カンの構造 発想をうながすもの (中公新書 174)

  • 中央公論新社 (1968年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (194ページ) / ISBN・EAN: 9784121001740

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  • 『カンの構造』は、1968年に中山正和によって著された、創造性や直感(カン)の本質を探る名著です。半世紀以上前の本ながら、現代の認知科学やAI、エグゼクティブ・コーチング、集合知論とも響き合う先見性に驚かされました。

    本書の最大の特徴は、「カン」を単なる経験則や偶然の産物としてではなく、無意識に蓄積された膨大な情報や経験が、ある状況で意味ある形として表出する現象と捉えている点です。パブロフの第1信号系・第2信号系の理論を用い、感覚的な反応(第1信号系)と、言語や抽象思考(第2信号系)が複雑に絡み合うことでカンが生まれると説明しています。

    また、経営者や技術者のカンだけでなく、組織全体が持つ「企業のカン」にも踏み込み、個人の暗黙知や経験が集団の知恵となりうることを論じている点も興味深いです。これは、江戸時代から続く日本の家ごとの教養や徒弟制度的な知の継承が、現代の企業や社会の底力になっているという視点とも重なります。

    NM法(アナロジー発想法)やシネクティクスなど、創造的発想法の具体的な手順も紹介されており、問題の本質把握→アナロジーによる視点転換→再適用という流れは、現代の構想設計やデザイン思考にも通じるものがあります。

    特に印象的だったのは、「記憶は再生ではなく生成である」という考え方です。知識や経験は、必要な場面で文脈に応じて生成されるものであり、単なる暗記ではなく、状況に応じて知を活用する力こそが大切だと説いています。これは、現代の学習論やAIの生成モデルにも通じる重要な視点だと感じました。

    また、禅仏教の『正法眼蔵』や無意識の活用にも言及し、自己と世界の一体性や、直感・ひらめきの本質を多角的に探求している点も本書の深みを増しています。

    現代のエグゼクティブ・コーチングや自己変容の理論とも共鳴し、「問い」「内省」「自己認識」「直感の活用」が知の進化を促すというメッセージが読み取れます。

    総じて、『カンの構造』は、個人の内面から組織・社会・文化へと広がる知の生成現象を、科学・工学・心理・文化の多層構造で捉え直した画期的な一冊です。時代を超えて、知の本質や創造性の根源に迫る洞察に満ちており、今なお新鮮な刺激を与えてくれる名著だと思います。

  • 勤め先の役員から勧められて読んだ本。
    1968年に書いたとは思えないほど、先を見通していたような内容で、正直おどいた。
    「カン」という言葉の本質を、医学的にも、論理的にも、解いていっている。正直難しくて、途中訳が分からず、つまらなくもなったが、生成AIにも解説してもらいながら、自分なりに意味や言いたいことを解釈していくと面白い。
    5章の企業のカンでは、企業の経営者からピラミッド構造の社員のリアルな動き(経営と現場の違い)と、脳みその中の記憶とカンの動き、後はいくつかのシチュエーションに対するカンの使われどころというか、、、「ピンとくる」をどう活かすか、、、ってところだと理解。
    だからこそ、いわゆるカンってやつなんでしょうね。
    兎にも角にも、経験を積んで、周辺の知識を増やして、カンの引き出しを増やしましょう・・・が結論かなぁ。

  • NM法

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