照葉樹林文化: 日本文化の深層 (中公新書 201)

制作 : 上山 春平 
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121002013

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  • 中尾佐助氏が、シンポジウムの最初で、いきなり和辻哲郎の「風土」を批判するのが面白い。思ったことを、何でも率直に言う人なんだと思う。

    そして、直感的に物事をとらえる力がすごい人である。
    「ぼくは、単音節の単語がたくさんあるような言葉を持った連中が、日本に稲作農業を持ち込んだのではないかというふうに考えている」(p116)

    中尾佐助は、面白い。

  • 高校の世界史の先生に勧められた一冊。
    日本史、世界史、地理、生物に精通している方にとっては新たな視点を提案してくれるものとして良いかもしれない。全文対話形式であり初心者には優しくないが、いつかもう一度読みたい。

  • 『日本文化の深層』
    編者:上山春平
    シンポジウム参加者(肩書は当時のもの):
    中尾佐助(大阪府立大学教授)
    吉良竜夫(大阪市立大学教授)
    岡崎 敬(九州大学助教授)
    岩田慶治(大阪市立大学教授)
    上山春平(京都大学教授) 

    【書誌データ】
    刊行日 1969/10/25
    判型 新書判
    頁数 224ページ
    定価 本体660円(税別)
    ISBN 978-4-12-100201-3

    日本文化の源流をたどりつめると、縄文の世界が現出する。しかし、これまでの考古学、民俗学等の研究成果にもかかわらず、稲作技術渡来以前の文化=縄文文化については、必ずしも十分な考察が進められているとはいいがたい。現在必要とされているのは、広い分野の人びとの協力により、新しい視点・方法を提示することではなかろうか。ここにシンポジウムを開き、日本文化の原型を東アジア世界との関連の下に考察し、国際的な観点をさぐる。
    http://www.chuko.co.jp/shinsho/1969/10/100201.html

    【めも】
    ・プロ倫のように壮大で大風呂敷な文明論。
    ・1976年に『続』が刊行された。
    https://booklog.jp/item/1/4121004388


    【目次】
    はしがき(一九六九年一〇月 上山春平) [i-v]
    目次 [vi-vii]

      序説
    I 日本文化の深層分析 004
    II 照葉樹林文化と縄文文化 013
    III 縄文文化の担い手 023

      シンポジウム 
    I 照葉樹林とは何か 043
      生態学的見地  和辻の風土論と気候区分  非ヨーロッパ的な気候区分の試み  温度と乾湿度のインデックス  人間生活のための気候区分  標準的な環境区分システム  「照葉樹林」について  照葉樹林と硬葉樹林  ブナ科の世界  照葉樹林と落葉広葉樹林  照葉樹林の本場  照葉樹のふるさと  ヒマラヤの照葉樹林  日本の照葉樹林

    II 照葉樹林帯の農耕文化 085
      照葉樹林の食用植物  半栽培  ポナペ島のイモ栽培  照葉樹林前期複合  水晒し技術  加熱処理法  照葉樹林の野生食糧 秋から冬にかけての食べもの  春から夏にかけての食べもの  動物性の食べもの  照葉樹林文化複合  日本とシナ  竹  茶  酒 

    III 照葉樹林と縄文文化 131
      縄文文化の成立条件  縄文初期の植生 土器の用途  縄文土器の起源  土器と農耕  半栽培の長期化  根栽文化の北方変形型  半栽培の考古学的裏づけ  穴貯蔵  焼畑農耕の渡来  石包丁  ヒョウタン  気候変化と花粉分析  五つのゾーン  植生の変化  気候変化の区分と考古学的時期区分の関係  生活の場の変化  照葉樹林とその後の運命

    IV 照葉樹林帯の固有信仰 191
      問題点  三つの神観念  神観念の進化  木や石に宿る神  森林の神と草原の神  客人信仰と神の降臨  モンゴロイドの同質性 

  • 1969年刊行。著者は京都大学人文科学研究所教授。◆日本文化の基底の一をなす縄文文化。その成立に当時の生態系が大きく関わってくるという点は現代でも異論はないだろう。本書は、環境考古学的に意義深い縄文期の生態系を照葉樹林文化と規定し、固有の専門家との鼎談形式で叙述していく(シンポジウムの議論が元ネタ)。他の照葉樹林地帯との文化的比較をするのも、らしい感じである。◇ドングリ利用は著名なため、個人的には、余り遺物の残らないイモ食文化が日本の縄文期において如何なる影響を持っていたかが気にかかるところ。
    ◇勿論、遺跡・遺物等、刊行時の古さは否めないが、議論の出発点という意味でも、また、前提情報としても、日本の先文字時代の文化的基底(今風な神道とは少し違う日本の固層の信仰を含む)を知る上で、一読にしくはないと思える。

  • (1974.09.18読了)(1973.08.26購入)
    副題「日本文化の深層」
    *解説目録より*
    日本文化の源流をたどりつめると、そこには縄文文化の世界が現出する。ところが、これまでの考古学、民俗学等の研究成果にもかかわらず、稲作技術渡来以前の文化=縄文文化については、必ずしも十分な考察が進められているとはいいがたい。現在、最も必要とされているのは、考古学のみならず隣接諸科学の人々の協力により、新しい視点・方法を提示することではなかろうか。上山春平氏の司会により、中尾佐助、吉良竜夫、岡崎敬、岩田慶治の諸氏のシンポジウムを開き、東アジア世界との関連の下に、縄文文化を位置づけるユニークな試みを行った。

    ☆上山春平の本(既読)
    「日本のナショナリズム」上山春平著、至誠堂新書、1965..
    「日本の土着思想」上山春平著、弘文堂、1965.09.15
    「明治維新の分析視点」上山春平著、講談社、1968.06.28

  • ・中部地方の山では、夏が暑くて冬が寒い。この中間帯を暖帯落葉樹林帯と呼び、イヌブナやモミが特徴的。クリは落葉広葉樹林と照葉樹林にまたがって分布するが、この中間帯で目立つ。
    ・大陸では、人の居住区と照葉樹林帯との関係がみられる。ニューギニアの山岳部でも、照葉樹林帯の人口密度が一番高い。

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