サバイバル家族 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120053368

作品紹介・あらすじ

服部家のご馳走は、カメ、シカ、大ネズミ! 


長男の受験失敗、次男の高校中退もなんのその。


〈サバイバル登山家〉による爆笑&感涙の家族奮闘記。


都会で挑むニワトリ飼育やボロ屋に住むコツも満載!

感想・レビュー・書評

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  • 「本の雑誌」での連載を愛読していて、「ストイックで哲学的な登山家」という人物像を思い描いていた。家族のことを書いた本書を読み出すと、あれ?ずいぶんイメージと違う。後に妻となる小雪さんとの出会いから書き出されているのだけど、結構おっちょこちょいというか、猪突猛進というか…。これ、もしかして登山家や探検家によくあるマッチョ臭漂う語りなのかなと、いやな予感がよぎるが、読み進めていくとそんなことはなくて、非常に面白かった。

    横浜で、斜面に立つトタン屋根の一軒家(クーラーなし)に住み、ニワトリを放し飼いにし(このニワトリの話が面白かった)、食べる肉はそのニワトリや自分が撃ってきた鹿。今の消費文明に疑問を持つ著者の生活ぶりが綴られている。ただし、極端な原理主義者ではなくて、家族、特に子供に、自分の主義主張を強引に押しつけるところがない。妻があまりの暑さにクーラーを導入することも(反対はするが)許容する。そういうスタンスがなかなか良いなあと思った。

    子供について、出産時や幼い頃は自分の山行を優先して妻に恨まれていたとか、基本的に勉強しろとは言わないものの、実は偏差値の高い進学校に行ってほしいという気持ちがあることを正直に吐露していたり、あんまりええ格好してないところもマル。妻や子供の気持ちに敏感であろうとする姿勢があって、それってとても大事なことだと私は思う。

    あちこちに、ちょっと立ち止まって考えたくなる言葉がある。以下はその抜粋。

    ・私は登山で「自力で生きること」と向き合う瞬間が多かったためか、ただ生きているだけで支払いが発生する消費経済と、生きる喜びさえ購入するというシステムにずっと違和感を持っていた。その延長線上で狩猟をはじめ、家の暖房を薪ストーブ一本にし、家庭菜園やニワトリの飼育をおこなってきた。

    ・私の信条は「なにも経験しない平坦な人生より、良いことでも悪いことでも色々経験したほうがいい」である。だから子どもは三人以上というのは決定事項だった。ただ増えれば増えるほど、プラスの要素も増えるが、リスクも増える。子どもが増えれば、何らかの事故にあう可能性も高まり、子どもが自分より先に死ぬ可能性も当然、高まる。もしそうなったときに受け入れる覚悟があるか、乗り越えることができるか。生きるとは、経験と感情を必要に応じて切り離し、現実を受け入れることでもある。

    ・命は常に死というリスクをはらんでいる。生と死は不可分な裏表だからだ。人の親になるとは、子どもの死に遭遇するかもしれない覚悟を持つことだ。

    ・競争社会を生き抜いて、高学歴で社会に出て、企業の歯車になれるなら面白いかどうかはともかく経済的な不安はなく生きて行ける。だが、別段望むことではない。そもそも私の望みなど子どもの人生には関係ない。私の最終解答は、親から自立して自分の人生を生きて欲しい、それだけだ。その過程でもし、生まれてきてよかったと思ってくれたら、もう言うことはない。

    ・この世にあまた存在する生物のなかで自由な排便が許されないのは、おそらく日本の小中学生と飼い犬ぐらいではないだろうか。

    ・自転車で行けるところ、自転車で運べるものというのを、私は「自力の限界値」と定めている。それ以上の移動や物質の所有に関しては、いったん立ち止まって考えるのが自己規律だ。

    ・どんどん生まれて、どんどん死ぬ(どんどん食べる)。個々の命を次々に更新することを動力にして、全生命体がうねりながら生き続ける。死は、現代人が思うほど悪いことではない。ただちょっと悲しいだけで、必要不可欠なことである。みんなが生きるためにみんなが頃合いで死ななくてはならない。もちろん私も。

  • 小雪さんともかくすごい。庭野糞は隣人だったらやはりいやかも。秋さんのキャプテン話が最後なのがありがたかった。

  • 変人エピソードの羅列なのだが、本人の一人称で書かれているのに語り部が常識的な感性という、なんだかどういう気持ちで読めばいいのか。

    この本を最初に読んでしまったのがいけないのかな? もしかしたら代表作「サバイバル登山家」の副読本なのかもしれない。読んでないからわからないけど。とはいえこの本だけで食傷気味なので読むとしてもちょっと時間を置きたいな。

  • 服部文祥の嫁さん獲得逸話から家族が増え、その後の子供の成長までを描く、服部家の家族物語。なかでも「庭ウンコサバイバル」は最高傑作!服部文祥のエッセイはホント面白い。

  • 憧れるが勇気がない

  • ニワトリ飼いたい

  • 家族物の面白エッセイ。面白いのは当然、光るフレーズや服部氏の哲学も散りばめられていて学びにもなる。かなり好みの文章だった。アタリです。

  • 登山をしながら山岳雑誌の仕事で家族を支える服部文よし氏の自伝的作品。
    子供の成長がメインかなー。

  • ナイス

  • 【所蔵館】
    羽曳野図書センター

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000951975

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著者プロフィール

登山家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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