コミュニケーション技術: 実用的文章の書き方 (中公新書 807)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121008077

作品紹介・あらすじ

報告書・説明書・提案書など実用的文章の上達法を解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 【実務文を書くときのplan do seeサイクルの一例】

    文を書く前にゴールを明確にする(“What do I want to achieve?”)。読み手をイメージする。読み手についてリサーチする(関心事・目的意識、スキーマ、保有知識、言葉づかい、等)。読み手に引き起こしたい変化をイメージする。読み手の時間制約をイメージする。文全体の量と内容の詳細さ・正確さの水準を決める。文に盛り込む内容を取捨選択する。内容の全体構成を決める。教訓集をおさらいする。

    読み手にとってのメリットを増やしつつ、コストとリスクを減らしつつ、ゴールを達成するように文を書く。タイトルや最初の段落で読み手の注意を引き付ける。読み手の関心事・目的意識と関連付けて文を書く。文全体の量をできるかぎり減らす。ロジックをできるかぎりシンプルにする。内容のかたまりごとに段落を分ける。一度読んだら読み返さなくても意味が分かるように表現する。読み手のスキーマをゆがめないように文を書く。ロジックの根拠となる事実を読み手自身で確かめやすいように表現する。

    文を書いた後に、ゴールを達成しそうかレビューし、添削する。読み手の視点に切り替え、読み手のリアクションをシミュレーションする。読み手の実際のリアクションを観察し、ゴールの達成具合を評価し、教訓を抽出して次の機会に活かす。他者が書いた実務文(分かりやすい文、分かりにくい文、フラストレーションがたまる文、等)から教訓を抽出して次の機会に活かす。教訓集が雑多になってきたら集約・体系化する。


    【読み手のスキーマをゆがめる(または認知バイアスを誘発する)文の例】

    意見をあたかも事実かのように誤認させる文

    部分をあたかも全体かのように誤認させる文

    真偽不明な命題や偽の命題をあたかも真の命題かのように誤認させる文

    結論の前提を忘却させる文

    事実の一部を隠して結論や印象を歪曲する文

    同調圧力をかける文

    感情をあおる文

  • 会社(NEC)で篠田氏の研修を受け、とても感銘を受けた。
    論理的文書の書き方の研修であり、関連した本書を購入した。
    一度売却したが、転職後の課内で共有するために再度購入した(2012.8.27)
    ※2007.9.17売却
     2015.11.15amazon注文(再購入)

  • 小説やレポートなどで字数が埋まらない、評価が低いといったお悩みを解決してくれます。
    テンプレートに近いものが例示されており、行き詰まってしまった文書を進めるキッカケになると思います。
    新書の中でもあまり高くなく、読みやすい文体なのでざっと読んでも得られるものがあるのでオススメ!

  •  「実用的文章」について一語一文レベルでこだわった一冊。前レビュー(『理科系の作文技術』)と同じく、文章作法に関する本である。『理科系の~』が文章を書く際の心構えなど全体的な視点を論じた一冊だとすれば、本書は一文における語句選択など細部の視点を論じた一冊と言える。
     本書内容は大きく分けると2つ――「1つの文を構成する単語の選び方とその表現技法」・「文章の集合体であるパラグラフの構成とその展開方法」――である。また、いずれの章でも、筆者の主張は一貫している。即ち、1つの単語・文・パラグラフに複数の意味・主張を持たせない(「ワンワード/ワンミーニング」・「ワンセンテンス/ワンアイディア」・「ワンパラグラフ/ワントピック」)というものである。こう書くと意外性はないかも知れないが、本書には多数の練習問題がついているので、是非挑戦して欲しい。案外、自分も伝わりにくい文章を書いていることに気付くはずである。
     本書の活用方法だが、内容が細部にわたるため、実用的文章を書き始めたばかりの人が読むと先に進めなくなる恐れがある(その場合は、まず『理科系の作文技術』を読むのがオススメ)。従って、文章がある程度は書けるようになった人がレベルアップを目指して読む形が良いだろう。

  • 11/7/31
    水嵜さん出版記念

  • アメリカのテクニカル・コミュニケーションをベースにして記された1986年発行の本書。日本語と英語は語順などの相違はあるものの、伝わる文章、伝えるためのパラグラフ構成は共通であり、普遍的と言うことか。著者が指摘しているが、日本でこのような「技術」について学ぶ機会は、どれだけあるのだろうか。

    「ワンワード/ワンミーニング」曖昧な名詞と動詞に注意。例えば「メーターを見る」。
    「行う」は極力使わない。例えば「分析を行った」は「分析した」で十分。
    「ワンセンテンス/ワンアイディア」短い文で区切ればよい。
    「修飾する言葉と修飾される言葉が離れすぎない」
    「語句の重複を避ける」、「当店のコーヒーは炭火焼きコーヒーを使用しております。」、「お互いに相互作用を」など。
    「ワンパラグラフ/ワントピック」この本の後半部分は、パラグラフの展開方法の説明に終始している。

  • 文の構造が、総論→例文となっている。分かりやすい。
    例文が大量に掲載されていることが特徴。
    初版は1986年なので、内容が古いと感じるところがある。

  • あいつに読ませたい(笑)

  • もっと早く読むべき本でした。「理科系の作文技術」と同様、基本を教えてくれる良書です。

  • たまたま、全社研修の講師として名前が有り、講師の中で一際高い研修料金が目についた。それが、この本の著者だ。

    講師のプロフィール欄に代表著書としてあったので購入してみた。

    内容としては、わかりやすい文章の書き方のハウツー本。


    結論として、普通の理系大学を卒業できるなら読む必要はない。
    当たり前の事が、当たり前に書いてある上に読みづらい。


    一点、なるほどと思ったのは日本の英語教育で文法を偏重するあまりに文章の固まりを論理的に読み書きする訓練が足りないという点。


    ミシガン大学主催の英文試験(文法点と、文章構成点で評価。一人一人にコメント付きで採点される)
    によると、欧米の大学生は文法点の点数は低いが文章構成の点数が高く、日本の大学生は文法の点数が高いが文章構成の点数が低いそうだ。
     その結果、ここの文章はわかるが全体を通してみると良くわからない文章だという総評が多いとの事。

    この点はメールを打つときに、文法にこだわるより内容にこだわるように注意すべきだと実感した。意味が伝わらなければ読み手にとって文章情報はゼロに等しいってこと。

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著者プロフィール

教育学博士。早稲田大学名誉教授。ミシガン州Ann Arbor市の名誉市民。東京大学学部・大学院非常勤講師、東京医科歯科大学講師、島根県立大学非常勤講師を歴任。現在、東京電機大学客員教授、早稲田大学・ミシガン大学テクニカル・ライティング検定試験(TEP Test)日本側委員長。日本テクニカル・コミュニケーション協会会長。日本実用英語学会会長。官公庁、日立、東芝、NEC、IBM、トヨタ、日産、ホンダ、住金、大日本印刷、サムスンなど多くの企業でEnglish Technical and Scientific Communicationおよび論理的な日本語文章作法、ビジネスEメール英語の論理構成を指導。著書に『コミュニケーション技術』(中公新書)『ビジネス文完全マスター術』(角川oneテーマ21)『賢い人の英語コミュニケーション法』(丸善出版)『ICT時代の英語コミュニケーション:基本ルール』(南雲堂)ほか多数。

「2014年 『企業で必要な英語コミュニケーション力を身につける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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