたゴルジエフスキーという一人の人間の人生を知ることができて、彼の目で見たソ連という国の在り方や意義について深く考えた。私はのほほんと日本で暮らしたことしかないけれど、彼のように国を変え世界を変えた人がいたことや彼を命がけで守り今も守り続けている人がいることに感銘を受ける。今、アメリカとロシアは新冷戦時代と呼ばれる時代に入っているが、表と裏で活躍するスパイたちの暗躍により成り立つ部分は多いはずで、何十年か後にゴルジエフスキーのように世界の崩壊を救い何かを変えた人の伝記が読めることを願っている。 -
KGBの一家に生まれて、組織に入った男が、ソ連の文化的、政治的状況をデンマークや西欧のそれと比べ落胆し、イギリス側の二重スパイとなった。その生活を続けていったが、アメリカCIAでソ連に情報をうるエージェントが現れ、脱出作戦を決行することになり、妻子と別れイギリスに亡命。暗殺のターゲットになりつつも今に至る(80歳くらい?)。
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ソ連KGBに所属しイギリス大使館に勤務するスパイが、イデオロギー的な葛藤からイギリスMI6に情報を提供するようになった二重スパイのノンフィクション。
スパイの日常的な活動が興味深いし、冷戦時代に核戦争にも繋がりかねない状況において、陰で戦争回避のため彼からの情報が役立ったいたと言うのが驚きです。
怪しまれてソ連に呼び戻され、そこからソ連を脱出する過程は下手な小説や映画より手に汗握り息が詰まるほどの緊張感があります。
量が多くて読み切るのに時間がかかるがおすすめです。 -
KGBの上級管理職であったスパイが、イギリスのMI6にスカウトされ二重スパイとなり、その発覚後に旧ソ連から命からがら脱出したその状況がリアルに分かる。
映画で見るような波乱万丈なスパイの実情が明らかにされている。実話である事の迫力は凄まじい。
ここに出てくるのは欧米の話であるが、スパイ天国と言われることもあると言う日本の状況が心配になる。
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