理科系の作文技術 (中公新書 (624))

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 4538
レビュー : 382
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121006240

感想・レビュー・書評

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  • 僕がこれまでに読んだ全ての啓発本の中で最も偉大な本の一つです。
    理科系の仕事(あるいは研究)に就く全ての社会人及び学生が必ず読んでおくべき本です。マジで必読です。
    何なら僕は15年前にこの本に出会っておきたかった。
     
    読者は、終始この本から、「あなたが書いた下手な文章が相手の時間を乱暴に奪い続けてるんだけど、気づいてる?」と問いかけられます。
    この問いに対して自信を持って「オレの文章はそんなことないぜ!」と答えられるようになるためにまず必要なのは、「読者の身になって自分の書いたものを何度も何度も見直す心掛け」だそうです。
     
    日本では、非常に多くの企業が、労働時間の削減だとか、生産性の向上だとかを目標に掲げてことごとく失敗していますよね。僕が勤めている会社もそうです。
    でも、業務文書の書き手がへたくそなせいで、読み手が内容を理解するのに余計な時間を費やしたり、勘違いが発生してそれを解消するのに時間がかかったりしているんだから、書き手の作文技術を改善しようよ、という視点で問題に取り組んでいる企業ってどれぐらいあるのかな?と思ったりします。
    実は理科系の仕事って、文章を書いたり読んだりする機会ってとても多いんですよね。
    自分が、ある一日に会社でどんな作業をしていたかを細かく分析すると、メールの返信やら仕様書の推敲やら、とにかく作文作業に割いた時間が意外と多いと気づきます。そしてそれらの文章は常に複数の他人に読んでもらうことを目的としています。当然自分が読み手側になることだって多々あるし。
    だからこそ、書き手である自分は、冒頭で書いた「心掛け」が必要なんだと強く叱咤された気分で(あるいは怒られたような気分で)この本を読みました。
     
    では、書き手が、具体的にどのようなことに気をつければ、作文技術が改善するのか。この本に学んだことの一部を紹介します。
    (1)事実と意見を明確に区別して書く
    (2)できるだけ短い文章で文を構成する
    (3)いつでも「その文の中では何が主語か」を意識して書く
    (4)まぎれのない文を書く、読者が理解できるように書くだけでなく誤解できないように書く
    (5)ぼかした言い方を避ける、「ほぼ」「ぐらい」「らしい」などのぼかし言葉は本当に必要か吟味して書く
    (6)なくてもすむ言葉は、一つも書かない
    (7)できるだけ、受身(受動態)でなく、能動態の文を書く
     
    この他、筆者はこの本の中で、子どもに言語技術教育をしっかりとおこなう欧米に対し、日本はこれを軽んじていることについても危惧されていました。
    例えば、上記の、(1)事実と意見を明確に区別する、について、アメリカの小学五年生の国語の教科書には以下のような問題が出題されているそうです。
    こういった教育を僕は受けた記憶が無いので驚きでした。
     [問題]
    以下の(a)と(b)の文のどちらが事実の記述か?もう一つの文に述べてあるのはどんな意見か?意見と事実はどう違うか?
    (a)ジョージ・ワシントンは、米国の最も偉大な大統領であった
    (b)ジョージ・ワシントンは、米国の初代の大統領であった
     
    皆さんも、ぜひ読んでみて下さい。本当におすすめの本です。

    • ikedazuさん
      この感想の「熱量」凄い。
      読みたくなった!
      この感想の「熱量」凄い。
      読みたくなった!
      2018/05/31
    • hamadatekiさん
      ikedazuさん
      コメントありがとうございます。
      ぜひ読まれてみてください!
      ikedazuさん
      コメントありがとうございます。
      ぜひ読まれてみてください!
      2018/06/01
  • ブクログ仲間さんのレビューを拝見して読んでみました。

    文章を書くことを指導するための文章を書く、というのは想像するだけで難しそうなのに、著者の筋道立った筆の運びはとても整っており、見習わねばならぬことばかりでした。
    指導の内容を本文の中でしっかりと実践されていて、著者のきめこまやかな配慮とライティングに対する静かな情熱が感じられます。
    全体の構成、段落や文の作り方、記号や単位の使い方まで、明解かつ簡潔に論文を書くための基本を学ぶことができました。

    最近はイラストや大きな文字で論文やレポートの書き方を解説している本も増えていますが、学生さんにはぜひ本書も薦めたいと思います。

  • これほどの良書が、わずか700円でいいのか?実に学びの多い1冊である。だから読書はやめられない。まず私は理系ではない。仕事の関係上、文章の添削、作成を行うため、少しでも参考になればと読み始めたが、まいりました。もうすっかり木下是雄先生のファンになってしまった。無駄のない文章に、時折顔を見せるユーモアがたまらない。本書は理系の作文に限らず、仕事で文章を書くすべての人の役に立つであろう。私はいつも気になるページに付箋を貼るのだが、読了後、大量に貼られた付箋に自分でも驚いた。本自体は244ページと薄いが、中身は十分すぎるほど濃い。

  • 大学生なら必ず一度は勧められるであろう、作文技術の名著。
    本書が教えるのは、画期的な文章術というよりは、作文のごく基本的な心得のようなものだ。
    この本を読んでいて感じるのは、著者の木下是雄先生がめちゃくちゃすごい人だということ。本の中で教える心得を、徹底的に実践しているのがひしひしと伝わってくる。
    本書で理想とされる、簡潔・明快で、誤解の余地を与えず、読みやすい文。流れがすっと頭に入ってくる章立て。本書それ自体が、こうしたことの最大のお手本になっている。そこがこの本のすごいところだと思う。
    作文技術を教える本を書くという行為には、自分が書いたことを完璧に実践してみせることが求められる。ここに生まれる緊張感と、それをやってのける手腕の見事さ。こうしたものを本書を読むことで感じることができる。実用書としてすぐれているだけでなく、魅力的な読書経験を与えてくれる本。

  • 「理科系」とあるだけあって例文が理科系のものが多く、読むのに疲れたが、理科系に限らず一般的な文章論として通用する本だと感じた。

    印象に残ったのは「逆茂木型」文章を極力書かないようにというところ。
    日本語は欧米語と違い修飾語が被修飾語の前に来るため、修飾語が長くなると分かりづらくなるので注意する必要があるといった意味合いのようであった。

    あと月並みであるが「事実」と「意見」を明確に区別するというところも改めて認識させれたれた部分であった。

  • 日本語の文章でよく見られる「であろう」や「といってもよいかと思われる」は英訳されないそうです。そもそも、事実と自己の見解を明確に示すべき理科系の文章に、そのような曖昧な表現は必要ありません。ただし、特許の明細書では少し勝手が違うようです。

    少しでも広い権利範囲を獲得すべく、構成要素の表現などにおいて機能的に記載されることがあります。また、「本実施例では…を用いたが、…でもよい」などの記載をよく見かけます。後者の記載はいいとして、問題は前者の記載です。広く権利を取りたい気持ちはわかりますが、その機能を有する構成要素をすべてカバーして何の意味があるのでしょうか。また、その機能を有する物が現実として使用される場合、数種類に限られるのではないでしょうか。機能的記載は、不明確として拒絶されるのが関の山です。

    機能的記載は対象製品が明確でない特許によく見られます。企業人なら、製品と結びつけて(売り上げに貢献)なんぼです。知財人として、常に製品と結びついた明細書の作成に臨みたいと思います。

  • 論文で伝わるように書く日本語とは、どのようなものであるべきか、
    そういったことをまとめている本。
    理系論文に求められることは、小説などに求められることとも
    違うので、どういった書き方をするのがいいか、を根拠を持って
    勉強できる点がいい。
    日本語で理系文章を書くときには必須の視点である。

  •  作文の「当たり前」を1つずつ丁寧に明文化した一冊。本書は「理科系」と銘打っているが、実際は――文系・理系を問わず――論理的な文章を書くために必要な技術がまとめられている。
     その内容を見ると、普段から文章を書いている者なら「当たり前」に行っていることも多い(例えば「事実と意見」の違いなど)。ただ、こうした「当たり前」な行動を言語化することは意外と難しい。そこで、自らの作文方法を振り返るために一読するのも良いだろう。自分では「当たり前」に出来ていたつもりでも、見落としていた部分が出てくるかも知れない。
     また、研究者として数多くの実績を持つ著者の経験知を感じられる章として「11.学会講演の要領」もオススメである。この章では、講演に向けた準備から実際の発表に至るまで、著者の具体的な経験によるアドバイスが満載である。学会でなくとも、大勢の人前で話す際に役立つ内容となっている。
     初版が1981年であるため、技術の進歩によって価値が減じた章もあるが、全体としては論理的な文章を書く際には手元に置いておきたい一冊である。

  • 大学生時代、論文を書くための推薦図書としてバーバラミント著「考える技術・書く技術」とともに読んだ。本棚を整理していて出てきたので再読。本書に書かれた内容は、論文の御作法に留まらず、学生だけではなく社会人にとっても普遍的に通用する大切なものだ。「目標規定文」を定め読み手に伝わるよう事実と意見を分け厳密に文章を推敲する、その結果シンプルで伝わる文が出来上がる。

    1981年初版で、IT技術の進歩で作文を取り巻く環境は随分様変わりしたけえれども、本書の内容はときの審判に十分耐えうる。「理科系の」と謳っているが、多寡問わず文章に携わる者すべてに極力人生の早い時期に読んでほしい本だ。

  • 今思えば、わかりやすい文章を書く訓練もなく、高専の時分から大量のレポートを書き続けてきたわけだが、それをクラス全員分読ませられることになっていた教諭が難儀していたのも当然だろう。
    本書の初版は1981年。これを種本にオリエンテーションでもやれば、お互いに随分と楽を出来ていただろうに。

    作文のために必要な要素として述べられるのは、文章の章立て・構成・流れなどの全体構造から、読みやすさへの数々の配慮、事実と意見の違い、書く前の準備など。本書ほど必要十分に網羅した良書はなかなか見当たらない。
    OHPやスライド、手書き・ワープロなどいささか古い部分もあるが、どれも現代の道具に読み替えることができる。

    否が応でも文章を書く機会が多い理系の社会人にとっては目新しい事実は発見できないかもしれないが、今一度文書の書き方を整理し、後進に体系立てて伝えるために現役で使える一冊だろう。

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著者プロフィール

一九一七年(大正六)、東京に生まれる。四一年、東京大学理学部物理学科卒業。名古屋大学助教授、学習院大学教授をへて、八一年から同学長。学習院大学名誉教授。専攻、物理学。応用物理学会会長、国際光学委員会副会長、言語技術研究会座長などを歴任。著書に『物理の散歩道』(ロゲルギスト名による共著、岩波書店)、『新物理の散歩道』(同共著、中央公論社)、『理科系の作文技術』(中公新書)、『物質の世界』(培風館)、『物理・山・ことば』(新樹社)、『レポートの組み立て方』(ちくま文庫)などがある。

「2018年 『まんがでわかる 理科系の作文技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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