地震と虐殺 1923-2024

  • 中央公論新社 (2024年6月19日発売)
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本 ・本 (600ページ) / ISBN・EAN: 9784120056864

作品紹介・あらすじ

「朝鮮人が暴動を起こした、井戸に毒を投げ込んだ……」。関東大震災の発生直後、各地で飛び交ったデマによって多くの朝鮮人が命を奪われた。非常時に一気に噴き上がる差別と偏見。東京で、神奈川で、千葉で、埼玉で、悲惨な事件はいかなるメカニズムで起きたか。虐殺の「埋もれた歴史」は誰によってどのように掘り起こされてきたか。100年余りが経過した現在、何が変わり、何が変わらないのか。歴史的事実を葬ろうとする者たち、人災を天災の中に閉じ込めようとする政治家、差別行為にお墨付きを与える行政……。差別やヘイトクライムの問題を長年追ってきたジャーナリストが100年余り前と現在を往還し、虐殺事件が及ぼし続ける様々な風景を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 人権を「怖い」と敬遠する若者 ジャーナリスト安田浩一さんの危惧:朝日新聞デジタル(有料記事2024年2月19日)
    https://www.asahi.com/articles/ASS2J4VHVS26UPQJ008.html

    「ノンフィクションの筆圧」安田浩一ウェブマガジン(有料)
    https://www7.targma.jp/yasuda/

    地震と虐殺 1923-2024 -安田浩一 著|単行本|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/tanko/2024/06/005686.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      【終了しました】【インタビュー田原町11】『地震と虐殺 1923-2024』(中央公論新社)を書かれたノンフィクションライターの安田浩一さん...
      【終了しました】【インタビュー田原町11】『地震と虐殺 1923-2024』(中央公論新社)を書かれたノンフィクションライターの安田浩一さんをゲストに、“取材し、書くということ”についてお聞きします。 – Readin’ Writin’ BOOKSTORE
      https://x.gd/Tr8Az

      [読書]ルポ 地震と虐殺 1923-2024 安田浩一著 怒り恥じつつ現場を歩く | 沖縄タイムス+プラス(会員限定記事2024年8月3日)
      https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1409193

      ◆「記憶のバトン」受け継ぐ[評]加藤直樹(ノンフィクション作家)
      <書評>『地震と虐殺 1923-2024』安田浩一 著:東京新聞 TOKYO Web
      https://www.tokyo-np.co.jp/article/344888?rct=book
      2024/08/05
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      現場たどり全体像に迫る [評]大塚茂樹(ノンフィクション作家)
      <書評>地震と虐殺1923―2024:北海道新聞デジタル
      https://w...
      現場たどり全体像に迫る [評]大塚茂樹(ノンフィクション作家)
      <書評>地震と虐殺1923―2024:北海道新聞デジタル
      https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1057546/
      2024/09/02
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      底に流れる協働のこころざし
      〔週刊 本の発見〕『地震と虐殺 1923-2024』(安田浩一)第368回(2024/11/21)
      http:/...
      底に流れる協働のこころざし
      〔週刊 本の発見〕『地震と虐殺 1923-2024』(安田浩一)第368回(2024/11/21)
      http://www.labornetjp.org/news/2024/hon368
      2024/11/25
  • 関東大震災朝鮮人虐殺については、何冊か本を読んだことがあるのだけど、安田さんの取材で、想像よりさらに残虐なことが起こったことがわかった。

    現在の小池都知事をはじめとした虐殺はなかったとしようとする人々を見ると、被害者はいまだに殺され続けている。加害に目を向け、差別に加担しないことが私たちの責任だと感じる。

    この、「加害を無かったことにして責任を負わない文化」が、現在告発されている芸能界の性暴力被害者へのバックラッシュに繋がっているのではないか。

  • 関東大震災から101年を経過した2024年に出版された関東大震災・朝鮮人虐殺について記された決定版的本。
    朝鮮人虐殺については多くの研究者や作家、独自に調査する在野の研究者によって数多くの本が出版されている。
    郷土資料や日記までも調査され、事実として確かな強度がある。
    にも関わらず、どこかの馬鹿夫妻が記した朝鮮人虐殺はなかったなどというデマ本にネトウヨはまんまと踊らされた。そして、この10年で朝鮮人虐殺はなかった論というものが登場してしまった。
    その影響はそれまで毎年形式だけでも追悼文を出していた都政のトップが、追悼文を出さないまでに発展している。
    都政だけではなく、内閣の官房長官までもが事実関係を把握出来る記録が見つからないなどと発言している有り様だ。
    それは地方にまで伝播し、群馬では朝鮮人虐殺碑が撤去されてしまった。
    100年足らずで歴史修正主義が跋扈している状況が今である。

    若干高く、ページ数も多いためこれを最初に読むのはちょっとしんどいだろうと思う。だが読んでおくべき一冊である。

  • 600頁の大著、一部飛ばし読み、
    あまりにも陰惨な内容が続き、全編を読み通すことはできなかったが本音。
    ゆえに評価せず。

    ちょうど、美しいチマ・リョゴリ展を観に出かけただけに辛い内容。

    https://blog.goo.ne.jp/rekitabi/e/79d5b0600ba820cfd3a256791bc441f8

  • 関東大震災における朝鮮人の虐殺の現場を訪れ、残された記録や証言を丁寧に紐解きそこで起こった虐殺の記録を書いた本。
    日本人全員読むべき本だと思う。
    朝鮮人虐殺のことは歴史的事実として知ってはいたものの、この本を読んで自分は何も知らなかったと思い知らされた。

    まず驚かされたのが、デマを流布させたのが、国、警察、行政、新聞であったということです。
    巷間で流布したデマだと思っていたので衝撃でした。
    そして、自分が思っていたよりもずっと虐殺の範囲も人数も多かったことにもショックが大きかったです。東京のみならず、千葉、埼玉、群馬、神奈川と、関東全域で起こったことでした。

    加害者たちの残虐性は目を覆うほど酷いものですが、朝鮮人への差別心が人をどこまでも残酷にしたということ、人はお墨付きさえあれば、どこまでも残虐になれるということ…は、後世に伝えていかなければいけないと思いました。
    そして、各地の虐殺の事実を独自に何年もかけて取材した市井の人々の努力には頭が下がる思いです。

    本書を読むと、震災の「混乱」が朝鮮人を殺したのではなく、日本社会の差別と偏見が朝鮮人の虐殺に導いた、ということがよく分かります。

  • ”家屋の破壊=それが鳶口の主な用途であることを考えると、(中略)朝鮮人は「人」として扱われなかった。いや、「人」であることが否定された。だからこそ、尊厳も認められずに殺された。”(pp.38)
    100年前の私たち日本人は、同じ人間である朝鮮人をモノのように殺していった。

    日本史の教科書に数行程度の記載があるのみの朝鮮人虐殺について、ふとしたことから改めて勉強したいと思って手に取った本書。「噂を信じた住民が誤って殺してしまいました」といったような過失ということで済まされるものではなく、社会を覆っていた朝鮮人差別の雰囲気と、それを関東大震災という機を捉えて殺人という形で現実化させた国、そして”噂”をたてにして妄信的に虐殺に走った一般の日本人という構造から生み出された悲劇である。

    現在に至っても、小池東京都知事や東京都を筆頭に、この出来事をなかったことにすしようとする勢力がはびこっており、清算するどころか、悲劇をより深刻にしてしまっている。

    亡くなられた方に追悼の意を表するとともに、個人としては、特にインターネット空間で日常的にみられる差別感情丸出しの言説には断固反対の意思表示をしたいと思う。

  • 読んでいて辛くなる場面が多々あるが、自国の歴史として知っておかなくてはならないことである。

  • 『#地震と虐殺 1923-2024』

    ほぼ日書評 Day801

    著者は、長年ヘイトスピーチ等と闘ってきたジャーナリストという触れ込み。

    その方の手になる本書は、関東大震災直後に朝鮮人や中国人に対する大量虐殺があり、しかるに国や自治体がその事実を隠蔽していることを暴くことをテーマとしている。

    が、本書で示される「事実」の大半が単なる伝聞で、何らかの物証やしかるべき一次資料としての記録文書に依拠した主張は皆無と言って良い。巻末に記される参考文献・資料の「薄さ」も、それを裏付けるものだろう。

    以下、いくつか例をあげておく。

    京浜急行の神奈川鉄橋近くで、500名を超える朝鮮人虐殺があったと伝えられる。それほどの規模となれば軍隊の出動でもなければ不可能であろうとしながら、「だが、この近くで軍関与の虐殺があったことを示す資料は存在するのだ」とし、軍関係の記録係が「朝鮮人虐殺が行われたとされる場所を視察したという記述」を行っていることが、その証左であると結論づける。
    何もなかったということはできないが、500人となれば、今時、東京の小学校の全生徒3-4校分ほどである。そうそう簡単に殺せるものでもないし、ましてやその遺体の処理をどうしたのかと、現実的な側面を想像すると、かなり牽強付会な論理の運びと言わざるを得ないだろう。

    「前出『震災に伴う朝鮮人並に支那人に関する犯罪及び保護状況其他調査の件』には、中国人虐殺に関する記載はなく、警察が中国人を保護した事例だけが記録されているのであった。
    一方、文書には山本らが掘り起こしてきた事例と合致するものもあった。
    文書が『朝鮮人被害者42人』と記録する、横浜港埋立地における虐殺である」
    もはや日本語の体をなしておらず、冷静に読むと、ネガティブイメージだけを伝えようとしているだけとしか読み取れない。

    東亜日報の「編集局長・李相協が書いた連載記事」からの引用として、日本人と朝鮮人労働者の待遇の違いを示すが、これも当該資料からのニ次引用に過ぎず、例えば給与台帳等の一次資料にあたったわけでもない(「連載記事」にそうしたものが掲載されていたという記述もないので、単にコラム的な記事だったものと推測する)。これでは自らの主張に都合の良い資料だけを取捨選択して、引用のみでその根拠を示そうとしていると批判しても、否定はできないだろう。

    まともな証拠・根拠を示すことなく、単なる印象操作で日本人が一方的に両国人に極悪なことをしたという主張のみを600頁の大著でおこなうのは余りにフェアでなかろうということを、今一度繰り返しておきたい。

    https://amzn.to/3MIm0gH

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著者プロフィール

1964年生まれ。産湯は伊東温泉(静岡県)。週刊誌記者を経てノンフィクションライターに。『ネットと愛国』(講談社+α文庫)で講談社ノンフィクション賞、「ルポ 外国人『隷属』労働者」(月刊「G2」記事)で大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞。『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)、『ヘイトスピーチ』(文春新書)、『学校では教えてくれない差別と排除の話』(皓星社) 、『「右翼」の戦後史』(講談社現代新書)、 『団地と移民』(KADOKAWA)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日文庫)他、著書多数。
取材の合間にひとっ風呂、が基本動作。お気に入りは炭酸泉。

「2021年 『戦争とバスタオル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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