- Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121005960
感想・レビュー・書評
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茶の世界史のはずが、まるで世界史の本を読んでいるようだった。
それだけ、茶のバックグラウンドは世界情勢と強く結びついているともいえる。
1900年代初期にはアメリカに多くの緑茶が輸出されていたのは驚きだった。
ただし、アメリカ人は緑茶に砂糖やミルクを入れて飲んでいた。
その後、彼らの嗜好には合わなかったようでだんだんと輸出量は減っていく。
茶の輸出をするための戦略もいまいちで、他の産地の茶に市場を奪われていく。
知らなかったことがたくさん知れて、良かった。
ただし、出版されたのが1980年と古いので、現在のというのは当時の(1980年の)ことなのでそこは注意しないといけない。
また、ナウという非常に懐かしい表現が出てくる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今日のヨーロッパ、特にイギリスの発達した紅茶文化は、エレガントな雰囲気で私たちを魅了しています。しかし、その発端は近代において、ヨーロッパの人びとが日本をはじめとした東洋の茶の湯文化への憧れを抱いたことでした。
資本主義による世界市場が作り出された近代において、お茶の文化がどのようにヨーロッパに持ち込まれ,紅茶文化として醸成されたかを、当時の宣伝ポスターや統計といった資料から紐解いた名著です。
教育学部の学部生の時、中学校社会の歴史の指導案を作るために読んだ本です。近代におけるヨーロッパのアジア進出に関する出来事がよく登場するので、テーマ性のある指導案を作るときにもとても参考になりました.
改訂版もありますので、そちらもどうぞ!
【中央2F:文庫・新書コーナー 081//C64//596】
【OPAC:https://opac.lib.niigata-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN00343578】
(改訂版)【OPAC:https://opac.lib.niigata-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB24917021】 -
読了。
茶の世界史 / 角山栄
1980年発刊のようでして、現在は改訂版が出てるんですね。
お茶にまつわるエトセトラ
世界のお茶の流行と商品の流れ
と
日本茶の境遇と末路
二本立てですね。
今では安心の日本産っていうイメージあるんですけど、当時は日本産は信頼がなかったようですね。江戸から明治になって一気に世界にもまれ内々ではなんとかなったものが外にでると最悪の結末になったり。
中国の独占からいかにしてインド紅茶が世界に広がっていったかはなかなかおもしろい。
今では抹茶ブームもありましょうが、紅茶ではない日本茶は文化で売るしかなさそうですねぇ
とてもおもしろかったです。
良本。 -
今世界中で飲まれている紅茶、そして日本で飲まれている緑茶。
古来からの文化と思われがちなこの文化、実は近代化による飲料文化の派遣争いがもたらした結果であった、ってことをすごく面白く、そしてしっかりと数字資料を交えて教えてくれる本でした。
セイロン・アッサム茶って中国の茶文化と東インド会社がなければ存在しなかったんだな、とか、そもそも日本の茶の湯がヨーロッパに紹介されたのが茶文化の始まりなんだな、とか、アメリカでは昔紅茶じゃなくて緑茶を飲んでいた、とか、驚くことばかりです。すげえなあ東インド会社。 -
1980年刊行の本。
非常に面白かった。東洋の神秘の一つとして西洋に受け入れられたお茶が、いかに西洋において市民権を得たのか。経済活動の拡大に伴い文化財から重要な消費財に価値転換されるお茶。かつて憧憬の対象だった日本茶を阻む政界経済の壁と「世界のお茶文化」。
数百年の流れがよどみなく分かりやすく解説されてお茶好きの好奇心をくすぐる良書でした。 -
日本紅茶協会からいただいた本です。
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↓貸出状況確認はこちら↓
https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00140984 -
タイトル通り、お茶の世界史だが、それは日本の江戸時代末期〜明治、そして近代にかけて。
茶の発祥でインドで紅茶生産が始まるまではほぼ独占市場だった中国では清末以降。
そしてヨーロッパアメリカも深く関わって(戦争まで勃発して)いるので
お茶抜きで世界史は語れない。
自分の方でも大体の流れは押さえているので、
復習も込めて。
日本のお茶事情も書いてあって、面白かったが、最後の方は
日本の事情が多くページが割かれているので
ちょっとペースダウンしてしまった。 -
取り組んでいる翻訳書の肥やしのために読んだ本。
紅茶と帝国主義がものの見事に結びついて、とても興味深かった。 -
茶がどのようにして中国・日本から世界中、特に欧米へ普及したのか、16世紀の茶の湯まで遡りその様子を植民地主義の拡大と絡めて解説してくれる興味深い本。
幕末の開国からの日本茶の輸出についても言及されている。