滅びの前のシャングリラ (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.81
  • (289)
  • (490)
  • (358)
  • (67)
  • (10)
本棚登録 : 5804
レビュー : 495
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120053405

作品紹介・あらすじ

「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。


なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」



一ヶ月後、小惑星が地球に衝突する。滅亡を前に荒廃していく世界の中で「人生をうまく生きられなかった」四人が、最期の時までをどう過ごすのか――。


圧巻のラストに息を呑む。2020年本屋大賞作家が贈る心震わす傑作。

感想・レビュー・書評

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  • もし”地球滅亡の日”が一ヶ月後に迫ったとしたら、あなたならそれまでの日々をどう過ごすでしょうか?

    そんなことを急に言われても困りますよね。”地球滅亡”なんて、あなたは小説の読み過ぎです!と逆にご意見されてしまいそうです。ただ、実際には必ずしも小説の読み過ぎとも言えない状況もあります。1947年から発表されている”世界終末時計”の残時間。その時間が核の脅威と温暖化の進行によって、過去最短の”100秒”に更新されたことが少し前に報道されました。私たちが強く意識していないだけであって、私たちの平穏な日常というものは決して永遠に続くことが保証されたものではありません。そして、そんな”地球滅亡”は、人類が全く関与する余地なく発生する場合もあります。かつて、この地球上を闊歩していた恐竜たち。そんな恐竜たちの滅亡は今から6600万年前にメキシコ東部に衝突した小惑星が原因だとも言われています。また、現在でも確率的には数百年から数千年に一度という割合で小惑星の衝突の可能性が指摘されています。科学技術が発達した現在、小惑星が地球に衝突するとなった場合には事前に詳細な衝突日時の予測がなされるのだと思います。そんな予測が、あと一ヶ月後の衝突、そして”地球滅亡”を告げたなら、それは貴方に対する事実上の余命宣告ともなります。6600万年前に余命宣告なく、何が起こったかさえ知らずに死に絶えた恐竜たちに対して、その終わりをはっきりと宣告されてなお、それまでの一ヶ月をそれでも生きる他ない私たち人類。あれもやりたい、これもやりたいと考えてもどんどん止まっていくライフライン、経験したことのない無法、無秩序な世界が現出するのを目の前にして、その日その日を生き抜くことを考える他ない日々を送るであろう、その時の私たち人類。

    さて、そんな終わりの瞬間を考えた時に、恐竜と人類はどちらが幸せなのでしょうか?

    『ホームルームが終わって担任が出ていくと、糸がほどけるように教室の空気がゆるむ』という中、『いそいそと教科書を鞄にしまって』帰ろうとするのはこの章の主人公・江那友樹。そんな時『江那ちゃーん、待って待って。掃除代わってー』とへらへら笑いながら声をかけてきた井上。『終わったら連絡して』と『返事を待たずに』友人と帰って行った井上を見送り『うつむきがちに息を吐』く友樹。『ぼくは一生、搾取される羊として生きていくんだろうな』と思う友樹。『掃除が終わりました』とLINEを送ると『駅前のカラオケにいるから買い物してきて。三階のいちばん奥の部屋。ダッシュ』とねぎらいもない返信のみ。そして、『失礼します』と『流行りのJ-POPが襲いかかってくる』室内に入ると『井上たちのグループと、他のクラスの女子も合わせて八人がいた』という光景。『スクールカーストの中でも上位のグループだ』という中に『あ、藤森さん』と知った顔を見つけた友樹。『頼まれたやつです』と『井上に買い物袋を渡すと、ごくろうごくろうと千円札を二枚渡された』という展開。帰ろうとすると『江那くーん』と呼ぶ井上。『せっかくだし、なんか歌ってけば?』と言われて『井上がマイクを渡してくるが、流れだした音楽は聞き覚えがある程度で歌えない』という友樹。『藤森さん以外の女子がはしゃぐ』、『みんなが笑いをかみ殺して見ている』という状況に、『歌えないなら踊れば?』と提案ではなく命令する井上。これくらいのことには『慣れている』、しかし『これが藤森さんの目の前で行われる』ことを『つらい』と感じる友樹。『原因は特にない。井上の「イ」と江那の「エ」』というクラスの名簿順から始まった井上との関係。『ぼくにとっての不運は、井上にとってはパシリがすぐ後ろに控えているという幸運だった』というその起点。踊り始めた友樹の前で『藤森さんが立ち上がった。不機嫌そうに部屋を出てい』き、『井上もそそくさと』後を追ったという展開。廊下に出て『階段の手前にいるふたり』を目にした友樹。『雪絵の都合に合わせるからどっか行こ』と迫る井上に『迷惑そうに目を逸らしている』藤森。そんな中に『井上くん。さっきのお釣り、計算ちがいしてたから返すよ』と割って入った友樹。そして『その隙に藤森さんが井上の横をすり抜け、女子トイレへ逃げていく』という展開。『空気読めよ』と脛を強く蹴って部屋に戻った井上。そして、トイレから顔を出し『さっきは、ありがとう』と言ってまたドアを閉めた藤森。『礼を言われたくて助けたわけじゃない。けれど言われるとすごく嬉しい』と感じた友樹は過去を思い出します。小学五年のある雪の日、『偶然に駅のホームで出会った二人』。『東京に行くの』、『いざとなると怖くて』と話す藤森に『ぼ、ぼくが一緒に行こうか?』と答えた友樹。『いいの?嬉しい。ありがとう』と交わした会話。しかし後日、『藤森さん、あの、あのさ、あれから東京のこと』と話しかけた友樹を何故か無視した藤森。『あのとき、ぼくは身の程というものを知ったのだ』という過去の苦い記憶を振り返る友樹。そんな友樹に、夕食の席で『またいじめられたのか』とずばり問う母。『一発くらい殴り返したか』、『喧嘩は気合いだ』と言う母に防戦一方の友樹。そんな時テレビのニュースがこんなことを話し始めます。『アメリカのCNNテレビが地球への小惑星衝突を速報で流し、現在アメリカ各地で小規模な暴動が起きています。この件に関して明日にもアメリカ政府の公式会見が予定されているということです』。そんな突然のニュースをきっかけに、友樹と藤森の、そしてすべての人類の平穏な日常が”その瞬間”へ向かって大きく変化していく物語が始まりました。

    『一ヶ月後、小惑星が地球に衝突します』というニュースから、地球上のすべての人類がパニックに陥っていくという壮絶な設定のもとに描かれたこの作品。『なんとか衝突を回避できないか何年も前から各国協力態勢で挑んできたが、ついに軌道を変えることはできず』と、覆しようのない事態が平穏な日々を送っていた人類を襲います。こんな時、無敵のヒーローが現れて小惑星を木っ端微塵に、もしくは軌道変更をしてというような展開もフィクションとしてはありえそうですが、この作品ではあくまで”その日”へと進む他ない人類の激動の日常が描かれていきます。

    そんなこの作品は四つの短編から構成された連作短編の形式をとっています。それぞれの短編の冒頭には、その短編の主人公となる人物について数行の独立した紹介が入ります。上記した一編目〈シャングリラ〉では、『江那友樹、十七歳、クラスメイトを殺した』と始まるいきなりの衝撃的なその内容。『なんて未来だ。すごい世の中だ。もうなんでもありだ』と続くその紹介の後に展開していく物語。それが、『一ヶ月後、小惑星が地球に衝突します』という現実を前に右往左往する人々が、それでもその変化した日常の中でしたたかに生きる姿が描かれていきます。『きっとこれからの一ヶ月、時間をかけて、ぼくたちは少しずつ、いろんなものを削られていくのだろう。死ぬってどれくらい苦しいんだろう。ぼくは耐えられるだろうか』と悩む友樹の苦悩は決して友樹だけのものではありません。迫り来る経験したことのない事態に対して『明日から休校にするかどうか他校とも連携して話し合う』という職員会議、『スーパーやコンビニエンスストアなどで商品の略奪行為がはじまった』と報告の相次ぐSNS、そして『テロとみられる事件や暴動が全国で起きています。移動は充分に注意しましょう』と呼びかけるNHKニュースの内容など、もう誰も逃れることのできない”その日”へのカウントダウンに向かう社会の様々な動きがリアルに描かれていきます。何をすべきか、何をすることが正しいのか、誰も答えを見いだせない未曾有の事態。これを『終末を前にして、人類すべてが無力な子供に返っている』と表現する凪良さん。もし、この作品の事態が私たちのリアルな日常に訪れたらどうなるのでしょうか?この作品をただの小説と見て”馬鹿馬鹿しい”と語るのは簡単ですが、地球に衝突する可能性のある小惑星は実際に存在していることを踏まえると、この作品で描かれる世界は決して可能性がゼロではない未来の物語とも言えます。しかし一方であまりにかっ飛んだ前提を前にすると、私たちの思考力が追いついていかないということはあると思います。また、この作品の一ヶ月後という絶妙な期間の選択がそれに輪をかけます。それほどまでにこの作品の設定はあまりにも衝撃的であり、読者を放心させ、登場人物たちがどういう選択をしていくのかを第三者的に見守る他ない、そんな状態に読者をも追い込んでいく物語なのだと思います。

    そんな四つの短編の主人公たちは、今まで決して順風満帆な人生を送っていたわけではなく、どちらかというとそれぞれの人生の中でもがき苦しんでいた状況がありました。上記した〈シャングリラ〉の主人公である友樹は学校内で出来上がってしまった順位付けの中で『ぼくは一生、搾取される羊として生きていくんだろうな』と思いながら生きていました。しかし一方で、『あの雪の日の藤森さんに恋をしている』という思いのもと、藤森を守るために立ち上がる強い思いは持っていました。それは、他の主人公たちも同様です。日々の生活に苦しみながらも、生きることを決して諦めず、何かしら生きる目的を見出して明日に向かって歩いていく彼ら。そんな中に唐突に突きつけられた一ヶ月後の死の宣告。人間に限らずすべての生物は生まれた瞬間に死を迎えることを定められています。普段、意識的に考えることがなくても私たちの人生は常に死と隣り合わせにあります。そんな死の訪れを唐突に突きつけられた時、人はそこに何を思うのでしょうか?この作品では、略奪、放火、そして殺人など、私たちが現在暮らすこの国には到底ありえないと思われる光景が日常と化してしまった世界が生々しく描かれていきます。私は、その描写を見て当初この国にはこれは起こり得ないことだと考え、そこに強烈な違和感を感じました。先進国、発展途上国を違わず国外では何かあると略奪や暴動がすぐに発生している状況をニュースでよく見ます。一方でこの国では、大震災が発生した際でも略奪など無縁の”行儀の良さ”が世界から賞賛されるなど、その国民性は極めて穏やかです。しかし、それは、”その先”にやがて元に戻った日常を前提としているからなのではないか、ということに思い至りました。元に戻るからこそ、戻った時の自分の姿を前提にした行動を取っている、それがこの国の私たち。その一方でこの作品の主人公たちには、”その先”という概念が存在しません。小惑星が衝突した瞬間すべてが終わってしまうからです。”その先”がないと知った時のこの国の人たちが、”その先”を前提とした場合と同じ行動をとるだろうか?もしかするとこの国でも…と、悲しいことではありますがそんな風に思い至りました。

    では、”その先”がないと知った人たちはその時何を思うのでしょうか?私たちは、何らかの行為の先に、それを前提とした結果がついてくることを考えます。唐突に、あと一ヶ月の命であるという宣告がなされた時、それが病気という理由のあるものでないのだとしたら、何の行為の結果なんだろうという考えに至るのは当然のことだと思います。それが『罰やとしたら、俺ら、どんな悪いことしたんやろう』というその問いかけに『せめて理由がほしい。俺らが死ななあかん理由。ちょっとでも納得して楽になりたいんや』という思いが募るのは当然のことだと思います。もちろん理由があろうが無かろうが結果に変化はありません。しかし、結果が変わらずとも、自分が死んでいくことを納得できる理由を欲しがるというのは、人間が人間である根源的な理由の問いかけにも繋がるものだと思います。こういった点をとても丁寧に描く凪良さん。それが故に、どんなに問いかけようが答えのない結末を見る最終話〈いまわのきわ〉に描かれる主人公たちの姿には、私たちの想像を遥かに超える次元へと心の内を昇華させた姿を見るのだと思いました。

    そんな最後に向かう主人公たちが結末に見せる姿を『理性を捨てた獣と化して生き延びるのも、最後まで人間としての矜持を守って死ぬのも自由だし、極限状態で導き出される答えは人によって違う』と語る凪良さん。人は置かれた状況によって随分と変化します。冷静沈着と思われていた人が、その最後を前にして平時と同じく冷静沈着な行動をとるとは限りません。『たとえそれが普通じゃなくても、正しくなくても、許されていいし生きていてもいいんだってことを、この極限の世界で私は描きたかったのだと思います』と続ける凪良さん。そんな凪良さんが描くこの作品の主人公たちは、まさかの世界の終わりを前にして、そのそれぞれが潜在的に持つ本来の姿を他の人たちの前に垣間見せてくれました。そして、それは凪良さんがおっしゃる通り、正解、不正解というものではなく、そのそれぞれが見せるその人本来の姿でもあったのだと思いました。

    『最後の日がいざやってきた時の心境は、人によって見事にバラバラなんだと思う。そのバラバラな光景を、見てみたかった』と語る凪良さんの描くこの作品。私たちは、日常生活を送る中で、どんな大変なことがあっても、どんな事態が発生しても、一方で頭の片隅には”その先に続く未来”を前提にその時の行動を決めている、そのような側面があるように思います。しかし、この作品の大前提である”その先に続かない”立場に置かれた場合には、私たちはどのような行動を取るのでしょうか?その瞬間を前にしても、法律を遵守し、公序良俗を意識した行動を誰もが取れるものなのでしょうか?

    壮絶な設定を背景に丁寧に紡がれる人の心の機微を見るこの作品。リアルに展開されるカウントダウンの日々を生きる人たちの姿にすっかり心を囚われたこの作品。そして、読後もしばらくあれやこれやと考え込んでしまうとても読み応えのあったこの作品。凪良さんから、ドスンと重いものを最後に手渡された、そんな風に感じた絶品でした。

    • 魔法の薬屋   魔法の小瓶さん
      さてさてさんへ
      さてさてさんは凄いですね。
      沢山本を読んでいて、見習いたいです❢フォロワーも多くて尊敬します!!!
      さてさてさんへ
      さてさてさんは凄いですね。
      沢山本を読んでいて、見習いたいです❢フォロワーも多くて尊敬します!!!
      2021/03/19
    • さてさてさん
      本さん、コメントありがとうございます。私が読書を始めたのはまだ一年少し前のことなので、何もかも新鮮ということがあってたくさん読んでいます。こ...
      本さん、コメントありがとうございます。私が読書を始めたのはまだ一年少し前のことなので、何もかも新鮮ということがあってたくさん読んでいます。これが二年、三年と継続すれば人生の趣味の一つになるのかなあと思います。読書を始めて世界が広がった気はします。また読書を通じて喜怒哀楽を味わうことが増えたのもいいなと思っています。本さんに、本のことでコメントをいただけて嬉しいです。ありがとうございます。
      今後ともよろしくお願いします!
      2021/03/19
  • コロナ禍で、どんどん1日の感染者数が増えていく今の状況で読んでいると、臨場感がありました。

    以下、多少のネタバレがありますので、お気をつけください。

    一か月後、小惑星が地球に衝突するという重大ニュースが全世界を駆け巡っている時のお話です。
    突然、人類すべてが余命宣告されます。
    東京などのスーパーやコンビニでは、商品略奪行為が起こり、死体がゴロゴロ転がっているような状況。

    一人目の主人公は江那友樹、17歳。
    父は生まれる前に病気で死んで、母の静香に女手一つで育てられた高校生です。学校ではスクールカーストの最下位層です。
    そんな友樹が、全校生徒の憧れの美少女の藤森さんと広島から東京へ一緒に行くことになります。
    友樹は心優しく、藤森さんを見守り、藤森さんをレイプしようとしたクラスの井上を殺してしまい…。
    友樹の父親は死んだはずだったのですが、実は生きていて…。

    もう一人の主人公は同じ時代を生きる日本で最後の歌姫Loco。
    Locoも、恋人の大物プロデューサーのイズミを殺してしまいます。
    「明日死ねたら楽なのにと、Locoだったあたしはずっと夢見ていた。その明日がついにやってくる」
    「なあ、生きてるってなんやねん。あたしはその答えを、いまわのきわまでに見つけられるだろうか」

    人間の正真正銘の温かさと終末の世界の燃え尽き感が同時に伝わってきました。

    これから、明日が始ればよかったのに!
    今までなんで、気が付かなかったのだろう。

    • まことさん
      さてさてさん。たけさん。
      そうだったのですか(*^^*)
      男性作家の、第一号は、伊坂さんでは、いかがでしょうか?
      私も、コロナ禍で、読書と、...
      さてさてさん。たけさん。
      そうだったのですか(*^^*)
      男性作家の、第一号は、伊坂さんでは、いかがでしょうか?
      私も、コロナ禍で、読書と、ブクログ訪問で、余暇を過ごしています。
      先はまだ、見えませんが、お互いに刺激しあいながら、乗り越えていきましょう。
      これからも、よろしくお願いいたします。
      2021/03/13
    • たけさん
      さてさてさんの大海原感、わかる気がします。ブクログの皆さんのレビューは、航海図や羅針盤、灯台のような存在ですよね。

      コロナ禍で、改めて自分...
      さてさてさんの大海原感、わかる気がします。ブクログの皆さんのレビューは、航海図や羅針盤、灯台のような存在ですよね。

      コロナ禍で、改めて自分には「読書好き」というコロナと闘うための武器があってよかったと、そして、ブクログでその武器を研ぎ澄ます出会いがあってよかったと思っています。

      心が健康でいられるのも、まことさんやさてさてさんをはじめ、ブクログで出会えた皆さんのおかげだと、改めて感謝です!
      今後ともよろしくお願いします!
      2021/03/13
    • さてさてさん
      まことさん、たけさん、どうもありがとうございます。
      読書メーターのちょっと激しすぎるSNS度に比べて、ブクログはアットホームでとても居心地...
      まことさん、たけさん、どうもありがとうございます。
      読書メーターのちょっと激しすぎるSNS度に比べて、ブクログはアットホームでとても居心地が良いと感じています。皆様との”本”、そして”レビュー”を介しての出会いは、閉鎖感に包まれたコロナ禍の中で、ベタな言い方ですが、オアシスのようなものだと思っております。
      今後ともよろしくお願いします。
      2021/03/13
  • ー 一ヶ月後、小惑星が地球に衝突します。

    テレビ付けたら、そんなニュースがいきなり飛び込んできました。正気でいられますか?っていう話。

    人類はほぼ消滅するという中、生きる意味を見出していく者たちの物語。アリアナ・グランデの「One Last Time」のPVを彷彿させる。もしくは、日清カップヌードルのHUNGRY DAYSの最終章(アオハルかよ。のやつ)。

    印象的な装丁の絵と凪良さんの前作「流浪の月」がとてもよかったことがあって、即買いした本作品。
    しかし、正直な話、一章目の「シャングリラ」のあたりは、質の悪い「オーダーメイド殺人クラブ」を読んでいる気がして、モヤモヤしながら読み進めた。

    でも、この作品、徐々にエンジンがかかってくる。いくつになってもチンピラを抜け出せない信士が、スクールカーストの底辺にいる高校生・友樹やその母静香と繋がるあたりから、俄然ストーリーが回りだして、引き込まれていく。

    そこからは一気読み。
    衝突の瞬間までフルスロットルでかっ飛んでいく。

    滅び行く運命なのに、何故生きるのか?
    「幸せ」とは何か考えたい人にオススメ。
    コロナ禍だけに、心に響く部分も多い。

    そして、ロックが似合う。布袋寅泰とか、キッスとかハノイ・ロックスとか出てくるけど、僕の場合は、読んでいる間、頭の中で椎名林檎さんとミッシェル・ガン・エレファントが頭の中でずっと流れていた。

    カッコいい小説です。

    • まことさん
      たけさん。こんにちは。

      たけさんのレビューを拝見した次の日、図書館から順番が回ってきて読み始めました。
      そしたら、すべてがたけさんの...
      たけさん。こんにちは。

      たけさんのレビューを拝見した次の日、図書館から順番が回ってきて読み始めました。
      そしたら、すべてがたけさんのレビュー通りに見えてきました。
      BGMには椎名林檎がかかり(あまりよく知らないのですが)ロックがずっと流れている感じで、映画を観ているかのようでした。
      もう、私のレビューなんていらないと思ったけど、一応書きました。
      ホントにカッコよかったですね!!
      2020/11/20
    • たけさん
      まことさんコメントありがとうございます!

      こちらのまことさんのコメントには、たった今気付きました(笑)

      レビューへの感想褒め過ぎと思いま...
      まことさんコメントありがとうございます!

      こちらのまことさんのコメントには、たった今気付きました(笑)

      レビューへの感想褒め過ぎと思いますが、お言葉有り難く頂戴します。

      さて、この作品、ぜひ映画化してほしいですよね。
      カッコいいロックを劇中にがんがん流してほしい。
      そして、エンディングソングにはミッシェル・ガン・エレファントの「世界の終わり」を使ってほしい、と思いました。
      2020/11/21
    • まことさん
      たけさん。

      てっきり、こちらのコメントの返信だと思っていました(*^^*)
      お互いに知らずにコメント出し合っていたのですね!
      あち...
      たけさん。

      てっきり、こちらのコメントの返信だと思っていました(*^^*)
      お互いに知らずにコメント出し合っていたのですね!
      あちらへのコメントで、伊坂さんと不可分になっているという、お言葉、伊坂さんの熱狂的ファンとして嬉しかったです。

      音楽のことはよくわからないのですが、
      映像化いいですね!
      でも、コロナが終わってくれないと、観に行くのは難しいかも。
      2020/11/21
  • グッと涙の一冊。
    小冊子まで味わい尽くし、グッときて涙が出た。

    突然ではなく決められた、みんな平等に迎えるその日まで何を思いどう生きるか見せられた物語は静かに心が波打つ時間。

    時折涙腺と心をギュッと掴まれるような言葉に出会えた瞬間がたまらなかった。

    この言葉選びに力強さを感じる瞬間が好き。

    終末に向かう荒廃の中、誰もの心情、霞んでいた周りがクリアに、大切なものは何か、何をするべきかを迷いなく掴みとっていく姿が眩しい。

    幸せの眩しさだ。

    自分も大切な人、ものをしっかり感じたい。そして最期はありがとう。って言葉で〆たい。

  • 久しぶりに凪良ゆうさんの作品をじっくり読んでみた。

    BLでキャリアの長い著者だが、ここ2年ほどで一般文芸分野でも一気に頭角を表した。実際彼女の作品を読むと、マイノリティや偏見で見られる立場の人達の心の奥底に溜まる想い、言葉に出せない苦しみ、悲痛な叫び、それでも彼らなりに生きようとするプロセスを非常に繊細に描いており、どの作品も感情移入が半端なかったものだ。

    タイミング的には2020年本屋大賞を受賞し、その前後で執筆されたであろうこの作品。今度はいったいどんな世界観を魅せてくれるのか、楽しみに頁をめくり始めた。

    この本は前半・中盤・後半でどんどん転調していく。前半は重い空気だ。いじめにあっている少年の様子、心の中の声を切々と綴っている。こちらの心が苦しくなるぐらいだ。しかしやはり表現力がうまい。読む手が止まらないのだ。一つ一つ重要な伏線があるだろうと思い、注意深く読み込んでいく我慢の前半だ。

    一気に、パンッと破裂したかのように物語が動き出し、次々と早い展開を見せる中盤。ぐいぐい引き込まされ、ほっとしたり、どぉわーっと思ったり、ほろっとしたり、くすっとしたり、、まさに波に浮かぶ葉のように、翻弄されまくるのである。これがとても心地よく、読書の楽しみ・醍醐味を脳内に爆発させてくれる。

    そして後半、つながってきたように見えたストーリーが一旦切れたかに見える。実際は別の登場人物の視点に切り替わっているのだが。この後半の中で、最初はやはり重い雰囲気から始まる。物語全体が終わりに近づいてきているのに、一体、この小説をどんなエンディングに持ち込もうとしているのか、不安さえよぎる。

    しかし、後半の中盤から物語は再び総まとめのように動き出し、そして最後の展開が実に見事であった。もしかしてこの人たちはどうにか助かるんじゃないのか、なんて期待している自分がいたりするのだが、最後はそういう考えもなくなっていく。自分の命が終わろうとしているときに人はどうすることができるのだろうか、何故人は死ぬのか、罪とは何か、そして人は何故生きているのか、どうして生きていけているのか、色々な考えが頭をよぎる。

    エンディングは純粋にうまいなと思った。あえて書かないことで強い余韻を残している。

    読み終わった後、振り返ってみると、一気読みとなってしまうほど、夢中で貪るように読んでいた自分に気付く。それほど本への惹きつけ力が非常に高いということは間違いない。そして凪良ワールド独特の心理描写と表現を随分楽しんだことに気付く。おそらくこの感触は凪良作品でないと味わえないものだろう。

    それから、何時間でも考えに耽られそうな各シーンの意味や、自分の人生との照らし合わせみたいなもの、死生観みたいなものを軽く、ポンと心に置かれた感じだ。そう、お仕着せがましくなく、軽くポンと置かれたのだ。あなたなら、この1か月をどう過ごした?あなたなら、死ぬのが怖かったか?あなたはいま何を思い、生きているのですか?そんな風に問いかけられている気がした。

  • 1ヶ月後に隕石が当たって、人類が滅亡する世界。
    …もし現実に、令和の現代で、そんなことがあったなら、本当にこんな世紀末の世界になるのだろうか。
    街は荒れ果て、人は争い殺し合い、秩序など全くない世界に。


    大切な人を守って「ヒーロー」になろうとする者、ようやく「普通の家族の幸せな生活」を送れるようになった者、死ぬ間際になって解放感でいっぱいになっている者、ようやく自分らしくなれた歌姫。

    皮肉なことに人は死を前にしてようやく、生きることについて真剣に考え始め、善悪に関係なく、生きる理由を探し求める生き物だ。
    そして、答えを導き出した時にはすでに遅い。遅すぎる。

    なぜ。どうして。怖い。不安。
    終盤のポチのセリフが、人類ひとりひとりの本音なんじゃないかと思った。
    生きるって、なんやねん。

    物騒すぎて嫌な世界やなぁと思いつつ、最後には「繁殖するように」つながりあう人々の様子が描かれていて、やっぱり最後には、陳腐な表現だけど「絆」とやらが紡がれるんだな…と少し救われた思いがした。
    人類を滅亡に導く隕石の光は、誰かにとっては希望の光にも見えるものだった。

  • 明日、地球が爆発してしまえばいいのに!
    なんて、一度は誰でも思ったことがあるんじゃないでしょうか?
    でも、そんなのはただの妄想でやっぱり明日は変わらずにやってくるから今日もそれなりに生きていかなければいけないわけで。
    でも、本当に一ヶ月後に地球が滅亡することになったら?
    大多数の人が自分の気持ちに蓋をしないで正直に生きようとすると思います。
    それはきっと、余生を悔いなく生きようというのとはまた違っていて、消えるのは自分だけではない、誰もが消えてしまうんだから、明日のことなんか一切考えなくていいんだ、だったら本当の自分の気持ちは?自分はどうしたいんだ?ってところにたどり着くんじゃないでしょうか?
    でも、やっぱり人は勝手なものさしで生きてるから、みんなが正直になりすぎるとぶつかり合ってしまう。人は、単に気持ち悪いか悪くないかの基準で平気で他の生き物を殺したり、自分に向かう暴力は許せないのに、自分を助けてくれるための暴力には感謝したりするものだから。暴力は暴力でしかないのに。
    だけど、その時に思い浮かんだのが本当にやりたいこと、本当に会いたい人だっていうのは確かなこと。
    地球が滅亡しなくたって、そんな風に自分の気持ちに正直に毎日を過ごせたらいいのに‥‥それはとても難しいことかもしれないけど。

  • 続きが気になり、ぐいぐい読んじゃったんだけど
    内容や描写が残酷だったりして評価は低めで

    一か月後に地球が滅亡するとなって
    暴動とかが起きるのだが
    この、コロナ禍の世界が終わらず
    こんな本の内容のようなことになってしまったらと言う恐怖に思えた。

    主人公たちが生きるための行動
    その行動のせいで犠牲にってる人がいると言う残酷な事実。

    ちょっとダークな気持ちになりました。

  • 凪良ゆうさん2冊目。

    前回も優しい文体で読みやすかったので、今回も期待して読みましたが、その期待を裏切る事なく一気読みでした。

    目力さんがとてもいいキャラで、ズカさんと
    またくっついて、滅びることが回避できたとしても、ずっと一緒にいて欲しいなぁと思いました。

    lokoの話しは、売り出し方や裏事情などなんだかリアリティがあって、身近な人が歌手になったかのような錯覚になりました。
    そして、表紙の赤ちゃんと銀のスプーンは、そこにつながっていたのかーと。
     
    気になっていたスピンオフも読めて、大満足でした。

  • 読むのを楽しみにしていた一冊。

    人類滅亡、あと1ヶ月で消えて無くなる、という想像を絶する展開。いや、待てよ。想像できるかも。まさに今。未知なるウイルスと人類は戦っていて、明日の自分がどうなるかも分からない状況を自然と重ねて読んでいた(ちょっと違うか、とも思いつつ)。

    生まれたら、いつか死ぬ。それは当たり前。
    でも、1ヶ月後に強制終了させられる。圧倒的な理不尽さから逃れる術がない場合、自分はどうするだろう?

    人間は未知なるものを前にすると、恐怖を感じる。その恐怖心から自分を守る行動は、人それぞれ違う。誰だって怖いのは嫌だ。

    1ヶ月か。
    長いようで短く、短いようで長い。
    出来ることはきっとある、そして出来ないことも山ほどある。恐怖心と戦いながら、隕石カウントダウンしてしまう自分と、少しくらいは冷静に向き合えるかな。いや、無理だな。。
    なんとか最後の瞬間まで、自分の足で立っていられる自分でありますように…などと願うことしかできないだろうな。とても弱い。そして情けない。
    ただ、誰かを傷つけることだけはしたくない、しない!と、強く誓いながら、読了。

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著者プロフィール

凪良ゆう(なぎら ゆう)
小説「花丸」冬の号『恋するエゴイスト』(白泉社)でデビュー。『雨降りvega』(イラスト:麻々原 絵里依)、『365+1』(イラスト:湖水 きよ)などの作品を手がける。主にボーイズラブ系で活動。
作品多数。主な作品に、『積木の恋』『未完成』『美しい彼』『ショートケーキの苺にはさわらないで』『おやすみなさい、また明日』『2119 9 29』『雨降りvega』など。
『悩ましい彼 美しい彼3』がBLアワード2020 BEST小説部門第1位を獲得。『流浪の月』が2020年本屋大賞の大賞を受賞。

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