- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120053665
作品紹介・あらすじ
クラゲが好きだったあの子は、どうして死んだんだろう?
殺人、傷害、交通事故、違法薬物、違法労働、虐待、自殺者がゼロの海上コロニー――通称《楽園》。
その七つのゼロをはじめて「自殺」で破った少女・ミサキ。
彼女の死に疑問を抱いた僕は、彼女の行動を探りはじめる。そこには、七日前に現れた新種のクラゲが関係していた?
気鋭作家・渡辺優の描く、新世界。
感想・レビュー・書評
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ブックオフで表紙とタイトルに惹かれて購入です。
岩手の沖に建設された海上コロニーという、SF的な舞台設定。そこで、新種の猛毒クラゲが確認され、街はパニック状態に。そんななか、ミサキという少女が自殺し、友人のナツオはそれを目撃しますが、どうやらコロニーを管理している「セントラル」に隠蔽されてしまった様子。自分の意見が持てず、クラゲのように流されながら生きているナツオはミサキが自殺した理由を知るために、走り回りますが……。
コロニーに移住してきた人々は、抽選によって選ばれ、厳しい条件のもとではあるのですが、ベーシックインカムをもらいながら悠々と暮らしています。当然、本土の人から羨望と嫌悪(これらは裏返しである!)の目線を受けます。このコロニーはそういう意味ではマイノリティコミュニティの象徴とも捉えられるでしょう。そこでは、不都合なことは「起こってはいけない」。統制されています。平穏な社会は大きな事件によってかき乱され、本土とコロニーの対立、互いへの猜疑心が描かれますが、実のところ、どちらに住んでいるのも、ごく普通の、ありふれた人間でしかないことがが示されていきます。このことは、現実のマイノリティコミュニティについての示唆を与えているようです。
マジョリティが思っているより、マイノリティ側の人間は普通の生活をする普通の個人であるし、マイノリティが思っているよりもマジョリティはプラクティカルな(イデオロギーではない)世界に生きているのです。 -
クラゲがキーワードで何かの暗喩かと思いきや、本当に巨大クラゲが襲ってくる話。面白いのだが、最後が??少年が大人になったって事かな?
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クラゲが好きだったあの子は、どうして《楽園》での最初の死者になったのか? 七色に光りる新種のクラゲが、世界を変えていく。
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読み切るのが寂しくなる本
また読めばいいかって
ことじゃないくらい儚い物語だった
読んでる途中から
これは初読が肝心だと感じて
ゆっくり読んだ
特に最後の数ページは
ゆっくりゆっくり読んだよ -
【9月読み終わり】
こういうのめっちゃ好き。表紙の青さに惹かれたのと、帯の「死にたいっておもったこと、ない?」の謎に惹かれて、購入した。少年の身になって、ノートにメモ解析するほど、ハマっていった。 -
なにも煩わしいことのない海上コロニー「楽園」に住む人々。そこで大量のクラゲ発生事件がおきる。まもなくして、ある少女が自殺をする。
友人であった少年は、亡くなった少女から一通のメールを受け取ることになり、少女が自殺した理由を解き明かそうとする。
と、いう所謂SF、青春、ファンタジー的な話かと思いきや、自殺した少女をとりまく人達(大人子供かかわらず)の人間性を深掘りしたような作品でした。
文章自体もするする読めて、内容も入ってきやすいので、漂うクラゲのように何も考えたくない時に読むことをおすすめします