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本 ・本 (214ページ) / ISBN・EAN: 9784121004468
感想・レビュー・書評
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ナチスのエリートに様々な分類を行い、今では古い箇所もあるのだろうが様々な類型、バックの組織、個人の信条などが複雑に絡み合う「ヒトラーのもとで一枚岩の完全に統御された全体主義的独裁」という70年代にかけてのナチズム研究の飛躍的進展によって徐々に通紙として描けるようになってきたと著者の山口定氏もあとがきで触れているように、コンニチではカトキ的研究入門書にも思えるが、初心者向けとはとても言えずある程度この時代やナチ・ドイツ、第三帝国、第二次世界大戦、ホロコースト、恐るべき暴力と流血と破壊の人類史上に比類ない罪過として聳え立つこの時代のヨーロッパ方面の出来事に習熟してカラ読むのをおすすめ致します。両所の部類かと。
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古い本だが、ナチス指導下でのドイツの行政に興味があったので購入。
ナチス政権樹立までのナチス党組織の社会への浸透の仕方と、官僚体制が分かる。また、従来の勢力(ユンカーや官僚)との関連性やナチス政権下での内部での権力闘争も記載されている。
ナチス党組織が末端は隣組レベルで存在していたことを知った。
日本とドイツの第二次世界大戦への反省の違いがよく取りざたされるが、「日本人は第二次世界大戦(太平洋戦争)に対して、被害者意識を持っている。一部の軍部によって戦争に巻き込まれ、大空襲と原爆を受けた被害者だ」という論があるが、この時日本国民と指導者(軍部)が切り離されている。一方、ドイツの場合身近な事例としてナチス=指導部と繋がっており、ユダヤ人迫害も「記憶」として残っている事になる(ひどい例だが、「うちの爺ちゃん三丁目ナチス町内会長でユダヤ人をいじめてた」という感じ)。
そりゃ日本とドイツで責任の感じ方も異なるというもの。 -
ナチスドイツ体制のエリートたちの概観を幅広くまとめた本。
一般にナチというと想起されるナチス等の古参闘士(アルテ・ケンプファー)から大管区指導者だけでなく、下級幹部や官僚、戦争体制を支えた産業界まで扱う範囲がひろいのでそれぞれの記述はあっさりめ。
内容が細切れな分風呂に入りながらパラパラと読むのに意外と適していた。
ナチスを構成する各層の意識の違いも面白いのだけれど、戦争に耐えられる自給自足可能な経済を築く上でのゴタゴタが面白かった。
ロベルト・ライの社会主義的なドイツ労働戦線が、競争する他の組織との権力闘争に敗れて、最終的に労働者のガス抜きという限定された役目を担うあたりとか、いかにもナチらしい国民が不満を持ちづらい仕組みを目指した結果生産性がガタ落ちした農業政策とか。 -
かなり古いが、当時としては最先端のナチ指導層に関する研究をまとめたもの。やや詰め込みすぎの感もあるけれど、先行研究の目星をつけるには使える……やっぱり古いか?
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山口定『ナチ・エリート—第三帝国の権力構造』265ページ
(中公新書 446)品切れ
1976年10月に出版された本ということもあり内容的には少々古いかもしれませんが、当時としてはあまり類書がなかったように思います。
ナチスにおける「エリート」の構造と機能について網羅的に書かれています。
本書は概説書ではあるものの当時の欧米でのナチス研究も取り入れてもおり、研究書としての面も十分にそなえています。
数々の指摘は今日の「組織」にも当て嵌まる部分が少なくありません。
久々にラインマーカーを使いました(笑)
オススメ度☆☆☆☆☆5つです。
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[目次]
はじめに
1 <<ナチ・エリート>>に関する五つの見解
2 大衆運動としてのナチズム
3 ナチ党指導部とその周辺
4 ナチ党指導部と伝統的支配層
5 <<第三帝国>>爛熟期の権力とエリート
むすび
あとがき
参考文献
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山口氏には他に、
『ファシズム』岩波現代文庫(2006年)
[目次]
1 ファシズムとは何か
2 運動としてのファシズム
3 思想としてのファシズム
4 体制としてのファシズム
5 ファシズムの歴史的位置
補説 新たな時代転換とファシズム研究
『ヒトラーの抬頭—ワイマール・デモクラシーの悲劇』朝日文庫(1991年)
[目次]
プロローグ ビアホールの一揆
1 ナチズムの誕生
1月革命からワイマール共和国へ
そのときすでにナチズムは…
ヒトラー登場
2 待機するナチズム
ワイマール共和国の「蜜月」
ようやくナチ党の全貌が…
しのびよる危機の前兆)
3 政権掌握
政権掌握への最後の準備
国防軍・社会民主党・共産党
この決定的な瞬間に…
エピローグ 第三帝国への序曲は終った
などの著書があり、その他にヒトラーやナチス関連の訳書もあります。
山口定の作品





