- 本 ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120058172
作品紹介・あらすじ
この世界を、私はひとりで生きたい――。わかり合えない母親や、うざいクラスメート。誰とも関わらずひとりで生きたい、人生の〝スヌーズ〟を続ける相内蒼、高校二年生。その出会いは彼女の進む道を照らしはじめた――。北の街・札幌を舞台に、臨場感溢れる筆致で激しく記憶と心を揺さぶり、光溢れる傑作青春小説!
感想・レビュー・書評
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人と関わることが苦痛で、出来るだけ一人でいたいと思う蒼。
その気持ちはなんとなくわかるんだけど、「周りの人にとても恵まれていることに気付いてる?」と聞きたくなってしまうような場面が多数。
学校や家庭でいつも気にかけてくれる人がいて、決して孤独になることはない状況なのだから。
同じ高校の関さんが同じような内容のセリフを言ってくれて、スッキリした。
主人公に共感しきれない物語は、やっぱりなかなか感情移入できないみたい。
その代わり、友だちの冬子や米田君は人間性が素晴らしくて魅力的。
蒼ちゃん、あなたは周りに恵まれているんだよ。
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感想
人とは違う自分。それを受け入れる友達の凄さ。何処に向かうのか分からない自分。見つかって良かった。
あらすじ
相内蒼は母子家庭で育った。他人と交わるのが苦手で子供食堂を経営する社交的なめぐみとは正反対の性格だ。
高校生になり、小学生の頃に一緒だった米田と再会する。米田は同じ高校の定時制に通っていた。小学生の頃、彼の父親が夜間街灯調査員をしていると聞き、蒼はそれになりたいと思っている。
蒼は米田の助けがしたくて超弱小野球部に入る。活動するうちに他の部員や女友達に、米田のことが好きだと勘違いされる。
蒼は、仲良くしてくれた冬子に、一人が好きなことを正直に伝える。理解ある良き母親でいたがる母にイラついていたが、ある日、母が乳がんであることが分かる。
地元ローカル番組に取り上げられた米田の放送を見て、米田が小さい頃に小児がんだったことが分かり、ショックを受ける。
蒼が3年になった夏の大会、米田がエースの創生高校は10数年勝っていなかったが、西川高校についに競り勝つ。
友達の助言もあり、何がやりたいか分からなくなっていた蒼は、夜景研究をしている大学に行こうと決め、必死の勉強で合格を勝ち取る。そこには米田の支えがあった。 -
読み始めはこんなに心を打つお話だとは思わなかった。
わかりあえない母親や何でも勝手に決めつけたがるクラスメート達とは関わりたくない相内蒼。1人でいる時間が好き。誰かとずっと一緒にいたら息が詰まる。唯一の楽しみは夜の街灯を数えること。
そんな彼女を少しずつ変えていく小学校の時のクラスメートでもあり、創生高校でもクラスメートとなった坂本冬子。そして創生高校の定時制に通いながら野球部で1勝を目指す米田君。蒼が憧れる「夜間街光調査官」の仕事の話を小学生の時に彼女に話した彼である。
冬子に誘われ仲良しの女子グループが出来てその上野球部に入部するのは大きな進歩である。そして小学校の時から気になっている米田君の試合に出て投げたい!という願いを叶えるべく部員の前で意見をするほどに変わっていく蒼。内心「めんどくさ〜」と思ったのは本音なんだろう。それでも米田君が投げて1勝を勝ち取った場面はウルウル。ザ・青春という感じですね。
母親の推す国立H大学を受けずに自分の勉強したい事を見つけて関西の大学を受験するのも、米田くんとのことも読みながら応援してしまった。
冬子も米田君も蒼の世界に灯をともしてくれた存在。冬子のようなお友達がいて蒼は世界が広がったはず。医師を目指す冬子、定時制だからあと1年高校に残る米田君。そして自分の夢を叶えるべく、関西の大学に進学する蒼の今後にエールを送りたい。 -
装幀を上下に開くと、屋上らしき場所で灯りを見つめる女性の姿が。
誰とも関わりたくない、一人で生きていきたいと願う主人公・相内蒼の凛とした想いが伝わって来るようだ。
シングルマザーで起業家の母と二人で暮らす蒼だが、家庭に温かみは感じられない。
自分の信念を貫く為、娘より仕事を優先する母親の姿に終始疑問が拭えなかった。
母親の行動は一種のネグレクトに思え、孤独を愛する様になった蒼の背景を想像し、切なさで胸が詰まる。
友人・冬子と、野球部の米田虎太郎の存在がいい。
この年代ならではの苦味と気付きが詰まった瑞々しい青春小説。 -
こんなに変わり者の女の子が、誰からも虐げられないでクラスでもいい友達に恵まれるというのはまさに奇跡だし、ちょっとおとぎ話に近いのではないか。母娘の確執も母親があまりにも独善的で読む側に主人公の肩入れをさせようとしているように思えてなんともかんとも。
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友達が良いね
自分の方が大人だって思っていたら、実は子供だったって気づかせてくれる、友達が欲しかったな。
あれ?自分にも居たのに、それにも気づかなかったのかな?
なんて、思いながら読んでました。
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人と関わる事う好まない蒼が、友人の話に影響され、夜間街光調査官という架空の職業に憧れていく様が興味深かったです。
信念を持つことも、人と繋がることも生きていく上では必要なことなのだと思いました。
明るい家の光が灯せますように -
何だかスッキリしない。
母めぐみの愛し方は理解に苦しむ。
最後の雪かきで救われるが、それでこれまでの言動ごチャラになるとは思わない。
蒼には米田くんが居てよかった。
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