- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121000064
感想・レビュー・書評
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古代アステカ王国、と題打ってはいるものの、実質はスペインからの征服者コルテスの視点で描かれる半分小説形態の異文化交流紹介といったところだろうか。人によっては読みやすいと感じたり、求めていたのはこれじゃない感に襲われたりするだろう。色々興味を惹かれる点は多かったが、私は宗教的観点の違いに着目した。
征服者コルテスは、異文化に悩みながらも、黄金溢れるアステカ王国を切り取ってゆく。その際、彼は大きく異なる文化や思考に戸惑うことになる。それはアステカがこれまで閉ざされた世界で一つの宗教を信じてきため、どうしても完全なる外から現れたキリスト教を自分の定規で測ってしまうことから起きたことであった。キリスト教はヨーロッパの様々な宗教を駆逐してきた歴史から、異文化には理解がある。この二つの視点の違い、とくにアステカ側の無理解が現代の日本にも通ずるところがあると感じされられた。
日本人にとってもっとも欠けている能力は、宗教に対する理解であるとよく言われている。現代ではオウム真理教の事件があったり、歴史的にはキリシタンが迫害されたりと、宗教には否定されてきた背景が日本人にはあったからなのだろうが、国際化(という名の西洋化)を図ってゆく昨今、宗教関係に対する理解は命題といっても過言ではあるまい。しかし、この本を読んだ時、私自身アステカ人のような他の宗教に関する無理解がなんとなくわかる。おそらく、閉じた世界ではどこも似たような思考に陥りがちなのだろう。私は日本固有の思想を批判するわけではないが、同時に世界を理解するという姿勢を持つことも重要であると深く思わされる一冊であった。
以上、あまりネタバレにならない範囲の感想でした。結構、頭のおかしい(これも異文化を理解できない私の限界なのだろうが)アステカ宗教は興味を引くので、事実を述べ続ける教科書が苦手な人でも手にとってはどうでしょうか。 -
趣味で初めて買った歴史本。アステカについて何も知らなかったから、フムフムと。宗教というか信じるものがあると人はそれが正義だってなっちゃうんだろうな。もしアステカが捕虜をとる戦い方じゃなかったら、スペイン軍は負けていたわけで、ここでも宗教的な差が出てくる。面白かった。
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解説書と小説の中間のような文体で非常に読みやすかった。
ただ経緯を示すだけでなく、スペインアステカ両側の思想が説明されているのも面白い。 -
古代アステカ王国がどのようにして征服されていったかが書かれています。
一応、アステカ王国の成り立ちも書かれていますが、基本的にはコルテスたちにどの様に征服・蹂躙されていったかが書かれています。
ぼんやりとしか知らなかったこの辺のことでしたが、やはりこの当時のキリスト教と白人はほんとろくでもないんだなということを再認識。
黄金のことばかりですね。
そして、アステカの王様のいい人…というか、いい人過ぎて搾取されちゃう感じが可哀想です。
アステカの戦士は強いですが、近代兵器や、中米に居なかった馬などの秘密兵器の前にはどうにもなりませんね。
戦闘も途中途中でアステカ側の大勝利の直前までは行くんですけどね…。
生贄の儀式を行っていたアステカ王国ですが、それを行わないと宇宙が壊れてしまうからと信じていたというのも興味深かったです。
テスカトリポカという戦争の神へ捧げるものだったようです。
今の視点でどっちが「蛮族」と呼ばれるべきなんだろうとは思ったりもします。
アステカ王国も帝国主義的に領土を広げ奴隷や生贄を集めていますし、スペイン(というかコルテス)も黄金を手に入れるためにアステカ王国の内側に入り込んで取れるものはなんぼでも奪ってしまえですし。
今の視点で裁くべきではないというのは当たり前の話なのですがね。
なかなかに興味深い本でした。 -
割と新書の初期の本は読みづらいといった
先入観が付きまといますが
そういった違和感は感じませんでした。
スペインの侵攻を受けた
古代アステカ王国のことについて書かれた本です。
スペインと古代アステカ。
宗教観の違いをすごく感じました。
そして彼らの滅亡までの記録。
彼らは未知の国のものの「欲望」により
滅び去りました。
まさに悲しみ。
ですが運命はスペイン側にも
被害をもたらしました。
コルテスは一種の使い捨てにあったので。
すごく不思議な国なものですね。 -
面白かったです。
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コルテスのアステカ遠征は総督の許可を得ていなかった、現地人にはアステカの圧政のためにコルテスに協力するものも多かったなど、「1521年にコルテスがアステカ帝国を滅ぼした」という教科書の単純な記述だけではわからない複雑な歴史がここにある。とくに極悪人としか思っていなかったコルテス像がかわった。
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(1977.02.11読了)(1977.01.31購入)
副題「征服された黄金の国」
*本の帯より*
原史料と現地踏査によって描いた夢の黄金王国の繁栄と滅亡
太陽神と黄金の平和郷アステカ王国(現メキシコ)は独特の文化を持ち豊かな生活を営んでいた。しかしその平和はスペイン人たちの侵入によってあえなく崩れ去った。恐るべき宇宙観を持ち、湖上に浮かぶ壮麗な首都の大ピラミッドでは毎日多くの人たちが犠牲に捧げられていた不思議な国である。この王国に挑んだスペイン人たちの冒険と王国の激しい抵抗と滅亡の歴史を、スペイン語の原史料と現地踏査によって鮮明に描き出す。
【目次】
黄金国を求める者たち
征服者コルテスの登場
姿をあらわしたアステカ王国
夢の都テノチティトラン
コルテスの決断
悲しき夜
英雄の敗北と死
古代メキシコの諸文化について
メキシコ古文化図解
年表
あとがき
※メキシコ
「メキシコの青春」北川民次著、カッパブックス、1955.10.01
「マヤ文明」石田英一郎著、中公新書、1967.03.25
「メキシコ民芸の旅」利根山光人著、平凡社新書、1976.07.08 -
コルテスによるアステカ征服について書かれた本。アステカの征服について興味のある人は最初はこの本を読んだほうがいい。