- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121008305
作品紹介・あらすじ
『大鏡』は平安朝への訣別の書であると共に、中世文学の開幕を予告する書である。『伊勢物語』が発見したみやびは『源氏物語』のもののあはれに発展し、長く王朝の生き方となった。その優美な平安的振舞いを否定してこの歴史物語が新しく生みだしたこころたましひは、激しく行動する逞しさを身上とする。次代の精神として開花する兆しがここにうかがわれる。藤原道長を頂点とする平安貴族たちの生き方に新しい人間像を読み解く。
感想・レビュー・書評
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高校3年生、図書館にて
913.4ワ
1961
1987/10/23
2回目 -
[図書館]
大学時代、源氏物語の講義をとっていたときに先生が勧めていた(…というか、これを読んで感想を提出せよ、という課題図書だった)本。
どこにも売っていなくて、図書館でやっと見つけた。発行年のこの古さでは当たり前か…
語り口が絶妙で読み物としてとても面白かった。幼天皇に怨霊がとりつき、4歳かそこらの幼児が大人のような顔をして、大人のような口調で語る。たしかに不気味だと思った。 -
流れに沿って記述をたどりつつ、登場する歴史上の人物が、他の史料や、同時代を扱った『栄花物語』をはじめとする文学作品での描かれ方といかに違うふうに描かれているかを具体例で示し、『大鏡』の「文学」としての特長を表すことに成功している。
歴史物語とはいえ、歴史上の人物を説明するエピソードとして使われることが多いが、ある意図をもった文学作品として、エピソードを取捨選択し、脚色創作し、デフォルメしていることを強調しているが、たいへん説得力がある。
怨霊になることを、負けても怨霊になるくらいの気概があると評価している、という解釈が面白い。