胎児の世界―人類の生命記憶 (中公新書 (691))

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  • 中央公論新社
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本棚登録 : 638
レビュー : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121006912

感想・レビュー・書評

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  • 生命の記憶。
    個体発生では、進化の過程をたどる。逆戻りや、飛び越えなどはない。これが、生命の記憶をたどっているということ。生命の神秘なのではなく、予定されていること、決まりごとを素直にたどる。永劫回帰ということである。同じ道を通り、出生して死んで行く。

    全編を通して、音楽(とリズム)を感じる(他の書評でも同じことが書かれている)。卵に墨を注入する。生命の鼓動、内臓の波動では、生命の共鳴。

    左脳=ロゴス
    右脳=パトス
    交錯
    パトス 絵・音楽
    ロゴス 文字・ことば
    感覚運動器官

    19
    月の砂漠、椰子のみ、取り合わせが絶妙
    96
    ジョセフ・ニーダム 発生
    魚類⇒両生類=えら⇒肺
    研究者としての気持ちが良く表現されている。
    146
    夢野久作が引用されている。
    178
    7日間の周期⇒月経の周期、生の原波動
    182
    螺旋、植物、羊の角、内臓、腸、台風、2重螺旋
    197
    東洋思想、道、リズムあり
    203
    遷宮の意味(伊勢神宮)

    学生時代「産泊」とても面白い表現あり。
    食(世代)vs性(世代) 回帰する。

  • 胎児の30~40日あたりの成長を生命の進化に当て嵌めるところまでは理解できるが、三章以降は検証されえない持論展開の嵐。螺旋の成長については、分からなくもないが、世の中すべての事象に適合させるのはさすがに無理がある。人の成長におけるスパイラルアップは、安定性と着実性の観点から納得できる。

  • 身から出たものであれば「錆び」でさえ、どこか尊く思える。
    身から出ていない学術本は、どれだけ偉大な発見であってもどこかよそよそしい。
    アカデミックに見て何を発見したのかは知らないが、経験から出た著者の言葉は、じかに心情をわしづかみにする。
    本を書く意味は、おそらくこういうところにあるのだろう。

  • 解剖学者である著者が、医学的な事実と詩的直観を織り交ぜて生命について語ったエッセイです。

    胎内に生命が宿りこの世に誕生するまでのプロセスのうちに、悠久の生命のあゆんできた歴史の記憶を求めようとします。議論は、ゲーテの自然学や中国の「道」、伊勢神宮における式年遷宮にまでおよび、自由な連想のつながりをたどりつつ「三木形態学」の世界へと読者をみちびいていきます。

    あくまでエッセイとして読むべき本であることは当然心得ているのですが、一元論的な生命論そのものに対して、さまざまな思想的問題が提起されていることにも、もうすこし留意が必要であったのではないかという気がします。すくなくともわたくし自身は、著者の手放しの生命賛歌に追随することはむずかしいと感じました。

  • 三木成夫「胎児の世界」読了。読む前は題名からヒトの生殖から発生に関する総括的な話かと思っていた。しかし、実際には胎内での神秘的な成長と種間でのその共通性から、生命の進化・歴史・周期性、さらには宇宙の摂理までをも解釈する著者渾身の壮大なスケールの考え方に圧倒された。良書。

  • 論文で在るにも拘らず、文章ひとつひとつが繊細で美しい。体験記も小説世界として、ノンフィクションとしての虚構の表現が巧みに使われている。
    論文としては文章が肌理細やか過ぎて読み難さを少し覚えるが、興味深い本。ドグラ・マグラの影響を受けて居る様なので購入した一冊。
    第一章読了。

  • 科学の本

  • 名著。

  • 南洋から流れ着いた椰子の実の味に遙かなる過去を思い起こし、子供が体調を崩した関係で張ってしまった奥さんの乳を飲んで生命の幽遠を知る・・・みたいなエピソードから始まるのは、例の「個体発生は系統発生を繰り返す」(胎児はその発達段階で生物進化の過程をなぞる)というアレの物語である。

    結論は「まんま進化の過程をすべてなぞるわけではない」ということなんだけど、お話しは現在から30億年を一気にさかのぼり、お母さんのお腹から遠く宇宙までを一息に飛び越えて行く。

    比較発生学…なる分野の大家であった著者。発生から4日目に決まって生命の危機を迎える鶏卵と向き合う日々とか、胎児の標本にメスを入れるときの静かな、だがドラスティックな心の動きとか、鬼気迫る描写もある。

    新書なんだけど、すげー巨大な内容。
    うまく咀嚼できなかった、というのが正直なところ^^;。

  • 本書は確か『READING HACKS』で紹介されていて購入したのだと思う。

    ちゃんと理解できたか?と訊かれると言葉に詰まってしまうぐらい、読むのに骨が折れたが、とても大きな浪漫が語られている。

    個体の発生から誕生までというミクロな話を、地球上の生命の発生から人類の発生に至る大きな流れに重ね合わせ、感動をもって語られるとき、われわれ読者は、圧倒させられてしまい言葉も出ない。

    科学なのかどうかはよくわからないが、現実を解釈する、というのは、こういうイメージを膨らませることを言うのではないかと感じた。

    [more]
    (目次)
    ? 故郷への回帰――生命記憶と回想
     民族と里帰り
      「椰子の実」の記憶
      絹の道
      里帰りの生理
     母乳の味
      母乳と玄米
      哺乳動物誌
      味覚の根源――「憶」の意味
     羊水と古代海水
      出産
      脊椎動物の上陸
      いのちの塩

    ? 胎児の世界――生命記憶の再現
     ニワトリの四日目
      墨汁の注入
      四日目の出来事
      上陸の形象
     胎児の発生
      胎児の顔
      受胎1か月の像
      おもかげ――原型について
     再現について
      個体発生と宗族発生
      奇形の意味するもの
      胎児の夢

    ? いのちの波――生命記憶の根原
     食と性について
      ヤツメウナギの変態
      植物メタモルフォーゼ
      食と性の位相交替
     内臓波動
      いのちの波
      万物流転――リズムの本質
      胎児と宇宙
     永遠周行
      東洋の「道」
      遷宮の意味
      母なる海

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著者プロフィール

1925年、香川県丸亀市生まれ。解剖学者。東京芸術大学教授。1987年死去。主な著書に『内臓とこころ』(河出文庫)、『胎児の世界』(中公新書)、『海・呼吸・古代形象』『生命形態学序説』(以上、うぶすな書院)など。

「2013年 『生命とリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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