発酵: ミクロの巨人たちの神秘 (中公新書 939)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121009395

作品紹介・あらすじ

酒、チーズ、納豆等の嗜好食品から医薬品、洗剤の製造、さらには抗生物質、アミノ酸、ビタミン、微生物タンパク質の製造まで、発酵の作用は広く利用されている。自然界における環境浄化もまた微生物の活動に依存する領域で、発酵は地上の動植物の生存に不可欠の作用である。フグの毒抜き、中国の"奇跡の発酵"等、世界各地の発酵文化に今日のバイオテクノロジーの原点を探り、目に見えない微生物の神秘的世界を宇宙的スケールで捉える。

感想・レビュー・書評

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  •  微生物の織りなす神秘的な仕事。それが発酵だ。
     発酵は僕らが彼らの存在に気づくずっとずっと前から人々と一緒にあり続けてきた。

     そうしたミクロにある神秘に科学的、文化的な両面からアプローチを掛けて判り易く紐解いてくれる。
     大変内容が充実した良著だと思う。

  • 2024年3-4月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00033572

  • 発酵というと納豆や漬物、チーズや酒といった発酵食品が頭に浮かぶが、発酵を
    「微生物、またはその生成物が有機物、または無機物に作用して有機化合物または無機化合物を生じ、なおかつその現象が人類にとって有益となること」
    と定義すると食品だけでなく、医薬品、各種の工業に使われる化学化合物、環境浄化、染め物や解毒まで、微生物の活躍の場は広い。微生物の発酵の助けがなかったら現代の生活は成り立たないのだなあ、と改めて思う。

    著者は発酵の専門家で、一般向けにわかりやすく面白い発酵エッセイをたくさん書いているけれど、本書はちょっと本気を出してみました、みたいな感じがする。200ページちょっととそんなに厚い本ではないが、発酵百科みたいな趣があって、この分野についてのパースペクティブが得られる。おすすめ。

  • ふむ

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 発酵はグリセリンの増産(爆薬)や創薬など…まさに錬金術。
    人類が食うに困り、試行錯誤して食いつないできた保存食も発酵あり。興味深い食べ物の話多かった。
    顕微鏡を作った人すごい。

  • 第1章 地球と微生物
    第2章 微生物と発酵の発見
    第3章 発酵技術の進歩
    第4章 日本人と発酵
    第5章 発酵を司る主役たち
    第6章 今日の発酵工業
    第7章 奇跡の発酵

    著者:小泉武夫(1943-、福島県小野町、農学)

  • 日経新聞夕刊の人気コラム「食あれば楽あり」でお馴染み、味覚人飛行物体こと小泉教授による、発酵学のブリーフィング。20年近く前の初版だが全く古臭さが感じられない。人間などの複雑な生物では全く産生することのできないアルコールやビタミン、抗生物質などの様々な有益な物質を、カビや酵母、細菌などの単純生物がいとも簡単に産出してしまう(そして多くの場合、その物質は彼らにとって不要物=排泄物、だというのだ)、その驚異のメカニズムが簡潔で歯切れの良い文体で綴られている。発酵を用いた世界中の様々な知恵が列挙されているが、科学的知見もないまま純粋に生活上の経験と伝統によってこれらの技術が現代に伝わっているという事実に驚きを覚えた。

  • 大崎Lib

  • 京都市左京区の曼殊院には、これまで人類に貢献してきた微生物を供養する「菌塚」なるものがあるそう。

    確かに普段はあまり意識しないけれど、私たちの生活は気の遠くなるような数の“殉職菌”たちの働きによって成り立っているわけで。

    発酵の化学は有益かつ興味深い一方で、すこし切ない気持ちにもなるのであった。なにはともあれ、人類の叡智に乾杯!(できれば醸造酒がいいかしら)

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著者プロフィール

小泉武夫(こいずみ・たけお):1943年、福島県の造り酒屋に生まれる。東京農業大学名誉教授。専門は醸造学・発酵学・食文化論。専門的な話を、分かりやすく伝える達人。また食の未来を中心に、日本が抱える多くの大問題に挑んでいることから、「箸(★正字)を持った憂国の士」と評される。140冊を超える著作があり、小説も『猟師の肉は腐らない』、『魚は粗がいちばん旨い』など、専門的な知識に裏付けられた独自の作品が多数ある。


「2023年 『熊の肉には飴があう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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