実録アヘン戦争 (中公新書 255)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121002556

感想・レビュー・書評

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  • アヘン戦争はイギリスが中国に無理矢理アヘンを持ち込んで、中国人を根こそぎヤク中に仕上げ戦争けしかけてボコボコにした。
    その事実に変わりはないし、やはりイギリスのやることはヤバいなと再認識。
    教科書ではアヘン戦争はイギリスの東アジア進出の初段の役割を果たし、これによって不平等条約が結ばれて云々って感じだが、
    この本を読むとイギリスもただアヘンを売りたくて売りたくて仕方なかったんだなと笑


    ただ中国でもアヘンに対する議論があり、それが政治上のイデオロギーとなって対立してって流れがあったのは意外だった。
    そもそも傾斜の時代で各港にて賄賂が横行してってところで、付け入る隙だらけだった国の状況も大いに影響してるのだろう。
    また中華思想というものがこの時代にも根強く、貿易に対するそもそもの考えが凄い。
    刀振り回して攘夷攘夷騒いでた日本人が言えることではないが、なかなかお気楽な国だったんだな笑

    そして戦争に入る日付が酔っ払いによる殺人?
    まあ薩英戦争も会津戦争もそういう事件が発端になっているが、それは変わらないんやな。


  • 戦争が始まってしまった理由というのには興味がある。

    人を殺す許可を互いに出すのが戦争であり
    それは端的に倫理的ではない。
    それに値する何かがあると考えてするのか、
    倫理などというのは糞の役にも立たないのか。

    さて、本書は言わずと知れたアヘン戦争である。
    世界の帝国の一つであるイギリスが貿易で阿片を持ち込むようになってから
    それに反発をした中国を逆に武力でやり込めて香港を割譲させたのが
    この戦いのあらすじで、これが覆るわけではない。

    ただし、その際に中国側の役人がどのような覚悟で向かったか、
    その際の筋の通し方など、中国人の士大夫の強さが見えるし、
    結局こじれた時に、首をすげ替えたところどんどん後手に回ってしまう
    官僚主義的な問題の延焼の仕方とか、示唆に富む。

    また、イギリスも開戦にあたって戦費の支出を議会にかけた時に
    賛成 271
    反対 262
    であって、「不名誉な戦争である」と言った演説もあったことは
    十分に記憶すべきで、それは
    そこまで言っても別に止められなかったということを記憶したいと思う。

  • 今度受ける近現代史の講義テーマになっているため、ざっと斜め読み。アヘン貿易を認めさせるための戦争であり、漁夫の利を得たのはアメリカだということがポイントなのかと思う。いつの時代も、戦争によって得をするのは戦勝国じゃなくて、第三者なんだよね。

著者プロフィール

1924年-2015年。神戸市生まれ。大阪外国語大学印度語部を卒業し、終戦まで同校西南亜細亜語研究所助手を務める。61年、『枯草の根』によって江戸川乱歩賞を受賞し、作家活動に入る。その後、93年、朝日賞、95年には日本芸術院賞を受賞する。主な著書に『青玉獅子香炉』(直木賞)、『玉嶺よふたたび』『孔雀の道』(日本推理作家協会賞)、『実録アヘン戦争』(毎日出版文化賞)、『敦煌の旅』(大佛次郎賞)、『茶事遍路』(読売文学賞)、『諸葛孔明』(吉川英治文学賞)、『中国の歴史』(全15巻)などがある。

「2018年 『方壺園 ミステリ短篇傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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