カラスはどれほど賢いか: 都市鳥の適応戦略 (中公新書 877)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121008770

作品紹介・あらすじ

都市の発展により多くの野生鳥が姿を消したが、一方では環境に適応することによって積極的に都市に進出する鳥群が観察される。その頂点に君臨するのがカラス集団であり、いま都市にあってはカラスとヒトの知恵比べが熾烈に進行中なのである。本書は都市鳥研究会にあって長年、野鳥を観察研究してきた著者が、その成果を克明に報告するとともに、カラスに対する愛憎半ばする感情をさまざまな文献に探る、カラス百科である。

感想・レビュー・書評

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  • 20年以上の前の資料。時々、カラスの声で否応なく目覚めさせられる、苦痛な朝の記憶。自宅前に柿の木があったり、とカラス天国の日常のなかで、少しは身構える事ができるかな、と思って読んだ。時代が違うから期待と違った。

  • ふむ

  • これからカラスに対する見方が変わりそう。

  • [ 内容 ]
    都市の発展により多くの野生鳥が姿を消したが、一方では環境に適応することによって積極的に都市に進出する鳥群が観察される。
    その頂点に君臨するのがカラス集団であり、いま都市にあってはカラスとヒトの知恵比べが熾烈に進行中なのである。
    本書は都市鳥研究会にあって長年、野鳥を観察研究してきた著者が、その成果を克明に報告するとともに、カラスに対する愛憎半ばする感情をさまざまな文献に探る、カラス百科である。

    [ 目次 ]
    序章 野鳥にとって都市とは何か
    第1章 銀座のカラスはカァーと鳴く
    第2章 ヒートアイランドの夜
    第3章 カラスを追跡する
    第4章 都会派カラスの子育て法
    第5章 街中のスカベンジャー
    第6章 カラスの知恵袋
    第7章 カラスの遊戯
    第8章 カラスと人の交友
    第9章 カラスと人の知恵比べ
    第10章 カラスの博物学

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    [ 参考となる書評 ]

  • (2004.06.12読了)(拝借)
    副題「都市鳥の適応戦略」
    「カラス なぜ遊ぶ」を読んだので、ついでにこの本を読むことにしました。この本も動物好きのカミさんの本棚にあったものです。著者は、高校の生物の先生なので、大学の先生みたいに解剖したり、実験したりはできないので、資料や、観察に基づくものになっている。一部テレビ局の協力による追跡調査もある。カラスが相手では、固体識別もしにくく、空を飛び移動するので、追跡も思うように出来ない。電柱などに留まっていればよく見えるけど、樹の茂みに入られると見えなくなってしまう。観察による調査も思うようには行かない。

    「東京には不思議とカラスが多い。それも銀座や渋谷、新宿といった日本を代表する繁華街のいたるところに群棲している。」
    「銀座地区から出されるゴミの量は、一日平均60トン。そのゴミのうち大体三割が残飯と見られている。これだけの食物資源を、人も野生動物も放置しておくはずがない。浮浪者、野良猫、溝鼠、ハシブトガラス等が出没する。冬場には、カラスは6時ごろ現れ、ごみ収集車のやってくる8時ころには腹一杯食べて銀座から引き上げてしまう。」
    「お正月三が日のように残飯が激減すると数羽のカラスがねずみや野良猫を襲って食べる事は珍しくない。未明の路地裏のあちこちでねずみの悲鳴が聞こえてくる。」
    「カラスの一日の行動を明らかにするには、ある特定のカラスの一日の行動を追跡し克明に記録する必要がある。なんとしても特定の固体にマークをつけて追跡する必要がある。調査に先立ってカラスを捕獲しなくてはならない。銀座の中央通で捕獲しようとしたが警戒されて失敗。新宿御苑で、捕獲箱による捕獲を行っていると聞いたので、利用させてもらうことにした。捕まえたカラスを計測してみると、平均体重700g。土日を利用して実施するので、一度に捕まえた3,4羽をマークをつけた上で放す。驚いたことに、一度放したカラスが、二度、三度と同じ捕獲箱で捕獲された。最初はなんと愚かと思えたが、捕まってもすぐ放してもらえることを学習し餌にありつくための捨て身作戦だったのかも知れない。」
    「カラスの繁殖の場合、3月中に造巣を終え、4月上旬ころに産卵する。一日一卵ずつ、4,5卵産む。産卵後は、雌親によって約20日抱卵されて孵化する。羽毛の生えていない雛は体温維持が不十分なため、さらに2週間に当たり雌親が抱雛する。雛の巣立つのは孵化後、約一ヶ月である。巣立ちは5月下旬、その後、6月中旬まで親子による家族生活が続く。巣立った雛を護るために親から須賀人を襲ったりするトラブルは、雛が巣立つ5月下旬から6月中旬に集中している。」(現在我が家の向かいのマンションの屋上のアンテナにカラスが巣を作り、子育て中である。)
    「カラスの場合は、胡桃をくわえて空中に舞い上がり、コンクリートや線路などに落として割る行動が見られる。胡桃と同様に、カラスが固い貝類の殻を空中から落下して割り、中身を食べるという行動が各地で観察されている。」
    「人の言葉を話すカラスの例は、全国各地にあるようだ。言葉を話すカラスに共通しているのは、怪我をしたり病気で飛べなかったりして人に保護されているものばかりだ。生活保護を受けるうちに、人の言葉を真似し始める。言葉を話せば、人はびっくりしてカラスを見直し、手放さない。人の心を引きつけ、ひいては自分自身が生き延びるための方策として、語彙も豊富になっていく。」

    著者 唐沢 孝一
    1943年 群馬県生まれ
    1966年 東京教育大学理学部生物学科卒業
     都市鳥研究会代表
    ☆関連図書(既読)
    「カラス なぜ遊ぶ」杉田昭栄著、集英社新書、2004.03.22

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著者プロフィール

唐沢孝一
NPO法人自然観察大学学長。1943年群馬県生。1966年、東京教育大学理学部卒業。都立高校の生物教師のかたわら都市鳥研究会代表、日本鳥学会評議員・幹事等を歴任。現在、NPO法人自然観察大学学長。野鳥をはじめ昆虫や植物の生態を研究するほか、自然観察会を主宰し講師をつとめる。都市鳥関係の著書に『カラスはどれほど賢いか』(中公新書、1988)、『スズメのお宿は街のなか』(中公新書、1989)、『カラー版 身近な鳥のすごい食生活』(イースト新書Q、2020)、自然観察の著書として、『カラー版 目からウロコの自然観察』(中公新書、2018)、『唐沢流 自然観察の愉しみ方』(地人書館、2014)。東京の自然誌に関する著書として、『江戸東京の自然を歩く』(中央公論新社、1999)、『よみがえった黒こげのイチョウ』(大日本図書)などがある。

「2023年 『都会の鳥の生態学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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