- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121004482
感想・レビュー・書評
-
私は話すのが苦手です。
話すのが苦手なので、仕事でプレゼンをするときいつも「あぁ、もうちょっと上手く喋れたらなぁ」と思うのです。
ただ、話上手(?)のプレゼンを聞いても、「言葉数が多いだけであんまり納得感はないな」とか、「自己一点型の自分の角度からしか物事を捉えられてない主張の仕方だな」とか、そんなことを思うのも多々あります。
今回この本を手に取った理由は、そんな話者に対する不満や違和感をどうにかして"見抜く"術を身に付けられたらと思ったからでした。
加えて、そんなお上手な話術で言い負かすことを望んではないけれど、いつか必要になったりするかもしれないときの保険としてね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
論理パズルを紹介している本でもあるのですが、詭弁や強弁についてのエッセイのような叙述も含まれており、少しまとまりのない印象を受けました。
以前読んだ同じ著者の『まるさんかく論理学』(Z会ペブル選書)とかさなる内容も多く、そちらのほうが内容的にはまとまっているように感じました。 -
ロングセラーの理由がよくわかる。面白い。
昭和51年10月25日が初版だから、西暦だと1976年。
かれこれ40年ぐらい前の著書なのに
現在の「発言小町」や
「2ちゃんねる」を想定しているかのような文章。
今風に言うならば「マウンティング」の話だと思った。
小さな優越感を感じたいがために
自分のほうが上だとアピールする行為は
40年以上前からあるんだな。
相手の言うことを耳に入れず
ひたすら「自分の言いたいことをいいつのる」人を
著者は『小児病』と定義する。
途中で意見がコロコロ変わっても各瞬間ではつねに勝利者。
全くの自己矛盾に陥っていることに気づかないのか、
気づいていないフリをしているだけなのか。
このタイプの厄介なところは
「本人がそのつもりでない」という点にある。
極端な言い方をすれば「妥協したくない」から
妥協しないのではなくて、
そもそも「妥協」ということを知らない。
子供の感情は現在が中心でありすべてだ。
感情を論理で抑えることはできないし、
また、人間誰しも感情を持たない人はいないので、
意見に感情が反映するのはむしろ自然ともいえる。
しかし各自が自分の感情を大切にすることはよいとしても、
それが他人の感情を無視する「わがまま」にまで
膨れ上がるのは決して好ましいことではない。
最近の「ありのまま」ブームに
一石を投じてくれたかのように(勝手に)感じた。
相手が『何にこだわっているか』がわかると、
コミュニケーションはスムーズに進むんだ。 -
40年前から60刷も重ねている本だった。「クレタ人の嘘つき」系のパラドックスとか論理パズルとかを楽しみながら、詭弁や強弁好きな、面倒な人たち対処していこうという趣旨。現代のロジカル・シンキング全盛期には、どこかで見聞きする例題が多く、読み飛ばした箇所も多い。個々の例題の解き方や論理の基本の説明なんかより、なぜ詭弁家がいるのか?なぜ論理が必要なのか?等という、本質の言及が(字数は少ないながら)心の琴線に響く。これがロングセラーの理由だと思う。
-
偶然にも同じ著者の本を全く違う棚から探し出して買っていた。タイトルが魅力的だったのだろう。でも中身はそんなに面白くない。最初の方は当たり前すぎて、後ろの方は難しいのとどっちでもいいよというのが多かった。印象に残っているのは、ブザーの仕組み。電流が流れるとスイッチが電磁石に吸い付けられて上がる。そうすると電流が切れてスイッチが下がる。これが「パラドックス」を実用したものだと言われると、面白い。
-
おもしろい。けれど、(とくに後半は)難しい。きちんとひとつひとつ理解しようとしながら読むと、脳みそがオーバーヒートしそうになる。詭弁やパラドックスというと、「アキレスと亀」のように、「どう考えても普通に聴けばそのおかしさに気づくはず」と考えがちだが、じつは日常的な話し合いの中でも人は無意識のうちに詭弁や強弁を使っていて、相手を翻弄したりされたりしていることが多々あるのだなということに気づかされたりする。また、著者は数学のセンセイなので、xやyを使った数式が頻繁に出てくる点が要注意。
-
いかに自分が強弁・詭弁を使っていたかが理解できるし、いかに社会に強弁・詭弁がまかり通っているかわかる。少しむずかしい記述もあるが、言っていることは論理を追えば理解できる。
構成は非常に論理的。まずは強弁をいくつかの型に分けて説明する。言いたいことだけ言い続ける小児型、社会のほとんどは中間にあるにもかかわらず100か0かで判断する二分法、細かいことを指摘してアラ探しをする相殺法などである。
詭弁はさらにたちが悪い気がする。強弁がシンプルな犯罪だとするならば、詭弁はペテンやそそのかしのようなものだからだ。絶対的や相対的など、賢そうに聞こえるが実は意味する内容がほとんどない単語に注意せよという指摘は、非常に役立つ。私は今海外の大学院にいるが、アカデミズムにはこの傾向が特に強い。賢い研究者の論文はやはり読みやすく簡単なことが多いのだ。それはいかにそれ意外の論文に詭弁が用いられているかを示しているかということだ。こうした論文だけは書くまいと反面教師にしてきた私にとっては背中を押された気分になったし、気持ちがさらに引き締まる。使いたい気持ちもわかるからだ。
結局、本書で一番大切なメッセージは、実体を見つめよということであるように思う。不要な形容詞、副詞に眼を取られずに、枝葉に眼を取られずに、本当に大切な意味されている部分を読み取ることが情報へのリテラシーとして重要だということだろうと思う。これは、全ての行動原理にも繋がる。意味のない行動を省略していくだけで、生産性が上がると思われる。アウトプットを増やすより、無駄なアウトプットを削除して必要なものの質を上げることが重要なのだ。
この本を読んで、頭をつかって考えるようになった。様々な言説を目にした時、これは本当に正しいと言えるのだろうかと論理的に、批判的に眺める力がついたと思う。収穫の大きい本だった。 -
詭弁・強弁という言葉をキーワードにして、論理学の初歩についていろいろと教えてくれている。
細かく分けて、詳しく説明しているし、ところどころで頭の体操的な論理クイズや、具体例を示しているので、どうにかこうにか最後まで楽しくついていくことができた。
……が、理解できているかどうかは別問題です。 -
高校生の頃に父の書斎から拝借して読みました。すごく面白かった!
-
詭弁という切り口で、論理学の簡単なところを説明してくれる。面白くてわかりやすい。
-
新書ものは、やはり内容が専門的だ
今回の強弁、詭弁…と言われる言葉の使い方
コミュニケーションが必要な世の中において、クレイムなどの対応を考えるときに必要な知識だと思う。
なんとか、足掛け2年かかって、ようやく読了! -
著者:野崎昭弘(1936ー)
【感想】
小学三、四年生頃から繰り返し読んできたので、この本に書かれている考え方が私には当たり前に思えてしまい、感想の書き方がわからない。
【簡易目次】
Ⅰ 議論の種々相 001
Ⅱ 強弁術 017
強弁術の誕生
小児型強弁
二分法
相殺法
強弁術の総括
Ⅲ 詭弁術 057
詭弁術の誕生
強弁との境
あてにならない話
論点のすりかえ
主張の言いかえ
消去法
ドミノ理論
詭弁術の総括
Ⅳ 論理のあそび 125
やさしいパズル
説得ということ
上級パズル
四十人の貴族とその従者
理髪師のパラドックス
自己矛盾を利用したパラドックス
死刑囚のパラドックス
【目次】
はしがき(一九七六年九月二十五日 野崎昭弘) [iーii]
目次 [iiiーvii]
Ⅰ 議論の種々相………………001
議論べたの悩み 無理押しの強み 詭弁と強弁 論理のあそび
Ⅱ 強弁術………………017
2.1 強弁術の誕生 018
権力と強弁 伝説の効用 泣く子と強弁 買物 論争
2.2 小児型強弁 026
小児病 やむをえぬ押し 小児病の原因 無神経時代
2.3 二分法 032
二分法とは 魔女狩りの背景 魔女狩りの実態 現代の魔女狩り 二分法への反撃 ルターの場合
2.4 相殺法 044
相殺法とは 公平の原則 強弁補強術 ささやかな抵抗
2.5 強弁術の総括 052
強弁と常識 強弁と人柄
Ⅲ 詭弁術………………057
3.1 詭弁術の誕生 058
科学と詭弁 すべてが幻 詭弁と実利 東洋の詭弁 日本の詭弁
3.2 強弁との境 064
二分法 相殺法 目には目を!
3.3 あてにならない話 069
うがった見方 悪魔にもわからない 深遠な言葉 深遠な冗談
3.4 論点のすりかえ 074
議論のはずみ 上手にはグラかス 感情に訴える
3.5 主張の言いかえ 079
正しい言いかえ 逆は必ずしも真ならず 部分より全体におよぼす誤り 全体より部分におよぼす誤り 三段論法 否定二前提の虚偽 不当肯定の虚偽 特称二前提の虚偽 媒概念曖昧の虚偽 四個概念の虚偽 包むということ 三段論法のパズル 三段論法の複合形 両刀論法
3.6 消去法 104
犯人さがし パズルへの応用 消去法の失敗 失敗の逆用 派閥の消去法 選言的三段論法
3.7 ドミノ理論 113
将棋だおし 身近な実例
3.8 詭弁術の総括 116
健全な常識 言葉の意味 数字にダマされるな 数字をバカにするな 正しい議論のための原則
Ⅳ 論理のあそび………………125
4.1 やさしいパズル 126
初級問題解答 中級問題解答 ニューヨークでの実話
4.2 説得ということ 133
聞く耳もたぬ ホンネと建前? つまずきの石 相手に話させる
4.3 上級パズル 137
ケネディの問題 スターリン登場
4.4 四十人の貴族とその従者 143
問題 早トチリ型 貴族の推理 議論が始まる 説得をめざして 最後のツメ
4.5 理髪師のパラドックス 154
どこが矛盾か 矛盾ということ 共和党論争 キャロルのトリック
4.6 自己矛盾を利用したパラドックス 164
文の正しさ 自分自身に言及する文 論理方程式 人食いワニのパラドックス
4.7 死刑囚のパラドックス 177
問題 問題のヴァリエーション 天文学博士の解答 パラドックスの発生 さまざまの見解 サルタンの馬 私の解答 おわりに
〈付録〉鏡をめぐっての会話 [196ー205]
解答 [206ー207]
参考文献 [208] -
論理学の本として初めて手に取った。数学パズルのような問題も多く、内容は理解しやすかった。詭弁とは何なのかといったことから論理的に話をするためにはどうするのかということが記されている。論理学の入門書にはちょうど良かった。
-
数学者が薦める本として挙げられているのをみて興味。
-
1990年、学生時代に買ったものを再読。タイトルだけ見ると難しそうだけれど、実際は読みやすいエッセイと言っていい。詭弁を弄して人を言い負かすための教科書というよりむしろ、弁が立たないタイプの凡人が、詭弁強弁を弄する能弁な人のやりくちを分析して対応したり自分を慰めたりするための参考書という趣。
-
思索
-
105円購入2011-12-07
-
2017/11/04 8:29:15
-
次はストーンブレーン氏の本を読もうかな?
-
詭弁、強弁について明快に解説されていておもしろかった。強弁に遭遇すると、すぐに何訳のわからないことを言っているんだと気づくが、詭弁を見抜くのは難しいと感じた。
政治家などが話す内容も、よくよく吟味するとおかしいよねってことは多いのかもしれない。
また後半の論理パズルは楽しかった。実際に頭をひねりながらだったので、読み進むのに時間はかかったけれど、少しだけ頭が良くなったような気がする。 -
強弁詭弁をついうっかりふるってしまわないために。強弁詭弁にやられてしまわないために。と思ったけど…この内容、実践するのは難しい…。まずは論理のあそびを熱心に楽しむとこから…だなぁ。興味深いふむふむ本でした。とりあえずとっかかりとして勉強になった。更に深く論理あそびの世界に潜れると…いいなぁ。
-
議論下手さんが相手の戦術を分析し、議論を楽しむゆとりを持てるようにとの導入にまず共感。
強弁術・詭弁術の手法を紹介し、対策・チェックポイントを提示。
正しい議論のための原則
1)無理やり説得しようとするな
2)時間を惜しむな・打ち切るのを惜しむな
3)結論の吟味を忘れるな
4)「わからない」ことを恥じるな
この4番は自分なんとなく流れでスルーしがち。
分かったところまで戻ってもらうたくましさ、は身につけていきたい。 -
「あのう、お宅のピアノのことなんですが、夜分はやめていただけません?うちは子供が小さいものですから……」
「あーら、お宅のお子さんのうるさいの、知らないの?それにお宅でトイレ流す音だって、すごいのよ。どうお、お宅で、トイレやめてくれる?」
***
「小児病」の特徴をまとめていたら、父のことが思い浮かんできて二ヤリとしてしまった。
前半で「強弁」と「詭弁」について、典型的な例を用いつつ解説している。後半では論理学の知識・考え方を用いて、「詭弁」や「パズル」の解明を試みている。良い頭の体操になると思う。個人的には「典型的な例」を知るだけでも、「あ、自分は今、この人に丸めこまれているのかも」ということに、以前よりも考えが及びやすくなった。酔った父と話しているときは特に…(笑)
以下は「典型的な例」のメモ
***
【強弁】
・小児病(言いたいことをひたすら言い募る)
原因
①自分の意見がまちがっているかもしれないなどと、考えたことがない。
②他人の気持ちがわからない。
③他人への迷惑を考えない。
④世間の常識など眼中にない。
⑤自分が前にいったことさえ忘れてしまう。
原因の原因
A.自信が強すぎる。
B.好き嫌いの感情が強すぎる。
C.他人に対してきわめて無神経である。
【詭弁】
・二分法(人々や考え方などを、ある原理的な基準でふたつに分けてしまう考え方)
Ex. 一度でも悪いことをした人間をすべて抹殺するロボット、魔女狩り
・相殺法(相手の言い分を強引に帳消しにする)
Ex.冒頭に挙げた会話例(46頁) -
題名は難しそうな本だと思わせるかもしれないが、案外そうではない。
本より引用―
『知的な観察によって、人を悩ます強弁・詭弁の正体を見やぶろう。言い負かし術には強くならなくとも、そこから議論を楽しむ「ゆとり」が生まれる。…』
頭の体操にいい本。
本の最後に「鏡と左右」の問題が出てくる。
鏡で見ると、左右は逆になるのに、上下は逆にならない。なぜだろうか。 -
ひもじいので積読解消。ほのかにユーモア漂うが、論理部分が主なのか、詭弁なのか?と思っているうちに終わってしまう感じ。論理学は同じく中公の入門論理学で読んでおり、そちらのほうが良かったかなあ。しかし37年前なのか…
-
小児型強弁の行はなかなか面白かった。まるで最近ネットでよく見かける“ネトウヨ”と呼ばれる人たちの出現を予想していたかのような当てはまりっぷり,その実は昔からそういう人はいたモノの別個には見ても人の目にはなかなか触れなかったものが,ネットにより容易に目につくようになったということなのだろう……
詭弁と描いてあるが,詭弁についてをとくに語っているわけではなく,論理というものをパズルやクイズを交えながら面白く書かれている。