おまえなんかに会いたくない (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 609
感想 : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120054600

作品紹介・あらすじ

北海道道立白麗高校・第二十七期卒業生3年6組の元クラスメートたちに、校庭に埋めたタイムカプセルの開封を兼ねて同窓会を開催するはがきが届いた。同窓会SNSも立ち上がり、10年前の高校生活を懐かしみながら盛り上がていく彼ら。しかし、ある日、「岸本李矢という子を覚えていますか」という書き込みが……。爆弾ともいえる書き込みに、ある事実が明らかになっていく。それぞれの思いで苦悩する登場人物たち。新型感染症で変わっていく世界の中、同窓会は近づいていた……。高校時代の「いじめ」に対して、関わった人々の心の移ろいと葛藤を描いたリアルな青春群像劇。

感想・レビュー・書評

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  • 札幌市北区の白麗高校には遺言墨という都市伝説が伝わっています。その遺言墨で手紙を書くと、書いた内容が確実に相手に伝わり、誰か、その手紙を受け取った人か、書いた人が死ぬというものです。誰かの秘密を握っていて、その誰かに本当のことが伝わってしまう墨。その墨はネットで簡単に手に入るそうです。

    10年前の3年6組だった生徒たちが、同窓会&タイムカプセル開封イベントを10年前の予定通り開こうとする話です。
    幹事は今、東京でアナウンサーとして活躍中の井ノ川東子。

    十年前3年6組のスクールカーストの最上位だった花田は岸本李矢というスクールカースト最下位の女生徒から一方通行な告白をされてその場で断ります。
    それから岸本はカースト最下位に加え、空気の読めない奴としてクラス中のいじめを受けて学校祭でタイムカプセルを埋めた後に転校してしまいます。

    そして10年後の同窓会。SNS上でタイムカプセルに岸本の遺言墨が入っているのではないかという噂が出てきて、同窓会に全く興味のなかった井ノ川や花田も怖くなって出席することになりますが…。


    以下私の感想で、ネタバレ含みます。お気をつけください。


    岸本の告白は誰がされても全く嬉しくない自己中心的なものだと客観視しても思えます。誰でも花田に同情するでしょう。
    ブスだから付き合ってもらえないと考える岸本は傲慢だと思います。自分が全く見えていません。ユーモアとも違います。

    途中で転校して同窓会に参加できなくなったはずの岸本が○○という手段を使って同窓会に出席しようとするのは凄い執念だと思いました。
    岸本はスクールカーストが嫌いなのだと言っていますが、悪いのはスクールカーストではなく岸本の性格だと思います。

    これは、ホラーではないかと途中思ったりしましたが、納得のいく結末でよかったです。

  • ブクログにおいて否定的な言葉は極力使わない、というのがマイルールです。なぜなら、基本、私は口を開くと否定的なことばっかり言ってしまうから〜笑
    意識して肯定的な言葉を絞り出そうと努力しています(努力しないとすぐ黒い私になる‥‥汗)
    しかし!この物語にはこんなマイルール、すぐに吹き飛ばされてしまいました。
    でも、私は思う。乾ルカさんはきっと読者をこういう気持ちにさせるためにこの作品を書いたのだろうと。

    この物語に出てくる登場人物、どいつもこいつもどうしようもない!
    高校生の時、そして10年後の今をそれぞれの登場人物が語っていくのだけれど、高校生の時のスクールカースト、いじめ、それは百歩譲って我慢して読むことができる。
    だけど10年後、こんなにも誰も彼もが成長していないのですか?どんだけ子どもっぽいんですか?あんたたち最低だよ!と黒い私が叫んでしまう 笑

    でも一方で思う。人って思い当たることがある時こそ、キョドったり声高になってしまうものだよなと。
    私がこの作品にこんなに反応してしまうのは、どこかで何か思い当たる節があるからなのかなと。

    とってもとっても黒いお話でした。
    表には出さなくても、心の中で誰でも一回はこんな風に黒くなったりしたことあるのではないでしょうか?

    この登場人物たち、最後は歩み寄れたのかな?どうだったのかな?
    どうしても歩み寄れないこともあるよね。
    別に言ってもいいと思う、私は。
    「バーカ!」って。(ただし心の中でね)

  •  以前同窓会の役員をしていた。同窓会に参加しない理由の第1位は「めんどくさい」だそうだ。また、「会いたくない人(先生含む)がいる」との理由もそれなりにあるらしい。

     確かに「勝ち組」、「負け組」、「スクールカースト」、「いじめ」等々あります。そういうことを気にしない(ふりをする)人もいますが、そうではない方も。

     今作は同窓会が開催されるまでの「まえふり」が大部分。というか、そこに至るまでのクラスメイトの描写を主題にしているのだと思う。だから「同窓会」の描写は、意外とあっさりしていると感じた。

  • <訪問>「おまえなんかに会いたくない」を書いた 乾(いぬい)ルカさん:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/sp/article/598663?rct=s_books

    おまえなんかに会いたくない|単行本|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/tanko/2021/09/005460.html

  • たぶんどこの学校にも存在しているんだろうスクールカーストのあるある。
    いじめの構造も、発生の仕組みも、スクールカーストが大きい。
    同窓会開催をきっかけに、それぞれの階層の(主に)女子たちの視点から、「あの頃」を振り返る。

    同窓会で10年ぶりに会ったとしても、きっと当時のカーストのグループで固まるのだろう。
    自分より上のカーストの子と仲良くなりたい。下のカーストの子とはなるべく一緒にいたくない。
    その気持ち、とてもわかる。
    私も、三井のようなカーストエラーの存在になりたい。
    いっそのこと、みんながカーストエラーだったらいいのに。

    最下層として描かれる岸本は、確かに「痛いなあ」と思ってしまった。
    人からこんなふうに思われるような人にはならないでおこうと自戒した。
    だけどもしかしたら、私も当時岸本だったかもしれない。

    カースト最上位の井ノ川は、媚びてなくてかっこいいなと思った。
    媚びないのも、幼い頃から外見の良さを自覚しているからだけれど。
    最後の対応も潔くて、井ノ川いいな、と思った。
    (だけど現実には、そんな対応をする人はほぼゼロなんじゃないかと思う。)

    正直に言う。やっぱりカースト最上位に憧れがあるし、今でもなれるならなりたいんだと思う。

    コロナ禍のイライラやモヤモヤにも共感。
    木下(カースト2番手)の章は、「うわーーそれだめだって。わーーほらあもう。あかんて……」とツッコミながら読んだ。

    そして、全く知らなかった「遺言墨」。
    え、全国レベルで知れ渡っている都市伝説なの?!ってびっくりしていたら作者が作った架空のものだった。よかった。笑

    装画は雪下まゆさん。
    「愛されなくても別に」の装画もインパクトがあって印象に残っている。すきな感じの絵だ。
    それにしても、雪下まゆさんが装画を担当する本は「おまえなんかに会いたくない」「愛されなくても別に」っていう、ちょっとトゲトゲしたタイトルばかりだな。笑
    少女のむきだしの感情を具現化しているようで、作品の内容ととてもよく似合っている。

  • 10代におけるスクールカーストのリアル。

    開けたら一瞬で過去に引き戻されるタイムカプセルのように、この本を開いた途端に自分のカーストをあぶり出され、真っ直ぐに問われる「自分はどうだったか?」

    自分の放った言葉たちは、どんな大きさで届くのかわからない。
    自分が何気なく放った言葉が、たとえ自分から離れた時点で忘れてしまっていても、誰かの心に留まったまま悲しく抱え込まれていたり、毒のように巡り続けたり、呪いのように張り付いたままだったり、そういった可能性があることが怖いなと思った。

    開けて見たときに爆発するような、起爆剤を生み出してはいなかったか、過去の自分の行いに火種はないかを問われる思いがした。

    自分の立ち位置からこの作品を読み、様々な視点から読み進めることで、共感や後悔、葛藤が渦巻いていく。

    タイトルの『おまえなんかに会いたくない』その言葉に含まれている意味が、様々な形となって想い巡る。

    人はそれぞれ違う。
    そして人はどうしてもそれを比べてしまいがちだけれども、優劣をつけるのではなく、認め合ったり、想像力を働かせしたりして、そこから希望を見出せたらいいなと思う。
    そこに届いてほしい願いが、この本には描かれている。

  • 素晴らしかったです。

    いじめた側いじめられた側
    責任を取る人擦りつける人
    今を生きる人過去を大切にする人

    どこまでがいじめか
    どこまでが悪いのか

    色々なテーマが同窓会を軸に展開していく人間模様は、ダークな青春群像劇として最高傑作です。

    湊かなえさんに似たような雰囲気も感じましたが、キャラクターの濃さやリアリティは湊さん以上の様な気がします。

    この本を読んで、自身の過去を回顧しない人はいないでしょう。

    遺言墨が届かぬことを願います。

  •  高校時代に埋めたタイムカプセルの開封を兼ねた同窓会開催の通知。同窓会SNSへの一つの書き込みをきっかけに、それぞれが思い出す高校時代。さまざまな視点で現在と過去を交互に描き、それぞれの思いを炙り出していく。そこに感染症禍を盛り込むことで、登場人物たちのよりリアルで等身大の姿が浮かび上がっている。
     イヤミスなら闇落ちしそうな展開だけれど、これは大人になった彼らが自らを省みてそれぞれに受け止めた姿を見せてくれた。読者自身に、自分に引きつけて考えさせる。
     私には三井がいちばんの謎。彼女の内面パートが読みたい。


  • スクールカーストと言う名のいじめ。

    乾ルカサンの小説を読むと、いつも一つの
    事柄に対してそこに関係した人の数だけ
    感じ方があると改めて考えさせられます。

    登場人物一人ひとりから発せられる言葉は、
    現実感があって生々しく、まるで自分が
    その人になってしまった様な想像が働きます。

    なんでしょうか、
    それって少し分かる……。
    という様な印象を感じでしょうか。

    〜〜〜
    乾ルカさん
    おまえなんかに会いたくない


    身体に傷をつけなくても、
    相手の心に傷をつけてしまったら
    それはイジメと言えてしまう。
    そしてイジメと感じるかどうかは、
    それを受けた本人の心が決めること。

    自分にはそんなつもりは無かったと 
    他人は言えるけど受けた(感じた)当人の
    辛さは当人にしかわからない。

    どれだけ想像力を働かせても、自分以外の人が
    感じた心の本心を全て読み取ることは出来なくて、
    だからこそ、自分の態度や発する言葉が
    どんな風に相手から受け取られるのか
    考えなくてならないと考えさせられる小説。

    きっと今この瞬間もどこかで、
    辛い。悲しい。逃げたい。苦しい。
    消えてしまいたい。終わりにしたい。
    と考えてる人がいるんだろうと想像すると
    堪らない思いになる。

    でも、小説のラストを読んで、
    人は変わる。変われる。変わっていける。
    そう、ささやかだけど希望が感じれました。

    高校生という限られた時間と空間、
    コロナ禍という自粛期間や異常な緊張感、
    追い詰められた人の狂気的な精神状態、
    どの登場人物にも部分的に共感できる所が見えて
    息苦しくなるほど現実味がありました。



  • クラスカーストを背景にした群像劇。高校最後の学校祭で埋めたタイムカプセルに“遺言墨”で書かれたメッセージがあった。都市伝説に過ぎないと笑いながらも、完全には否定できず疑心暗鬼になっていく。カースト上位と下位の者の当時の行動と現在を交互に描き、いじめの構造に鋭く踏み込む。いわゆる“イヤミス”なのかもしれないが、読後感は悪くなかった。

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著者プロフィール

乾ルカ

1970年北海道生まれ。2006年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。10年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『わたしの忘れ物』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆した。近著に『明日の僕に風が吹く』『龍神の子どもたち』がある。

「2021年 『おまえなんかに会いたくない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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