理科系の作文技術 (中公新書 624)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 5553
感想 : 435
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121006240

感想・レビュー・書評

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  • 僕がこれまでに読んだ全ての啓発本の中で最も偉大な本の一つです。
    理科系の仕事(あるいは研究)に就く全ての社会人及び学生が必ず読んでおくべき本です。マジで必読です。
    何なら僕は15年前にこの本に出会っておきたかった。
     
    読者は、終始この本から、「あなたが書いた下手な文章が相手の時間を乱暴に奪い続けてるんだけど、気づいてる?」と問いかけられます。
    この問いに対して自信を持って「オレの文章はそんなことないぜ!」と答えられるようになるためにまず必要なのは、「読者の身になって自分の書いたものを何度も何度も見直す心掛け」だそうです。
     
    日本では、非常に多くの企業が、労働時間の削減だとか、生産性の向上だとかを目標に掲げてことごとく失敗していますよね。僕が勤めている会社もそうです。
    でも、業務文書の書き手がへたくそなせいで、読み手が内容を理解するのに余計な時間を費やしたり、勘違いが発生してそれを解消するのに時間がかかったりしているんだから、書き手の作文技術を改善しようよ、という視点で問題に取り組んでいる企業ってどれぐらいあるのかな?と思ったりします。
    実は理科系の仕事って、文章を書いたり読んだりする機会ってとても多いんですよね。
    自分が、ある一日に会社でどんな作業をしていたかを細かく分析すると、メールの返信やら仕様書の推敲やら、とにかく作文作業に割いた時間が意外と多いと気づきます。そしてそれらの文章は常に複数の他人に読んでもらうことを目的としています。当然自分が読み手側になることだって多々あるし。
    だからこそ、書き手である自分は、冒頭で書いた「心掛け」が必要なんだと強く叱咤された気分で(あるいは怒られたような気分で)この本を読みました。
     
    では、書き手が、具体的にどのようなことに気をつければ、作文技術が改善するのか。この本に学んだことの一部を紹介します。
    (1)事実と意見を明確に区別して書く
    (2)できるだけ短い文章で文を構成する
    (3)いつでも「その文の中では何が主語か」を意識して書く
    (4)まぎれのない文を書く、読者が理解できるように書くだけでなく誤解できないように書く
    (5)ぼかした言い方を避ける、「ほぼ」「ぐらい」「らしい」などのぼかし言葉は本当に必要か吟味して書く
    (6)なくてもすむ言葉は、一つも書かない
    (7)できるだけ、受身(受動態)でなく、能動態の文を書く
     
    この他、筆者はこの本の中で、子どもに言語技術教育をしっかりとおこなう欧米に対し、日本はこれを軽んじていることについても危惧されていました。
    例えば、上記の、(1)事実と意見を明確に区別する、について、アメリカの小学五年生の国語の教科書には以下のような問題が出題されているそうです。
    こういった教育を僕は受けた記憶が無いので驚きでした。
     [問題]
    以下の(a)と(b)の文のどちらが事実の記述か?もう一つの文に述べてあるのはどんな意見か?意見と事実はどう違うか?
    (a)ジョージ・ワシントンは、米国の最も偉大な大統領であった
    (b)ジョージ・ワシントンは、米国の初代の大統領であった
     
    皆さんも、ぜひ読んでみて下さい。本当におすすめの本です。

    • ikezawaさん
      この感想の「熱量」凄い。
      読みたくなった!
      この感想の「熱量」凄い。
      読みたくなった!
      2018/05/31
    • Kayさん
      ikedazuさん
      コメントありがとうございます。
      ぜひ読まれてみてください!
      ikedazuさん
      コメントありがとうございます。
      ぜひ読まれてみてください!
      2018/06/01
  • ブクログ仲間さんのレビューを拝見して読んでみました。

    文章を書くことを指導するための文章を書く、というのは想像するだけで難しそうなのに、著者の筋道立った筆の運びはとても整っており、見習わねばならぬことばかりでした。
    指導の内容を本文の中でしっかりと実践されていて、著者のきめこまやかな配慮とライティングに対する静かな情熱が感じられます。
    全体の構成、段落や文の作り方、記号や単位の使い方まで、明解かつ簡潔に論文を書くための基本を学ぶことができました。

    最近はイラストや大きな文字で論文やレポートの書き方を解説している本も増えていますが、学生さんにはぜひ本書も薦めたいと思います。

  • 出版からおよそ40年のロングセラー。

    未だに論理的文章の書き方本として本書の名前が挙がる。

    見どころは1~8まで続くパラグラフライティングの作法だろう。
    例文が理科系でなおかつアカデミックな文章なため、文系には分かりにくいというきらいがある(よって著者はもう一冊書いた)。

    必要な規則は一通り紹介されているし、著者の語り口も機知に富んで分かりやすい。

    ただ、40年の間に古びている感は否めない。

    この本が未だに珍重される所以は、日本が論理的に物事を伝える指導をおざなりにしてきた結果なのだろうとため息がこぼれた。

    日本語は論理とは馴染まない言語だ、という下らない言説がなくならないように。

    論理的にきちんと言いたいことを伝えることが当たり前な世の中になれば、本書の意義は薄れるけれども、著者の願いはきっと叶うのでしょうね。

  • これほどの良書が、わずか700円でいいのか?実に学びの多い1冊である。だから読書はやめられない。まず私は理系ではない。仕事の関係上、文章の添削、作成を行うため、少しでも参考になればと読み始めたが、まいりました。もうすっかり木下是雄先生のファンになってしまった。無駄のない文章に、時折顔を見せるユーモアがたまらない。本書は理系の作文に限らず、仕事で文章を書くすべての人の役に立つであろう。私はいつも気になるページに付箋を貼るのだが、読了後、大量に貼られた付箋に自分でも驚いた。本自体は244ページと薄いが、中身は十分すぎるほど濃い。

  • 新卒で内定をもらったときに、読むようにいわれてであった本。スキルがなくて、うまく伝えることができずに、苦しみもだえていたころから、ずっとそばにある本。

  • 仕事でものを書くときは、
    ①読者に伝えるべき内容が事実・意見・判断・予測に限られていて、心情的要素・感想を含まない
    ②必要なことは盛れなく記述し、必要でないことは一つも書かない
    ③事実と意見との区分を明確にする
    ④文章全体が論理的な構造で、読者がまっさきに何を知りたがるか配慮し、その順番になっているか
    ⑤一文が一義的に読めるか
    ⑥すっぱりと言い切っているか
    ⑦平易な文章か
    を注意する。

    まずは主題を徹底的に固めること。一文章一主題にすると分かりやすい。自分で主題が選べる場合には、なるべく自分が体験したことを書くとオリジナリティが増す。また、初心者は目標規定文(主題に対してあることを主張する意思を端的に明示した文)簡単に言えば、書く前に結論を出す。
    それが「どんなものか」を記述するときには、まずそれに似たものを探し、似たものとそれはどこが違うか述べる

    序論の書き方
    a,本題の主題となる問題は何か
    b,その問題をなぜ、どんな動機によって取り上げたか
    c,その問題が何故重要か
    d,問題の背景はどんなものか
    e,どういう手段によってその問題を責めようとするのか

    結び(割と簡潔に)
    a,本論の主なポイントを簡明に列挙する
    b,それらの重要性を強調し、将来の発展の道を示す

    本論
    a,マクロからミクロの説明
    b,ミクロ部分の記述は、一定の分類に沿い、沿った順序を後戻って説明しないこと

    パラグラフ
    パラグラフには、何を言おうとするのかを述べた概論の文(トピックセンテンス)があり、これと関係のない分や、トピックセンテンスに反する文を、同じパラグラフ内に書き込んではいけない。
    また、トピックセンテンスはパラグラフの忠実な要約になっている。また、一つの文からなるパラグラフを書くことは、移り代わりの文を書くとき以外は書くべきではない。

    読みやすくするために
    ・一つの文の中には2つ以上の長い前置修飾節は置かない
    ・修飾節の中の言葉には修飾節をつけない
    ・文や節は、なるべく前のつながりを浮き立たせるような言葉で書き始める
    枝の重なりがやっと幹になるような書き方ではなく、幹を最初に持ってくる

    事実と意見を明確に判断し、区別すること。また、事実の記述に関しては、
    a,その事実に関してその文書の中で書く必要があるのは何か、を吟味すること
    b,ぼかした表現に逃げずに明確に描くこと
    c,事実を記述する文は名詞と動詞で書き、主語に依存する修飾語を混入させないこと

    【わかりやすく簡潔な表現】
    ※※※ 文は短く、頭から読み下しても意味が通るように書く ※※※

    a,書きたいことを一つ一つ短い文にまとめる
    b,それらを論理的にきちんと並べていく
    c,いつでも「その文の中では何が主語か」をはっきり意識する
    d,字面を白く。(普通→ふつう、我々→われわれ、良く→よく、色々→いろいろ、例えば→たとえば、分かる→わかる)
    e,受動態で書くな、能動態で書けば自然と短い文になる。

  • 大学生なら必ず一度は勧められるであろう、作文技術の名著。
    本書が教えるのは、画期的な文章術というよりは、作文のごく基本的な心得のようなものだ。
    この本を読んでいて感じるのは、著者の木下是雄先生がめちゃくちゃすごい人だということ。本の中で教える心得を、徹底的に実践しているのがひしひしと伝わってくる。
    本書で理想とされる、簡潔・明快で、誤解の余地を与えず、読みやすい文。流れがすっと頭に入ってくる章立て。本書それ自体が、こうしたことの最大のお手本になっている。そこがこの本のすごいところだと思う。
    作文技術を教える本を書くという行為には、自分が書いたことを完璧に実践してみせることが求められる。ここに生まれる緊張感と、それをやってのける手腕の見事さ。こうしたものを本書を読むことで感じることができる。実用書としてすぐれているだけでなく、魅力的な読書経験を与えてくれる本。

  • 「理科系」とあるだけあって例文が理科系のものが多く、読むのに疲れたが、理科系に限らず一般的な文章論として通用する本だと感じた。

    印象に残ったのは「逆茂木型」文章を極力書かないようにというところ。
    日本語は欧米語と違い修飾語が被修飾語の前に来るため、修飾語が長くなると分かりづらくなるので注意する必要があるといった意味合いのようであった。

    あと月並みであるが「事実」と「意見」を明確に区別するというところも改めて認識させれたれた部分であった。

  • 日本語の文章でよく見られる「であろう」や「といってもよいかと思われる」は英訳されないそうです。そもそも、事実と自己の見解を明確に示すべき理科系の文章に、そのような曖昧な表現は必要ありません。ただし、特許の明細書では少し勝手が違うようです。

    少しでも広い権利範囲を獲得すべく、構成要素の表現などにおいて機能的に記載されることがあります。また、「本実施例では…を用いたが、…でもよい」などの記載をよく見かけます。後者の記載はいいとして、問題は前者の記載です。広く権利を取りたい気持ちはわかりますが、その機能を有する構成要素をすべてカバーして何の意味があるのでしょうか。また、その機能を有する物が現実として使用される場合、数種類に限られるのではないでしょうか。機能的記載は、不明確として拒絶されるのが関の山です。

    機能的記載は対象製品が明確でない特許によく見られます。企業人なら、製品と結びつけて(売り上げに貢献)なんぼです。知財人として、常に製品と結びついた明細書の作成に臨みたいと思います。

  • 論文で伝わるように書く日本語とは、どのようなものであるべきか、
    そういったことをまとめている本。
    理系論文に求められることは、小説などに求められることとも
    違うので、どういった書き方をするのがいいか、を根拠を持って
    勉強できる点がいい。
    日本語で理系文章を書くときには必須の視点である。

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著者プロフィール

一九一七年(大正六)、東京に生まれる。四一年、東京大学理学部物理学科卒業。名古屋大学助教授、学習院大学教授をへて、八一年から同学長。学習院大学名誉教授。専攻、物理学。応用物理学会会長、国際光学委員会副会長、言語技術研究会座長などを歴任。著書に『物理の散歩道』(ロゲルギスト名による共著、岩波書店)、『新物理の散歩道』(同共著、中央公論社)、『理科系の作文技術』(中公新書)、『物質の世界』(培風館)、『物理・山・ことば』(新樹社)、『レポートの組み立て方』(ちくま文庫)などがある。

「2018年 『まんがでわかる 理科系の作文技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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