フィレンツェ: 初期ルネサンス美術の運命 (中公新書 118)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121001184

感想・レビュー・書評

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  • “高階漬け”になっている昨今の私。

    本書は大衆受けしない、渋めのテーマ「フィレンツェ」について、光と闇を織り交ぜながら、綴っています。

    特に私は芸術家よりも、メディチ家やサヴォナローラなど周辺の人物の記述に興味が尽きません。

    ・現実的な事物にひそむ詩情
    ・神学と哲学の融合
    ・民主的社会では、抜きんでた才能は疎まれる
    などの指摘(引用)は、きわめて的確で、今の日本社会に通じるものを感じます。

  • 初期ルネサンスの萌芽の地であるフィレンツェについて、都市の制度面や中世から引き継いだ文化面を背景にルネサンス芸術が創出される過程を描く。主として建築・絵画・彫刻などの芸術作品が本書の主題であり、思想・哲学方面、人文主義、あるいは宗教面での変化などは軽く触れられるに過ぎない。換言すれば、本書ではフィレンツェを代表する初期ルネサンス芸術家についての概要をつかむことが出来る。

    ルネサンスという時代が中世から明確に切り替わったいわゆる断絶史観ではなく、緩やかに中世ゴシックの内容を包含しつつも新しい様式へと移行してゆく時期のフィレンツェ美術を描き、やがて舞台は北方・西方に移りフィレンツェがルネサンス芸術の舞台としては衰退してゆくまでの過程を通観する。

  • これを読んでから文化史の授業を受けたら、楽しかったです。
    いつの時代も、芸術家って難しいなぁ。と。
    写真が白黒なのは、仕方ないけれど残念ですね。

    私、お墓が好きみたい。ポルトガル枢機卿の墓が一番気になります☆

  • (この本でなくても、なにかこの著者の本が読んでみたい。)

  • ルネサンスというのは美術だけの話でも、建築だけの話でも、思想だけの話でもなくて、総合的な変化だったとわかりました。そして当時画家であっても建築を担当したりってこともあったんですね。様々なスキルが分業になるのもルネサンス。そこでその技がひとつの特殊技術として認められるようになったのもルネサンス。ある意味、美術はここから始まったとも言えるんでしょう。
    …と理解しました。

  • 西洋建築史の授業のために読んだ。高階先生の文章はいつものように、内容はしっかりとあるのにわかり易く、読むことが喜びである。

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著者プロフィール

高階 秀爾(たかしな・しゅうじ):1932年、東京生まれ。東京大学教養学部卒業。1954ー59年、フランス政府招聘留学生として渡仏。国立西洋美術館館長、日本芸術院院長、大原美術館館長を歴任。現在、東京大学名誉教授、日本芸術院院長。専門はルネサンス以降の西洋美術史であるが、日本美術、西洋の文学・精神史についての造詣も深い。長年にわたり、広く日本のさまざまな美術史のシーンを牽引してきた。主著に『ルネッサンスの光と闇』(中公文庫、芸術選奨)、『名画を見る眼』(岩波新書)、『日本人にとって美しさとは何か』『ヨーロッパ近代芸術論』(以上、筑摩書房)、『近代絵画史』(中公新書)など。エドガー・ウィント『芸術の狂気』、ケネス・クラーク『ザ・ヌード』など翻訳も数多く手がける。

「2024年 『エラスムス 闘う人文主義者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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