時計の社会史 (中公新書 (715))

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  • 中央公論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121007155

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  • 1984年刊。著者は和歌山大学経済学部教授。◆時計には様々な種類が存する(日時計、水時計、砂時計)が、歴史的転換を促したのは機械時計。これを生み出した西欧(特に英国)自身の社会変容と、時計が流入した東洋(日中)の変容を、西洋中世史学者が読み解く。前者は①中世最晩期、大洋航海中の経度測定のために正確な機械時計を必要。②不定時法から定時法。時間概念の画一⇒時間が賃金の算定基準⇒時間の拘束という労働観の変容(産業革命という時代に適合)へ。日本では不定時法を変えないまま、時法に合わせて機械時計を改良する方向へ。
    つまり、日本は、根本的なルールを変更できないまま小手先の技術的変容で満足。他方、中国は皇帝用の装飾重視の工芸品と化し、一般に普及しないのは勿論、社会的影響が僅少であった、とのこと。この点、時間の意味の歴史的変遷という観点から見て、①英国での近代的労働観に時計が与えた影響と、②日本の江戸時代、それも、元禄期においてすら既に広範に一般普及した時鐘によって「時間の公共性」が社会的に実現していた。この特殊な社会の存在が、後の近代的雇用制度を労働者側で受け入れられた、一つの社会的要因と看做す点は興味を引く。

  • 時計の発展史。日本や欧州でどのように時計が発展してきて、生活にどのようなインパクトを与えてきたかを考察している。

  • 吉川弘文館の再刊版にコメント。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4121007158
    ── 角山 栄《時計の社会史 198401‥ 中公新書》
     
    …… 時よ止まれ、君は美しい ── ミュンヘン五輪:Goethe《Faust》
    http://q.hatena.ne.jp/1168420978#a666123(No.3 20070117 17:54:53)
     給与分割史 ~ 年棒・月給・週給・日給・時間給 ~
     

  • 世界各国における時計やそれが表示する制度としての時間の史的変遷を辿る。
    ハードとしての時計が世界各国ではどのように受け入れられたのか。14世紀に宗教的な必要性から修道院で生まれた時計は、キリスト教の教義とぶつかりながらも人間の生活になくてはならないものとなっていった。国や時代によって時計の持つ意味が大きく異なっていたことが興味深い。
    時計が表示する時間は単に1日の時刻を客観的に認識可能としただけでなく、それによって人間の生活を規定してゆくことになった。時計の登場は「タイムイズマネー」の思想を生み、個人による自由な労働から時間に縛られた工場労働を開始し、産業革命の重要な要因となった。
    時計が人類史に与えてきた影響は大きく、広範に渡る。ミクロ的なものからマクロ的なものまで様々な分野との関連性を考えながら読むことができて非常に楽しい本だった。

  • 角山栄は「茶の世界史」で知った。この人は一つの物質をキーワードに社会や世界を読み解くのが得意なのかな。本書も面白かった!

  • 新書は専門書ではないので、多くを期待して読むことはない。
    お金を出して購入した場合には、必要な情報が網羅的に得られるか、面白い情報が体系的に綴ってあるとうれしい。

    時計について、いろいろ知らなかったことが書かれているので参考になった。

    ps.

    野口 悠紀雄著 「続「超」整理法・時間編―タイム・マネジメントの新技法 」 の参考文献に本書が掲載されている。

  • 和時計って知らなかった。仕組みが知りたい、万年時計見てみたい。
    江戸時代、自国風に時計をアレンジした日本と、皇族の奢侈品にしかできなたった清が対照的。

    経度法のくだりもおもしろい。経度を知るためには時間を正確に知る必要があったのですね。

    時計がもたらした人々の時間感覚の変化はさもありなん。
    製造面でみると、精巧な時計はもっとも技術力の高い産業だったのだなあ。

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    [ 参考となる書評 ]

  • 『読書の軌跡』阿部謹也より

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著者プロフィール

1921年(大正10年),大阪市生まれ.1945年,京都大学経済学部卒業.和歌山大学経済学部教授を経て,同大学名誉教授.和歌山大学学長,堺市博物館長を歴任.2014年10月逝去.

「2017年 『茶の世界史 改版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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