- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121000125
感想・レビュー・書評
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史記の現代語訳(抄)と解釈。
史記の面白さを感じることができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中国古代についてほとんど何も知らなかったので、たまたま手に入れた本書を読んでみた。司馬遷の書いた『史記』について、司馬遷自身の人生も交えながらエッセンスを物語風にまとめたもの。あえていえば解説書ということになるが、物語の面もかなり濃い。古代中国の歴史の流れと人々の世界観・人生観もおおまかに理解することができた。非常に面白く、名著だと思う。
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東洋史専攻でした。
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貝塚茂樹 「 史記 」
史記の現代語訳抜粋と司馬遷 論の本。
史記は単なる歴史書でなく、司馬遷の歴史哲学(運命とは何か、人間とはどういう存在か)を共通テーマとした人間学の本であることがわかる良書。
司馬遷が宦官であった事実に着目し、不具の絶望感から司馬遷の歴史哲学を紐解いている
司馬遷の歴史哲学
*社会制度より人間の運命に目付け〜悪が栄える不条理な現実に目を向けている
*徳行をつみながら無名のうちに死んだ人々を文章によって生き返らせ、永遠の生命を賦与している
史記列伝の抜粋が多い。とても面白い。特に 太史公自序(司馬遷の自叙伝)は読んでみたい。
各章の副題も秀逸で 読む際のイメージ作りに役立つ
1章2章 宦官司馬遷の真情
3章 伯夷列伝〜個人の発見
4章 商君列伝〜改革者の運命
5章 蘇秦列伝〜計量外交術
6章 孟嘗列伝〜人気稼業の哀歓
7章 李斯列伝〜大帝国の土崩瓦解
8章 項羽本紀〜英雄時代
9章 貨殖列伝〜庶民の世界
史記列伝の名言
*伯夷列伝「人生の目的は 現世の冨貴にあるのでなく、死しても名声を残すこと」
*蘇秦列伝「鶏のくちばしになっても牛の尻尾になるな」他人のしないことをする戦国の時代精神
*貨殖列伝「政治は人倫の自然に従うのがよく、それは自由主義経済でなければならない〜富を求めるのは人間の本性」
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まえがきに『史記』全百三十巻(の目録)は、「まるで中国料理の菜単(メニュー)が湯(すいもの)だけでも十余種類もずらりと並べていて、いったいどれを注文してよいか戸まどいさせるように、どこから読み始めてよいか、まったくがどわされてしまうのである。」とあり、著者の貝塚茂樹さん曰く「私は史記百三十巻の目録つまり菜単から、己れの好みにまかせ、わが国の顧客の口に合いそうな逸品を選んで差しあげた。願わくば存分に味わっていただきたい。」と記している。中華料理のメニューとはじつに美味い例え。内容は、貝塚節が満載である。
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司馬遷の歴史記述の方法がわかる
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初版が出たのが昭和38年、昭和60年に第54版が出ている。放送大学の特別講義で「司馬遷・旅と『史記』」という講義を聴講し、司馬遷という人物に興味を抱いた。
何といっても彼は宦官であるということ。宦官になったいきさつが、戦で負けた将軍を弁護したため帝の逆鱗に触れ、死刑になるところを自ら願い出て宮刑にしてもらったという。それで死刑は免れた。
この本は「ある死刑囚のあたえる手紙」という二章にわたる手紙の書き出しで始まっている。ある死刑囚とはもちろん司馬遷のことである。当時の制度では、銭を払って死刑を免れることもできたし、宮刑に変更してもらうことも可能だった。貧乏な司馬遷は金を工面できなかったので、やむを得ず宮刑で手を打った。その後の活躍を思うと、このとき死なないで本当に良かったとつくづく思う。
第一章の「ある死刑囚に与える手紙」の書き出しから全体を通して物語風で、歴史書というよりはやはり歴史物語なのだろうか。当時の人物が会話をしている場面が多く出てくるが、それが生き生きとそれぞれの場面を浮き上がらせる。
なにしろ「史記」本体は大変大きな資料なのだから、この新書サイズのようにコンパクトにまとめてもらえると、全体像を把握するのには良いのだろう。 -
4121000129 251p 1986・11・10 57版