北条氏康 関東争乱篇

  • 中央公論新社 (2024年7月22日発売)
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  • 本 ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120058073

作品紹介・あらすじ

北条、武田、今川による甲相駿三国同盟が成立。氏康がようやく関東平定に集中した矢先に、今川義元急死という報がもたらされる。武田と長尾による川中島の戦いも繰り返される中、勢いを得た長尾景虎がついに関東に乗り込む。小田原城籠城まで追い込まれた存亡の危機を、北条氏は切り抜けられるのか?

氏康の軍配者・小太郎、信玄の軍配者・冬之助、謙信の軍配者・四郎左――足利学校で共に学んだ日から30年、三人が戦場で相見える日がついに訪れた!



軍配者シリーズ、北条早雲シリーズを継ぐ〈北条サーガ〉の佳境。

感想・レビュー・書評

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  • 早雲の軍配者から始まったこのシリーズは、今回も北条氏康と上杉謙信、武田信玄、そしてその軍配者たちに焦点があてて構成されている。過去に読んだストーリーとの交錯があって、以前読んだ早雲の軍配者を読み返したら面白そうなんて思った。
    それ以外の家臣団の登場機会が少なく、歴史の経過を辿るという見方では物足りなく感じてしまった。

  • <北条サーガ> 北条氏康篇、第四弾。

    関東平定を目指す北条、甲斐・信濃統一を目論む武田、西方に目を向ける今川による三国同盟が成立。
    この同盟によって、それぞれの目的に集中できるようになった矢先、今川義元が田楽狭間(桶狭間)で織田信長の奇襲によって討たれてしまうという急報が届きます。
    そんな中、北条、武田の前にも彼らの計画を阻む"厄介な男"が現れて・・。

    今回は「進撃の長尾景虎スペシャル」ということで(?)、氏康よりも越後の国主・長尾景虎(後の上杉謙信)界隈がメインに描かれております。
    この長尾景虎が「戦はめちゃめちゃ強いけど政治に関してはからきしダメ」というキャラで、長尾家にとって何のメリットもない戦に「正義の為」という名目で出兵し、しかも厄介な事に天才的な戦上手な為、破竹の勢いで関東に侵攻してきて結果北条軍は小田原に籠城するしかないところまで追い込まれてしまいます。
    同じく武田家も信濃侵攻を阻んでくる景虎との度重なる川中島合戦で甚大な被害を被るという事態に。
    ここでポイントなのは、景虎は関東や信濃に出兵して北条や武田を排除しても、そこを領地として治める訳ではなくて、あくまで「正義」が目的という謎に無欲なところなんです(ボランティア出兵みたいなもん)。
    なので、通常の統治者からみれば理解不能な正義感に燃えた長尾景虎の行動は、氏康や信玄からすれば「マジで、計画狂うからやめて!!」という感じだったのかなとw。
    そんな、景虎に手を焼く者同士(氏康&信玄)が共闘した、松山城の攻防戦での氏康と信玄の会話が笑えます。↓
    (北条)氏康「長尾殿は何をしたいのでしょうか?」
    (武田)信玄「わかりませぬな・・(略)・・わたしたちとは違う種類の生き物と思うしかないのでしょう」
    ・・から始まり、挙句の果てには・・↓
    氏康「長尾殿は馬鹿でしょうか?」
    信玄「ええ、大馬鹿です。越後に引っ込んでおとなしく国を治めていればいいのに、何の得にもならぬことばかりしている。家臣や領民が哀れですな」
    ・・とまで言われてしまうという・・汗

    確かに、「正義」ではお腹は膨らまないということで、景虎の「義の出兵」のせいで越後の民が重税に苦しんでいたことを思うと、信玄公の仰る通りって感じですよね~(フィクションですけど)。
    因みに、この巻の中で氏康は息子の氏政に家督を譲ってはいるのですが、氏政がイマイチ頼りないので、表面に出て頑張らざるを得なかった訳です。
    というわけで、この巻は"困った軍神"景虎さんによる関東甲信争乱篇でございました。

    ところで、当シリーズではお馴染みの、足利学校の卒業生である"軍配者"トリオ(小太郎、四郎左、冬之助)の活躍も楽しみだったのですが、この巻で彼らが"退場"してしまうことになるのが、寂しかったです。
    巻末に「『巨星墜落篇』へ続く」、とありましたが、いよいよ次の巻で完結なのでしょうかね~?

  • ほぼ上杉謙信信濃関東大暴れ編といった風情で氏康どこ行った感。有力戦国大名が収斂してライバルたちも大きくなり、北条は戦国時代の中心ではなくなってきたという状況でこれからどう展開するのか(結果は決まってるが)、次回を待つ。

  • やっと三国同盟、私が知ってることがでてきた!と思ってら…。
    まだまだこの話は続くのですね。
    続きを楽しみにしています。

    その間に、軍師シリーズ読もうかな。

  • 名将と凡将の違いは何か?
    突き詰めれば、引き出しの多さと思考の柔軟さということになるであろう。

  • 上杉謙信との戦いがメインの巻です。戦の大変さがわかりました。

  • 甲相駿三国同盟成立も束の間、今川義元が急死し川中島の戦いも激化。景虎の猛攻で存亡の危機に陥った北条氏に打つ手はあるのか?

  • 地方勢力から戦国武将、室町時代から戦国時代へとイメージが移り変わっていく雰囲気が面白かった。

  • 氏康と信玄そして景虎の三つ巴の戦さ更に軍配師それも同じ足利学校時代の知人達の戦いの物語は実に面白かった。景虎はその後の上杉謙信だ。話しの中にある滝山城は滝は水が落ちるのは城が落ちるにつながってあまり良くないということで八王子城に移ったと八王子の人びとでは言い伝えになっていることだ。八王子育ちの小生の無駄話で失礼。

  • 川中島

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著者プロフィール

1961年北海道生まれ。98年に『修羅の跫』で第4回歴史群像大賞を受賞しデビュー。以降、時代小説や警察小説を中心に活躍。本書はドラマ化もされた「生活安全課0係」シリーズの主人公・小早川冬彦が、警視庁本庁から日本各地へ活躍の場を広げていくシリーズ第2弾。著書に「SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室」「スカーフェイス」「警視庁SM班」などのシリーズ他多数。

「2023年 『スカイフライヤーズ 警視庁ゼロ係 小早川冬彦Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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