神話学入門 (中公新書 96)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 59
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121000965

作品紹介・あらすじ

参考文献: 181-184p

感想・レビュー・書評

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  • 神話学入門

  • ギリシア神話とかの玲がたくさん出てくる本…
    ではありません、残念でした。
    いたってまじめな神話というものの分類学です。

    まあ、まったく面白くないわけではないですが
    へ?という感覚を覚えることうけあいで
    何か違うように感じてしまいました。

    ただ、命の誕生という神話をひとつとっても
    地域によっていろいろな書き方をしているのです。
    そして重大な事柄であろう「火の発見」
    「農耕技術の発生」も。

    期待はずれだったかも。

  • おおおお専門的。神話学がどういうものかがちょっとわかったかな。でも右から左へ抜けていく知識。。。色んな神話の例示が素人的には楽しかったです← 文字のない文化の怒りとか巨大文化圏周辺地域の えええそれでいいの?!みたいなルーツ。すごく愛らしい創造物語とか ちょっとなあ・・と思うような説明神話。外国の神話に列島登場したり。大体神話ってびっくりするような内容多いけどね。しかし文化って大切なんだなあ・・。
    こういうの見ると ああ、本来人間ってこうだよなあ、じゃあ仕方ないよなあ、みたいな感慨にかられる。
    塵から生まれたものは 塵にかえれ だそうで・・・あれ 違うっけ。塵にかえろう。

    とにかく神話学の辿ってきたうよう曲折とか 専門外の私には難しかったと思う。もっと基礎知識が要る。著者の引き出しの多様さに脱帽です。

  • 著者の大林太良てのが、学部時の研究室の先生の先生なので、僕からすると大先生になる、のかな? 学部の時に読め読め言われてたのに読まず、研究室出た今頃読んでごめんなさい。あの頃読んでいればもっと講読の授業ちゃんと話せたと思います。

    題名通り、「Ⅰ 神話研究の歩み」で現在までの神話研究を巡る代表的な研究者とその理論、学派を歴史的に説明し、それぞれの説の特徴と問題点をはっきり挙げていて非常に解りやすいです。ただ、先にいくらか知らないと、それぞれの説の違いが判らず、途中で挫折するかもしれません。このⅠ章は本全体を通して必要で、先に読まなきゃいけないんだけど、知らない人からするとしんどいはず。学説の話なので具体的な神話が殆ど出てこないもの飽きる要素のひとつ。
    でもね、でもここを我慢して読めば、Ⅱ章以降にはめくるめく神話世界が拡がるのよ!!

    フレイザーの『金枝篇』よろしく、Ⅱ章以降はどんどん世界各地の神話の例が提示される。二章で神話・伝説・昔話、神話の型などなどの分類をしてからそれぞれの例を述べるので、非常に読みやすい。それに、自分の知っている神話がいかに局地的なもので偏ったものであるかを実感する。


    人間は物語によってコミュニケーションをとるし、他者を理解するし、現実世界その他を認識する。その原初であり、核たる物語のひとつが「神話」であることは間違いない。神話を持つことで、人間であること、民族であること、家系に属していること、職能に従事していること、個人であることを自覚し、他者に対しては主張をするわけで、神話をアイデンティティの根源のひとつとすると、神話研究は非常に重要である。
    それは未開ではない現在もそうで、かつて神話を拠り所にしていた時代があったこと、そして未だに何かしらの神話を持って自分たちは生きているのではないかということ、他者もそれぞれの神話を持って生きていること、それらを理解することは決して不要なことではないと考える。

    神話を考える上で慎重にならなければいけないのは、似た展開だからといって、検証なしに神話同士を同じカテゴリに入れてしまうこと、内容の詳細さや過多のみで神話の優劣上下、祖先子孫を決めてしまうこと、などであろう。

    神話研究の歴史では、全神話に通用する理論や説が長らく唱えられてはその問題点を指摘され、また新しい説が登場する度、その都度問題点が指摘されたきた。それはなぜかというと、神話は多種多様であること、どこにでもあり地域差が劇しいこと、由来を辿れるものが少ないことが理由のひとつだと思う。

    多くの神話に共通していて、ある程度までなら一般化できる理論は勿論あるし、それは研究されなくてはならない。他方、詳細にある神話を論じる場合は、歴史的、地域的、文化的背景を踏まえて、丹念に調べ、妥当な検証がされなければならない。
    マクロな視点とミクロな視点の両方からアプローチする。これが現在のひとつの研究方法であろう。マアこれはいろいろな分野に言えることなんだけどね。


    学部の時の先生が台湾の首狩り習俗の専門家だったんだけど、本書でも首狩りの話が出てて、ハハァーン、先生はここに閃いて大林太良に会いに行ったのかな、などとニヤニヤ。
    首狩り習俗をご存じない方に説明すると、イメージ的には狩猟文化の習俗と思うかもしれませんが、首狩りを行うのは主に栽培文化、農耕を行う人々です。これにはハイヌヴェレ型神話が首狩りの始まりに挙げられるのですが、農耕民の儀礼の方が血なまぐさいのが多いのです。こういうところでいかに「狩猟民=血なまぐさい・乱暴、農耕民=穏やか」という印象が出鱈目かがわかる。

    終章で述べられている、「神話は誰を聴き手に想定して語られたか」という問題は、今の僕らの感覚だとつい見落としがちなので、忘れないでおきたいことである。

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著者プロフィール

1929-2001年。東京生まれ。1952年東京大学経済学部卒業。1955-59年フランクフルト大学、ウィーン大学、ハーヴァード大学にて民族学を学ぶ。ウィーン大学にてDr.phil.を取得。東京大学教授、東京女子大学教授、日本民族学会会長、北海道立北方民族博物館館長等を歴任。毎日出版文化賞、朝日賞、福岡アジア文化賞受賞。著書に『東南アジア大陸諸民族の親族組織』『日本神話の起源』『稲作の神話』『葬制の起源』『日本神話の構造』『邪馬台国』『東と西 海と山』『銀河の道 虹の架け橋』など。他にも多くの著訳書がある。

「2019年 『神話学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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