逆説論理学 (中公新書 593)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121005939

感想・レビュー・書評

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  • 『詭弁論理学』(中公新書)の続編です。

    さまざまなパラドクスを紹介し、最後はカントールの集合論からゲーデルの不完全性定理に至るまでの流れをかいつまんで解説しています。

    ゼノンのパラドクスについても考察がおこなわれています。哲学者の野矢茂樹もおおむね著者と同様の観点からこの問題について考察していたのを読んだことがありましたが、本書では言葉の問題と論理の問題の双方にわたって著者自身の考えが示されており、興味深く読みました。

  • 矛盾、無限、パラドックスなどをキーに、論理学の普通だとちょっと気がつかないような話を突っ込む。
    面白くてなんども読み返しているが、読んでる途中でいつでもどうでも良くなってくるところはある。
    ただ、こういうことを考えて生活している人もいるんだというのが一番心に響くかも。

  • 90円購入2012-01-09

  •  古い本ですが類書に比べ良心的(どんな風にかはあえて伏せますが)な解説が魅力です。いかついタイトルに反して内容は数学のなかの「逆説」がテーマの易しいエッセイです。多少(中学ー高校)の数学知識は必要。
     本書にある例は、有名になってしまったパラドックスや逆説、パズルが多く食傷気味の方もいると思います。しかし、「こんなパラドックスがあるんですよ」で終わらずに、何が原因でどうそれを見ればいいのか・乗り越えられるものなのかを、読者とともにゆっくり(たまに脱線したり振り返ったりしながら)取り組むという本の構成になっています。
     また、エッセイ的な書き方と数学的証明の固い表現の振れは、上記の目的のため意図的な工夫ですから批判するのはやや的外れかもしれません(一般論でなく、個人的感想として「わかりにくい」とするのは当然ありです)。※私も読み直して気づいたので偉そうに言えないんですけどね。、

     難点としては、論理記号を使用せずにいる部分が大人の読者にはかえってわかりにくくなっている点。
     もともと論理学に興味をある場合には、野矢茂樹の一般向けの本がおすすめ。本書は読んで楽しむ本です。

  • ミッション・スクールという言葉がいかに羨望、憧憬を感じさせてきたか。漱石「三四郎」の美禰子、藤村「桜の実の熟する時」の勝子、蘆花「黒い眼と茶色の目」の寿代、花袋「蒲団」の芳子、そして戦後では石坂洋次郎「若い人」の江波恵子などがその系譜になります。美禰子のモデルが後の平塚雷鳥で、実は禅宗に傾倒していったとのこと。キリスト教的な雰囲気を出すことによって田舎から出てきた明治期青年の「西洋」「リベラル・アーツ」に対する憧憬を象徴したということは納得がいきます。それは「蒲団」においてもそうだとのこと。しかし、明治中期の内村たちへのキリスト教への迫害がミッション・スクールにとっての逆境の時代でもあったとのことは初めて知りました。制服を着た「ファム・ファタル」という言葉も初めて知りました。運命の女(フランス語)の意味だそうで、男をその性的魅力で惹きつけ、破滅させるような女とは確かにこれらの小説の女性たちのイメージです。そして戦後の双葉・聖心女子大出身の美智子妃のミッチー・ブーム、田園調布双葉出身の雅子妃らの皇室へ嫁ぐという「やんごとなき」イメージへ。雅子妃の時にはそんなにブームにならなかったのが、あまりにも優秀で完璧な女性過ぎたということが、皮肉でありながら、確かにそうだと思わざるを得ないのも、あの小説のヒロインたちを覚えているからでしょう。京都女子大を舞台にした「女の園」の暗さを引き合いに出しているのには笑えました。女子中・高ばかりを書いているわけではないのですが、文学の世界などに書き及ぶ中では著者自身も女の子に偏らざるを得なかったように思います。

  • 読了日不明。あまりに有名なタイムマシンのパラドックスや〈アキレスと亀〉以下、古今東西の様々な逆説が取り上げられている。もちろん、逆説を語る上で欠かせない自己言及についても言及され、カントール・ラッセル・ヒルベルト・ゲーデルという無限論や公理系の無矛盾性云々でお馴染みの面々も顔を出す。個人的に面白いと思ったのはルイス・キャロルの超越的確率論と「世界最小の電子頭脳」ミニアックの項。単純な"誤り"に還元されない逆説の奥深さを堪能できる。

  •  わかりやすく説明しようとして却ってわかりづらくなっている好例。独り善がりな例文、中途半端にエッセイ風の表現にしてみたり、かと思えば急に数学の証明風になったりして落ち着かない。せめてエッセイと数学の証明が節で分かれていればよいが、同じ節に何の前触れもなく混ざっているからたちが悪い。この時代の著作は概ねこんな感じであるが特にひどい。それでも「VI逆説論理学」の章はまともなので、もし読むのであればそこだけでよい。

  • 『詭弁論理学』よりは多少突っ込んだ内容。面白かったです。

  • 調べもののついでに再読.最初に読んだのは多分高校生のときだから,とんでもなく昔である.この本を読んで大学では数理論理学を勉強しようかと思った記憶がある.今,読みかえしても,話題がうまく選ばれていて,十分楽しめる.

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著者プロフィール

野崎昭弘

一九三六年(昭和一一年)、神奈川県生まれ。五九年、東京大学理学部数学科卒業。六一年、東京大学大学院修士課程修了。東京大学助手、山梨大学教授(計算機械学科)、国際基督教大学教授(理学科)、大妻女子大学教授(社会情報学部)、サイバー大学IT総合学部教授を歴任。現在,大妻女子大学名誉教授。専攻、情報数学。著書に『電子計算機と数学』(ダイヤモンド社)、『πの話』(岩波書店)、『とらんぷ』(ダイヤモンド社)、『計算数学セミナー』(日本評論社)、『詭弁論理学』『逆接論理学』(中公新書)、『計算機数学』(共立出版)、『数学的センス』(日本評論社)、『トランプひとり遊び』(朝日新聞社)、『はじまりの数学』(ちくまプリマー新書)ほか。

「2021年 『まるさんかく論理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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