いのっちの手紙 (単行本)

  • 中央公論新社 (2021年11月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784120054778

作品紹介・あらすじ

雑誌『婦人公論』での対談がきっかけとなり始まった、双極性障害の当事者である坂口恭平さんと、精神科医の斎藤環さんのスリリングな往復書簡。


「いのっちの電話」と称して自らの携帯電話番号を公開し、10年間で2万人の「死にたい」という人々の電話を受け続けてきた坂口さん。電話をしてきた人で、死を選んだのはひとり。その女性も「ずっといのっちの電話をやってください、楽しかったです」という言葉を残していた--。


精神療法の「プロ」である斎藤さんが、坂口さんの「実践、創造、そして方法に、はなはだしく興味津々」で、その技術を知りたいと、往復書簡を申し込んだ。人が人を助けるとは、どういうことなのか?


12通の、いのちをめぐる対話。

みんなの感想まとめ

人が人を助けることの本質を探る、坂口恭平さんと精神科医の斎藤環さんの往復書簡は、深い対話を通じて生命の意味や人間関係のあり方を考えさせてくれます。坂口さんは、電話相談を通じて「死にたい」と感じる人々の...

感想・レビュー・書評

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  • 電話番号を公開し、延べ二万以上の人々の「死にたい」思いを聴いてきた坂口恭平さん。
    彼は作家で建築家でパステル画家で、双極性傷害の当事者である。
    そんな彼と友人関係である精神科医の斎藤環さんとの12通の往復書簡が本書。
    基本的に斎藤さんが坂口さんに質問し、坂口さんが答えるといった具合。
    「聖なる人」(渡辺京二さん談)や「無常の人」(斎藤環さん談)と周りに言わしめる、坂口さんのパーソナリティーや信条が興味深い。
    こういう人もいるんだー、と思った。
    斎藤さんが坂口さんを誉めそやすので、(斎藤さんは心から思っているでしょうが)何となく宗教感を感じた。

    シャカやキリストは

    色々ごちゃごちゃ言わずに、困っている人がいたら、敵味方関係なく助けていこうぜ、自分なんかたいしたもんじゃないから、世間に晒して、有効活用してもらおうぜ。

    と言っている、と坂口さんが捉えているのには、難しく感じる宗教が風通し良く感じた。

    野生の勘の鋭さが並外れていて、それを有効利用する知性と技術をも持った人だなと思った。

    • 5552さん
      お気になさらずに。

      竹川さんの新版はよくないのですか。
      2019年の函入り本は検索して見たら物欲を刺激されましたが。
      杉田さんの挿...
      お気になさらずに。

      竹川さんの新版はよくないのですか。
      2019年の函入り本は検索して見たら物欲を刺激されましたが。
      杉田さんの挿絵のはあっさりしてますね。
      イラストによってだいぶイメージが違いますね。
      2022/01/19
    • ししまるさん
      ありがとうございます、コニーさん。

      竹川さん挿絵の旧版なら絶品です!
      図書館になら置いてるかもしれません。
      ぜひご一読ください!
      ありがとうございます、コニーさん。

      竹川さん挿絵の旧版なら絶品です!
      図書館になら置いてるかもしれません。
      ぜひご一読ください!
      2022/01/19
    • 5552さん
      こちらこそ、ありがとうございます!
      探してみます!
      こちらこそ、ありがとうございます!
      探してみます!
      2022/01/20
  • 往復書簡。

    ありのまま受け入れる方法もありますが、自分が壊れないように線引きすることも必要なのかもしれないと考えるよい機会になりました。

    とても興味深かったなので、もしまた往復書簡をやることがあれば、また読んでみたいです。

  • 文筆だけでなく、絵画や音楽、電話相談など多彩な活動をしている坂口さんと、精神科医である斎藤さんの往復書簡です。
    坂口さんのユニークな活動ぶりに対する斎藤さんの質問に、坂口さんが回答します。

    坂口さんの言葉に「あらゆる欲望を超える、それよりも至上の意欲を見つけること。その時、人間は流れそのものになるのではないか」とありましたが、この言葉に坂口さんの人生が集約されているように感じました。

    斎藤さんは悟りに近いと言っていますが、万物流転する中で変化に対応し、流れに棹さすことなく柔軟に生きる。毎日発見と創造と言うプロセスを粛々と続けていく。それが後悔のない人生に繋がっているような気がしました。

    坂口さんの活動は坂口さんにしかできないことですが、生きていく上でのスタンスのようなものは、普遍性があるのではないかと、興味深かったです。

  • いのっちの電話という活動を通して自分と向き合い自愛に満ちた創作活動をしている坂口恭平さんと精神病理学とその啓蒙活動をされている斎藤環さんの往復書簡。

    往復書簡のスタンスもそれぞれで、それこそが個々を認めている形でとても心地よい。
    躁鬱という気持ちの浮き沈みと共存しながら激しく上がりすぎずにコントロールする坂口さん。
    自分を良く俯瞰して見ていらっしゃる。

    わかった風で上からでもない、風のような返答ができるあたりとても見習うものがたくさんある。
    自分の中に自分がいてそう答えさせているかのような感覚か、人を嫌な気持ちにさせたりせずかと言って過保護にもならず、なかなか出来ない切り返しが出来るのは自分を通して見極めができているからではないか。

    巻末には第二弾も…と書いてあるので楽しみにしたい。

  • 面白いし、新たな視点も得られたけど、坂口さんの最後の手紙は躁状態では…?と思ってしまった…

  • 坂口恭平解体新書最新版。『まとまらない人』より他者を通してる分、さらに坂口恭平を知ることができるようなとこもある。斎藤環の話の引き出し方が見事。

  • 坂口恭平さんの本は、どれを取っても、どう「評価」していいのか、よくわからないでいる。というか、そもそも、「評価」ということができるのかがわからないのである。不思議な文章だ。しかし、よく「わかる」ことも事実なのだ。

  • 自分の薬をつくる、とか、躁鬱大学を読んでいる人にとっては、知ってるよと、思うことが多いかもしれないなあと思う。少なくとも私はそうだった。

    ただ、鬱が自己否定のエネルギーの奔流なので、アウトプットをすることで楽になること、など、やっぱり独特な視点を持ってる人だなあと思う。

    具合悪くてどうにもならん、そう思うときに、
    もういいじゃん、好きなことをすればいいじゃん、坂口さんの本を読んでいるとそう思える。

  • 10年間で2万人の電話を受けてきた坂口さんの、「死にたい人」に対応する技術とは。精神科医の斎藤さんとのスリリングな往復書簡

  • 自分の頭では内容がよくわからない文章もたくさんあった。でも、参考になる文章もあった。『流れ』はすごく大切。その流れとは頭の中にある思考の流れを止めないことが大切ということ。典型的な例でいえば『引きこもり』。完全に思考の流れがとどまってしまっている。そんなときに役立つのが、その人の長所や趣味をみつけてあげること。それらは、思考の『流れ』を再び作り出す突破口になるらしい。自分の好きなことをやるってとても大切なことだ。

  • 往復書簡(文通?)なのだけど坂口さんのターンの文章量がすごくて笑う。こういった形式だからこそ、坂口さんの思想にのめり込みすぎず読めてちょうどいいかも。単体での著書に比べると、さらに客観的な視点でそれを感じ取ることができるイメージ。坂口さんの文章の魅力はピュアさにあると思う。そのピュアすぎる思想に引くときもあるので、貞操観念が強い人には勧められません。

    「今、やれると思ったことは必ず今、やれるのです。今、やるための準備が整っていないのではなく、やれると思ったときに、本当は全てやれるのです。」
    「何事も怖いのではなく、めんどくさかったんですね。めんどくさいということを抜けていくと、色々面白いことが広がっていきます。」

  • 斎藤さんが、坂口さんは専門家ではないのに、躁鬱病も抱えながらバーンアウトせずに続けられているのかについて触れているが、本当不思議だ。
    いのっちの電話について、前半で語られるが、傾聴を主としたカウンセリング的な態度ではなく、言いたいことを言うし、反論もするし、どうしてもダメな人はブロックするし、電話よりしたいことがあればそっち優先するし、という独自のスタイルでやっているからなのか、と分かった。

  • 坂口恭平さんは、コンプレックスがないんだそうだ。
    純粋に脳の機能的なことで躁うつ病なのかなと感じた。

    コンプレックスがない、恥ずかしいと思わないってすごいな。
    私はコンプレックスだらけだし、恥ずかしいと思ってばっかりだ。
    コンプレックスも恥ずかしいと思うのも、自分を守ってるつもりなんだろうと思うけど、全く役に立たないから、手放したい、この本を読み終わってそう思った。

  • 「声」への着目の部分で引き込まれ、「流れ」についてのお話で納得しました。「活動の処方」というのもおもしろくて。「生体反応への興味」というのがいいな、と思いました。

    坂口さんの着眼点と方法論には多くの示唆が含まれていて、興味深く読みました。

    自分に正直な方なのだな、と思いながら読みました。
    坂口さんの他の著作も読んでみようと思います。

  • 引用:いのっちの電話に出て、一緒に死なない方法を考える行為自体が、僕にとって、そしてその人にとっての創造行為になっている可能性も僕は否定できません。

    治療者の指示やアドバイスって、すごく優しくてまっとうなんですよ。でも、正しすぎて、どこか息苦しい。…治療者のアドバイスって、クライエントの病気や欠点に向けた言葉であることが多い。欠点に対する適切なアドバイスって、断りにくくて抑圧的。

  • 斎藤環さんと坂口恭平さんの往復書簡。
    坂口さんが死にたい人からの電話を個人で受けるいのっちの電話が一体何がどうなって成り立ってるのか、メンタルの保ち方、創造との関係など。

    まず坂口さんのありようが常々興味深く規格外で成果を上げててどうなってんのなので斎藤さんが質問して分かりやすい概念に落としこもうとしてくれる。

    ピカソ、空海、仏教、ゲーテ、ヘミングウェイ、宮崎駿、村上春樹、中原昌也、
    例えや参考にめっちゃ色んな人出てくる。
    引っかかったとこ見たり読んだりしたいな。
    「作品はほぼ読めてない」「エッセイだけ」「生き方だけ」とかそんなん多いけど……

  • 2022.08.28 図書館

  • ●斎藤環→坂口恭平様
    私からみると恭平さんの今の境地は、「つくる」過程がもたらしたものではないか、という気がします。
    ●坂口恭平→斎藤環様
    僕にとって、創造するという行為は、至上の愛よりも強い喜びです。その道を進んできて、自分なりに生きていく、ということがどういうことか、完全に覚悟ができたんだと思います。ここまで長い道のりでしたが、だからこそ、躁鬱病も治癒したのだと思ってます。そして、このように生きる道を見つけることは誰にでもできることだし、むしろ、誰もが、試さなくてはならない試練だと思ってます。だから僕はいのっちの電話で、そのことを伝えます。 《目次》 はじめに 斎藤環
    I 傾聴/境界
    【第一信】斎藤環→坂口恭平様
    恭平さんの方法論は、「とんでもない」
    【第二信】坂口恭平→斎藤環様
    死にたい人に死なない方法を伝えているわけではないんです
    II 治療/フィールドワーク
    【第三信】斎藤環→坂口恭平様
    どのくらい「技法」として意識していますか?
    【第四信】坂口恭平→斎藤環様
    苦しさや悩みには、一〇種類くらいのパターンしかありません
    III 脆弱さ/柔らかさ
    【第五信】斎藤環→坂口恭平様
    「活動処方療法」の効果を共同で研究してみたい
    【第六信】坂口恭平→斎藤環様
    今までの人生の中で一番マシだったことを聞いてみます
    IV 自己愛/承認欲求
    【第七信】斎藤環→坂口恭平様
    相談者とともに欲望を作り出しているようにも見えます
    【第八信】坂口恭平→斎藤環様
    自分の欲望ってのが、実は一番、どこにもない答えなんですよね
    V 流れ/意欲
    【第九信】斎藤環→坂口恭平様
    「所有欲」について、どう考えていますか?
    【第十信】坂口恭平→斎藤環様
    創造するという行為が、至上の愛よりも強い喜びです
    VI 悟り/変化
    【第十一信】斎藤環→坂口恭平様
    恭平さんの境地は、幸福であり究極の自由であるように思います
    【第十二信】坂口恭平→斎藤環様
    人々もまた幸福のことを知っていると僕は確かに感じています おわりに 坂口恭平

  • 読み終わった感想は、坂口君はもういいや、よーーくわかった。すごい。ということでした。双極性障害の一つの寛解のあり方だよなぁ。わたしは2型なので、悟りの部分がわたしにも当てはまり、腑に落ちました。

    斎藤環さんの話しが、特に自己愛の部分が良かったです。それにしても、環さん、坂口君を持ち上げ過ぎww

    この本は、坂口君にとどめを刺した感じがする。いわゆる奥行きのなさをはっきりと炙り出してしまった。

  • 読むのに疲れた。思想家とか画家の名前がたくさん出てくるけど自分の学のなさを痛感させられ、2人の世界を遠くから眺めている気持ちになりました。

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著者プロフィール

斎藤 環(さいとう・たまき)
「つくばダイアローグハウス」院長、筑波大学名誉教授。博士(医学)。専門は思春期・青年期の精神病理、病跡学。
岩手県生まれ。筑波大学大学院卒業。著書に『イルカと否定神学─対話ごときでなぜ回復が起こるのか』(医学書院)、『映画のまなざし転移』(青土社)、『フレーム憑き─視ることと症候』(青土社)、『「自傷的自己愛」の精神分析』(KADOKAWA)、『その世界の猫隅に』(青土社)、『関係の化学としての文学』(新潮社)、『アーティストは境界線上で踊る』(みすず書房)、『戦闘美少女の精神分析』(ちくま文庫)など多数。

「2025年 『シネパトグラフィー 映画の精神分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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