宮脇俊三の紀行文学を読む (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120054693

作品紹介・あらすじ

内田百閒、阿川弘之につらなる鉄道紀行の第一人者・宮脇俊三の世界が今よみがえる!

 宮脇の深い教養に裏打ちされた、「写真のいらない」紀行文学。国鉄がJRとなり、寝台特急がほとんど廃止され、北海道や九州からローカル線がほぼ消えるなど、宮脇が書いた鉄道風景はずいぶん変わってしまった。その点からも、懐かしさとともに、発見の多い内容となるだろう。今はなき鉄路の地図、多数収載。


第1章 『時刻表2万キロ』――国内紀行①

第2章 『最長片道切符の旅』――国内紀行②

第3章 『終着駅へ行ってきます』――国内紀行③

第4章 『時刻表おくのほそ道』――国内紀行④

第5章 『失われた鉄道を求めて』――国内紀行⑤

第6章 『台湾鉄路千公里』――海外紀行①

第7章 『インド鉄道紀行』――海外紀行②

第8章 『殺意の風景』――小説

第9章 『古代史紀行』『平安・鎌倉史紀行』『室町・戦国史紀行』    ――歴史①

第10章 『時刻表昭和史』――歴史②

感想・レビュー・書評

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  • 鉄道関連の紀行作家として「テツ」以外にも
    名前が知れ渡っている宮脇俊三氏。

    その作品をリスペクトも込めて振り返るのが
    本書です。

    廃線歩きをメジャーにしたのも、このひとの
    作品からだと言っていいでしょう。

    鉄道に興味が無い人でも旅情溢れると感じさ
    せる文章を書いたが、実は文章に写真を掲載
    するのは良しとしなかったそうです。

    それほど「読ませる」ことにこだわっていた
    と言われています。

    今や地方の鉄道は絶滅危惧種ですが、鉄道黄
    金時代にローカル線に乗車して、その沿線の
    風景やそこに暮らしていた人々の記録は、第
    1級の風俗資料と言って差し支えないと思い
    ます。

    いずれ宮本常一の「忘れられた日本人」並み
    の名著になるでしょう。

    現代ではもう見ることができない風景が頭を
    よぎりますが、それでもどこかへ行きたくな
    一冊です。

  • 宮脇俊三の作品の魅力と同時に、紀行文の魅力を伝える一冊。写真やありきたりな表現を用いず、どう感動したか、どの様に美しいかを、言葉で具体的に描写する筆致は、読者を最も未知の土地へ誘うものだろう。イメージを大切にするからこそ写真を掲載しなかったスタイルには説得力を感じた。鉄道乗車に恵まれた環境で育った事が人生の仕事に結実した(させた)のは物語的。ハチ公の実見談や戦中の鉄道事情の空気や挿話は今や貴重。読みたい作品が必ず見つかる宮脇ガイド本と言える。

  • 紀行作家宮脇俊三の著作を読み解く。おそらく初の解題。

    NHKのラジオ番組が元の一冊。「時刻表2万キロ」の宮脇俊三の著作を背景や表現方法など解説する。

    長く中央公論社の編集を務めた宮脇。主観を極力なくした独特の文体何度も行われた推敲など深い視点が素晴らしい。

    宮脇の個人的に思い入れがあった作品は「時刻表2万キロ」「殺意の風景」「時刻表昭和史」であったという。

    本書が宮脇の再評価につながることを期待したい。あらためた宮脇作品を読み返してみたいと思う。

  • 内田百?、阿川弘之につらなる鉄道紀行の第一人者・宮脇俊三が描いた味わい深い風景を、今はなき鉄路の多数の地図とともにたどり直す

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著者プロフィール

昭和50年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒業、筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業科学専攻博士後期課程単位取得退学。日本及び東アジアの近現代交通史や鉄道に関する研究・文芸活動を専門とする。平成7年、日本国内のJR線約2万キロを全線完乗。世界70ヵ国余りにおける鉄道乗車距離の総延長は8万キロを超える。平成28年、『大日本帝国の海外鉄道』(現在は『改訂新版 大日本帝国の海外鉄道』扶桑社)で第41回交通図書賞奨励賞を受賞。 『鉄道と国家──「我田引鉄」の近現代史』(講談社現代新書)、『旅行ガイドブックから読み解く 明治・大正・昭和 日本人のアジア観光』(草思社)、『宮脇俊三の紀行文学を読む』(中央公論新社)、『アジアの停車場──ウラジオストクからイスタンブールへ』(三和書籍)、『「日本列島改造論」と鉄道──田中角栄が描いた路線網』(交通新聞社新書)など著書多数。日本文藝家協会会員。

「2022年 『アジアの一期一会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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