ミステリー小説集 脱出

  • 中央公論新社 (2024年5月22日発売)
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本棚登録 : 632
感想 : 36
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120057854

作品紹介・あらすじ

あなたはここから出られるか? 
人気作家たちが仕掛けた五つの物語から、脱け出す鍵を見つけ出せ。
全編書き下ろし。没入感溢れる新感覚小説集。

収録作
・阿津川辰海「屋上からの脱出」
天文部の合宿で、学校の屋上に閉じ込められ……?

・井上真偽「サマリア人の血潮」
目を覚ますと、見知らぬ研究所で記憶を失っていた。

・空木春宵「罪喰の巫女」
人を喰う巫女が棲むという神社を訪れた女の目的は?

・織守きょうや「名とりの森」
その森に入るものは、「主」に名前を奪われる。

・斜線堂有紀「鳥の密室」
魔女狩りが横行する町で囚われた女の秘密とは――

感想・レビュー・書評

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  • 想像していたミステリーとは違ったけど、ジャンルが幅広くて、自分では絶対に選ばないジャンルを読むことができたので良かった。

    阿津川辰海「屋上からの脱出」★★★★★
    学園ものミステリー。
    自分の好きなミステリーで、やっぱり阿津川さんは面白かった。
    学校の真冬の屋上に閉じ込められるスリルもあり、最後の1行まで楽しめる。さすが阿津川さん。

    織守きょうや「名とりの森」★★★★★
    ジャンルはホラーなのかな?
    没入感が高く、ゾッとするセリフが上手い。何度も驚いた。普段読まないジャンルだけどすごく面白かった。

    斜線堂有紀「鳥の密室」★★☆☆☆
    魔女狩りの拷問の様子が辛かった。
    人が身体的に苦しんでいる様子を読むと苦痛に感じるので、自分には合わなかった。
    拷問以外のストーリーは良かった。

    空木春宵「罪喰の巫女」☆☆☆☆☆
    文体が苦手で難しくて頭に内容が全く入ってこなくて、途中で諦めることは滅多にしないんだけど、どうしても無理でした。ごめんなさい。

    井上真偽「サマリア人の血潮」★★☆☆☆
    ゾンビものが苦手なのもあるし、主導権を全て握られて勝手に進んでいく感じが合わなかった。
    記憶喪失が断片的に戻っていって真相が徐々にわかっていく所は面白かった。

  • 5人の人気作家が贈る、5つの脱出をテーマにしたミステリアンソロジー。


    脱出をテーマにしたアンソロジーです。閉ざされた空間から脱出する、というテーマは同一でも、閉じ込められた屋上から脱出する学園ものから、魔女として処刑される前に繋がれた等から脱出する、だったり、記憶喪失の主人公が謎の研究所の出口を目指したりと、ミステリだけでなくファンタジーやホラー要素のある話まで、幅広い意味での脱出を扱い、バリエーション豊かな作品が収録されています。

    阿津川さんの『屋上からの脱出』は学校に閉じ込められた生徒が抜け出す方法を探す話。一番スタンダードに脱出がテーマ、という感じがします。期待通りに面白い。

    織守さんの『名とりの森』と空木さんの『罪喰の巫女』がホラー味が強く、『名とりの森』は少年たちの冒険を描いた神隠しのような話。『罪喰の巫女』は美しくも悍ましい巫女を祀る神社の話。こちらは少しグロテスクですが、怪しく幻想的な雰囲気が個人的には好きです。

    斜線堂さんの『鳥の密室』も、痛々しい描写など多いですが、ロマンシス? シスターフッド? の要素も感じる魔女狩りの話。こちらも好きでした。

    最後の井上さんの『サマリア人の血潮』は、謎の研究所からの脱出。記憶喪失の主人公がだんだんと記憶を取り戻し、謎が明らかになっていく過程が、ゲームのようでワクワクします。

  • 図書館に早くから予約しておいたので、早目に借りられた。その点だけはありがたい。

    しかしなんなんだこれ…。
    1話目の屋上に閉じ込められた話は面白くない。
    2話目、意味はわかるものの、なんだか気持ち悪い。
    3話目、魔女狩り拷問シーンが酷いし、意味はわかるものの一体私は何を読まされているのだ?という気持ち。
    4話目、ページを開いた途端に、物理的・視覚的にムリ!となる。
    ここでブクログレビューを全部拝見し、4話目は読まないことにした。
    チラッと拾い読みしただけでも、最後が気持ち悪い。
    5話目の内容も、さっき拝見したレビューのお陰で、拾い読みにとどめておけたので助かった。
    (4話目5話目が、私には合わないタイプの作品であると判断できたのは、全レビューのお陰)

    3話目斜線堂氏と4話目空木氏は、たぶん初読みの作家さんのはずだが、もうこの先、読むことはない。

  • 2024年5月中央公論新社刊。書き下ろし。阿津川辰海:屋上からの脱出、織守きょうや:名とりの森、空木春宵:罪喰(つみばみ)の巫女、斜線堂有紀:鳥の密室、井上真偽:サマリア人の血潮、の5つの脱出をテーマにしたミステリアンソロジー。阿津川さんは、入り組んだ展開のわりにはラストでな~んだ感あり。織守さんがホラーチックでよくまとまっており楽しめた。井上さんはラストが良いもののドタバタ感が強く少し残念。

  • 脱出をテーマにした5つの短編集。始めの「屋上からの脱出」が1番この本の趣旨に合ってたよう。少しホラーも混じっていたし、作家さんの得意分野も楽しめた。

  • バラエティに富んだ脱出ミステリー短編。
    サマリア人の血潮、の記憶喪失且つ閉鎖空間という
    シチュエーションが良かった。
    正直他はあまり好みではなく、、

  • S図書館
    5編短編集
    ミステリー作家勢ぞろい
    阿久津氏と織守氏の作品が面白かった

    ・阿久津氏 「屋上からの脱出」
    中学生天文部員
    屋上に閉じ込められるほのぼの系

    ・織守氏「名とりの森」
    小学生2人
    森と町との境目、入ってはいけないのに入りたい年頃
    映画「夏へのトンネル」に似ていて想像しやすかった

    ・斜線堂氏
    ホラーおとぎ話
    魔女設定系「背骨が~」に似た作風

    ・空木氏
    ふりがなばかりで読む気が萎えた

    ・真偽氏 バイオハザードもの

  • 短編集。
    私の思い描いていた「脱出」より、より広義な意味での脱出がテーマだったかな…。
    阿津川辰海さんの屋上に閉じ込められて…というのが最も私の思う脱出に近かったんだけれども、途中何だか策略が読めて、冷めてしまった感がある。
    もっとこう、皆が脱出に向けて一丸となってという話が読みたい。

    織守きょうやさんの森から出られなくなる話は好み。なぜか名前を思い出せなくなってしまうという設定と、真相は分からないがなぜ森が人を離してくれなかったのかその理由を面白く感じた。
    私にとって森は神秘的だが恐ろしい場所でもあるので、森に囚われるという話は結構ドンピシャだった。

  • 収録作

    「屋上からの脱出」 阿津河辰海
    閉じ込められた深夜の学校の屋上から抜け出す方法を探せ

    「名とりの森」 織守きょうや
    入ると自分の名前を奪われる森から、親友を助け出せ

    「鳥の密室」 斜線堂有紀
    魔女として処刑される前に、塔の最上階から逃げ出せ

    「罪喰の巫女」 空木春宵
    不可解な仕掛けに囲まれた神社の秘密を解き明かせ

    「サマリア人の血潮」 井上真偽
    謎の研究上の出口を目指し、失った記憶を取り戻せ


    どれも面白い話でした。物語を全て読んだ後にもう一度読んでみると「あっそういうことだったのか!」と気づかせてくれる作者にはもうやばいとしか言いようがないです(笑)また記憶を消してもう一回読みたいです。本当に面白い話だからぜひみなさんにも読んで欲しいです。

  • 阿津川辰海さんの屋上からの脱出。悪意なき犯罪者。
    織守きょうやさんの名とりの森。ファンタジーの一種かな。
    斜線堂有紀さんの鳥の密室。中世の魔女裁判の残酷なお話。無実の人達を無惨に拷問死させたキリスト教。
    空木春宵さんの罪喰の巫女。怖い!で、最後にどんでん返し。ひゃ~。
    井上真偽さんのサマリア人の血潮。極秘の研究施設からの脱出劇。吸血鬼の要素が物語を盛り上げる。そこに主人公の揺れ動く心情。短いながらもよく考えられてると思います。

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著者プロフィール

1994年東京都生まれ。東京大学卒。2017年、新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」により『名探偵は嘘をつかない』(光文社)でデビュー。以後、『星詠師の記憶』(光文社)、『紅蓮館の殺人』(講談社タイガ)、『透明人間は密室に潜む』(光文社)を刊行し、それぞれがミステリランキングの上位を席巻。’20年代の若手最注目ミステリ作家。

「2022年 『あなたへの挑戦状』 で使われていた紹介文から引用しています。」

阿津川辰海の作品

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