- 中央公論新社 (2022年8月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784120055614
作品紹介・あらすじ
「――あなたに出会えてよかった」
東京湾を横断するフェリーが発着する小さな港町・金谷を舞台に、約30年に亘って、紡がれる出会いと別れ、そして再生の物語。――愛する妻、大好きな母を失った血の繋がらない父子。挫折し故郷に戻ったバレリーナと、寄り添う書道の先生。映画好きの同級生に恋した女子中学生の一大決心。卒業式間近に親友となった二人の男子高校生。余命宣告を受けた元妻と数十年ぶりに偶然再会した男。彼らを見守るフェリー乗り場の総合案内係・椿屋誠。無機質に見えた彼の心と表情も、人々の出会いと別れに触れ、やがて……。
感想・レビュー・書評
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千葉県富津市金谷にある東京湾港フェリー発着港。この小さな港町の人々の出会いと別れが、瑞々しいタッチで温かく描かれた物語でした。
全六話ですが、主人公が変わりながら、共通する登場人物の成長と重ねて進み、30年の時を経て人と人が繋がっていきます。
別れ・旅立ちの港・駅が、いろいろなものを背負いながらも、登場人物の新たな一歩を踏み出す転換点となるべく美しい舞台として描かれています。
<サクラさん>の桜を植え続けた理由が明らかになり、フェリー発着港が旅立つ人への最高の応援舞台となる終盤はクライマックスです。あ〜絵に描いたようなこの世の桃源郷だなぁと、嫉妬すると同時に、こんなに上手く事は運ばないよなぁ、と諦念している自分もいました。
日頃私たちは、進んで人と接点を持とうとはしないのが現状ではないでしょうか? 孤立を生まないためにも、繋がりが大事にされる社会であることを願ってやみません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
別れから始まったので悲しい話しかと思いましたが、温かさにあふれた優しい物語でした。
人生は出会いと別れではなく、出会いと旅立ちだと書かれていました。その言葉にぴったりの一冊だと思います。 -
清水さんの著書は2冊目。個人的には「さよならの向こう側」よりも好きかもしれない。
大きな悲しみ、甘酸っぱい恋、生涯の友との出会い、青春、別れ、再会、新しい生き方。
生きていると誰もが経験する辛苦や喜び、いろんな感情を登場人物とともに疑似体験。読みながら頭のなかに映像が浮かんでくる。
中にはしんみりしてるのにクスッとなる場面もあって、そこもまたいい!
どの章も、それぞれに響いてくるものがあって良かったなぁ。
昭和感ただよう時代設定も自分に合っていて、あちこちに散りばめられた懐かしいワードに思わずニンマリ。
優しく温かい感動のラスト。
たくさんの人の人生が詰まった素敵な1冊。
個人的に何だかホッとする本でもありました。 -
とても読みやすい作品だった。
それはサラッと書かれている感じだからだと思うけど、自分なりに噛み締めて考えて読むと、なんとエモいことエモいこと!!!!
良い作品だ、温かい。
さよならだけが人生だなんて言わないぞ!となりますよ。 -
春風亭の桜木さんが出てくるたびに、阿部寛を思い出した。短編の連作、全体的に良い話だった。
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サクラさんと新案内人さんの話はよかった
時間が交錯した感じがいい
ああ金谷でアジフライ食べたい! -
フェリーターミナルのある小さな港町を舞台にした短編連作。
それぞれ出会いと別れの物語なんだけど、心情描写が素晴らしく、町の風景も一緒に想像しながら読みすすめた。
「さよならだけが人生だ」
「人生は、出会いと旅立ちの連続だ」
どちらも正解だけど、後者の言葉の方を感謝の気持ちと共に感じながら過ごしていけたらいいなと思う。 -
『さよならの向う側』の著者が贈る、出会いと別れ、そして再生の物語。いまの時代だからこそ読みたい、感動の傑作小説、ここに誕生!
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3月にぴったりの本でした。
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さらさらと読めて、程よい感動と爽やかな読後感だった。
素直に読めて、登場人物の繋がりもよかった。
さよならだけがじんせいだ -
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春、桜が咲くのが待ち遠しくなる、
温かくて心がほっとする作品でした。
登場人物たちの出会いと別れに触れ、
別れは辛くさびしいけれど、でも、
さよならだけが人生ではなく、
出会いもあって繰り返すのだと、
そうやって人は成長していくのだと、
おしえてもらいました。
***ネタばれ***
連作短編集だけど、
全体が港町の金谷を舞台につながっていて、
登場人物たちのそのつながり、この作品のテーマである各々の出会いと別れが、それぞれドラマがあってとても面白かったです。
サクラさんの正体、そしてなぜ桜の木を植え続けているのかが分かった時は、「あぁ、そうだったのか」と、胸がいっぱいになりました。
ハクモクレンと桜が咲く度に、この作品を思い出し、読みたくなりそうです。 -
Amazonの紹介より
「――あなたに出会えてよかった」
東京湾を横断するフェリーが発着する小さな港町・金谷を舞台に、約30年に亘って、紡がれる出会いと別れ、そして再生の物語。――愛する妻、大好きな母を失った血の繋がらない父子。挫折し故郷に戻ったバレリーナと、寄り添う書道の先生。映画好きの同級生に恋した女子中学生の一大決心。卒業式間近に親友となった二人の男子高校生。余命宣告を受けた元妻と数十年ぶりに偶然再会した男。彼らを見守るフェリー乗り場の総合案内係・椿屋誠。無機質に見えた彼の心と表情も、人々の出会いと別れに触れ、やがて……。
清水さんといえば、最近読んだ「さよならの向こう側」なのですが、同じ「別れ」でも、こちらは生と生。ネットでの出会いとは違い、生での人と人との繋がりに懐かしさが込み上げてきましたし、やっぱり縁って良いなと思わせてくれました。
作品の舞台は千葉にある金谷。個人的に行った事がありますが、自然豊かなところで地方ならではの活気や雰囲気が印象的でした。
そこを舞台にした「再会」の物語にとても温かい気持ちになりました。
全6話の連作短編集で、一見関係性のない登場人物ばかりですが、大きく括ると大きな「輪」となって繋がっています。
約30年間の物語ですが、それぞれの話では、その時代に流行った話題が登場します。若い人にとっては新鮮味があるかと思いましたが、個人的には懐かしさが込み上げてきました。そうした清水さんの遊び心は面白かったです。
この作品には、固定電話は登場するのですが、あまり携帯電話は登場しません。「生」だからこそ感じる温かさや別れから生じる湿っぽさもあって、とても心に響きました。
飛行機とは違い、近距離フェリーや電車はすぐに戻ることはできます。でも、もう元には戻りたくない気持ちや一歩踏み出そうとする気持ち、戻ったら後悔する気持ちなど不安がありながらも前へ進もうとする登場人物たちにエールを送りたくなりました。
別れは寂しいものだけでなく、新しいスタートの始まりという解釈でもあります。
それぞれが体験する甘酸っぱさが、こちらとしては青春を感じさせてくれるので、良い余韻に浸れました。
金谷に限らず、様々な場所で出会いと別れの場面があります。自分も何か新しい一歩を踏み出してみようかなと思わせてくれました。 -
「木蓮の涙と桜」
失った悲しみに。
意地でも護らなくてはいけない約束であったからこそ、自分の中で耐えれるようになるように頑張ったのだろう。
「白鳥の海」
舞えない苦しさ。
今まで必死になって追いかけた夢だったからこそ、限界を迎えても離れたくない気持ちが残ってしまったのだろ。
「さよなら、小さな恋のうた」
答えはすぐそこ。
幼い子供だったから出来た無邪気な選択肢も、現実に引き戻されると無謀なものだったと知って悲しかっただろ。
「卒業写真」
一ヶ月間のこと。
いつ何がきっかけで始まる物語か分からないからこその楽しさもあれば、思ってもいない続編だってあるだろう。
「だいせんじがけだらなよさ」
再会したけれど。
神様の悪戯によって引き合わされたのかもしれないが、二人の止まっていた時間は最期に幸せをもたらしただろ。
「旅立ちの日に」
盛大な勘違いで。
今までにない衝撃的な出来事だからこそ、誰しもが早とちりなんて思うこともなく受け入れてしまったのだろう。 -
春は出会いと別れの季節と言うけれど、色んな出会いがあり、色んな人の旅立ちがある
なんて素敵な季節なんだろうと思わせてくれるそんな内容だった。
アジフライが食べたくなった。
もう春が待ち遠しい。 -
最後まで来て、一気に良かった。
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20250225読了
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連作短編集。
千葉県富津市金谷の小さな港町を舞台に、さまざまな人たちが出会いと別れを繰り返す。
フェリーサービスセンター内にある定食屋春風亭の桜木さん、総合案内係の椿屋さん、習字教室の堂島さん、謎の人サクラさん。
温かみのある作品ばかりで、素敵な小説です。 -
出会いと旅立ちの物語。
家族、友人、恋人…
どの話も切なく愛しい。
出会いと旅立ちを繰り返しながら、時間はかかっても前向きに進んでいく人達が描かれる。
物語の中で過ぎる30年に自分自身の過ごしてきた30年を重ねながら読んだ。
さよならだけが人生ではない。
心底そう思った。 -
読みながら卒業ソングの定番となった『旅立ちの日に』のメロディーが脳内に流れていた。
物語は千葉県富津市金谷を舞台に30年間に渡る其々の出会いと別れが綴られる。
バレリーナになる夢を持ちながら志半ばで故郷に戻った女性と偶然出会った書道の先生。
余命宣告を受けた元妻と数十年ぶりに再会した男性。
初々しさ漂う中学生男女の恋。
卒業式を間近に控え親友となった男子高校生。
年齢も性別も様々でシチュエーションは違えども、切なさの中に光が感じられる。
別れだと思うと寂しさが募るが、別れは旅立ち。
そう思うだけで心が穏やかに凪いでいく。
著者プロフィール
清水晴木の作品
