敗者の維新史―会津藩士荒川勝茂の日記 (中公新書)

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  • 中央公論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121009678

作品紹介・あらすじ

朝敵とされた会津の人々の上に、戦火の嵐は否応なく襲いかかった。その中で、荒川勝茂は勇猛を誇る佐川官兵衛隊にあって血槍を振るい、戦争の惨劇を身をもって体験した。戦後は新潟での謹慎、さらには慈しむ家族とともに、下北の苛酷な暮しを強いられる。迎えた新生日本も、勝茂一家を窮乏と苦悩から解き放つことはなかった。しかし、勝茂は会津武士の矜持を捨てず、試練に耐えた。彼は履歴書に記す。"罰かつて受けし事なし"と。

感想・レビュー・書評

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  • 幕末から明治中期まで生きた荒川勝茂は、会津藩中級武士として過ごし、敗者として苦難の道を歩いた。彼の真価は詳細に記した日記にある。特に、家族が次々と死に至る(餓死と思われる)斗南藩時代は、挙藩流罪とも目されるものであった。結局、勝茂に小学校教員の道が開かれて生計が立ち行くようになるのである。

  • 2002年 読了

  • (2014.01.13読了)(2005.02.26購入)
    【新島八重とその周辺】
    副題「会津藩士荒川勝茂の日記」
    幕末から明治を生きた一人の会津藩士の日記をもとに会津藩の歴史をたどります。
    会津戦争、降伏後の謹慎生活、斗南藩での生活、廃藩置県に伴う帰藩、故郷での生活基盤の確立、等、「八重の桜」では、よくわからなかった部分の一端がわかります。
    八重は、籠城組でしたが、荒川勝茂は、城出てゲリラ戦を行った佐川官兵衛の隊に属していました。降伏を知ったのは、実際の降伏の10日後だったとか。
    降伏後、会津藩士は猪苗代あたりに謹慎していたのかと思ったら、越後高田に一年以上お預けになっています。その間、勉強したりしています。
    斗南藩としてのお家再興が決まると、いったん会津に戻り、家族を連れて再び高田に戻り、船で青森に移動しています。
    斗南藩での生活は、藩の援助がかなりあったようですが、穀物が思うように実らず、とても自立した生活は成り立たなかったようです。
    廃藩置県となり、藩の援助が出来なくなったので、希望者は、会津に戻ることができたので、知人を頼って会津に戻りました。
    生活が自立できるようになったのは、小学校の教員として採用されてからです。
    会津藩士は、他の藩に比べて教育レベルが高く、多くの人たちが、教員として採用されているようです。
    斗南での生活と会津に戻ってから自立できるまでの間に家族を何人も失っています。十分食べることができなかったために。
    会津藩士の幕末から明治の生活を知るうえで貴重な本だと思います。

    【目次】
    まえがき
    Ⅰ 京都守護職
    Ⅱ 戊辰戦争
    Ⅲ 血の海
    Ⅳ 無念の白旗
    Ⅴ 越後高田での謹慎
    Ⅵ 会津藩再興
    Ⅶ 苦闘する斗南藩
    Ⅷ 故郷での再起
    Ⅸ 怒りと悲しみ
    あとがき

    ●山本覚馬妹(61頁)
    城中にても追手高塀あるいはところどころの土堤、大銃を仕掛け、発砲す。なかにも廊下橋より小田山へ打ちだす大砲にて敵を悩ませしなり。これは山本覚馬妹にして川崎庄之助妻なり。さすがは砲術師範の家の女なり。大砲を発する業誤らず敵中へ破裂す。諸人目を驚かす。身にはマンテルをおおい、小袴を着け、あたかも男子のごとし。
    ●略奪換金(70頁)
    略奪品は、日光口の今市まで荷馬で送り、そこで売りさばいていたのである。
    薩長軍は金品や食料をすべて現地でまかなっていたのである。
    (これが、日本陸軍の伝統になったのでしょうか。)
    ●「会津のゲダカ」「会津のハドザムライ」(163頁)
    ゲダカというのは、下北地方の方言で毛虫のことである。勝茂の一家を始め会津の人々はなんでも食べた。ウコギ・アカザ・ゼンマイ・アザミ・アサツキ・ヨモギ・フキ・ワラビの根、毛虫のようになんでも食べた。
    「ハドザムライ」というのは、三戸・五戸地方の陰口である。鳩のように大豆や豆腐のおからばかり食べているという意味である。
    斗南藩は再三再四、明治新政府に救済米を願い出たが、すぐどうなるということもなく、各自、山菜採りや昆布拾いに努め、あるいは地方の人々の援助にすがるしかなかった。
    ●明治五年(171頁)
    悪食のため胃に虫がわき、老人・子供がばたばたと死んで行った。汗水たらして開墾し、種を蒔いても収穫はない。冬になっても着るものもなく、寒さにふるえる日々である。
    ●会津若松(188頁)
    勝茂は斗南の地で母と三男を失った。斗南での苦労を乗り越え、やっとの思いで会津若松に帰るや長男の死である。続いて妻の流産、そして死、さらに長女の死である。
    勝茂の手元に残ったのは、二男の乙次郎と二女のキチだけになった。
    ●教員(191頁)
    会津人は、当時としては極めて高いレベルの教育を受けており、教員としては最適であった。勝茂にとっても、教員は願ってもない職業であった。

    ☆関連図書(既読)
    「保科正之-徳川将軍家を支えた会津藩主-」中村彰彦著、中公新書、1995.01.25
    「奥羽越列藩同盟」星亮一著、中公新書、1995.03.25
    「戊辰戦争」佐々木克著、中公新書、1977.01.25
    「松平容保-武士の義に生きた幕末の名君-」葉治英哉著、PHP文庫、1997.01.20
    「松平容保は朝敵にあらず」中村彰彦著、中公文庫、2000.02.25
    「明治の兄妹-新島八重と山本覚馬-」早乙女貢著、新人物往来社、2012.05.28
    「カメラが撮らえた新島八重・山本覚馬・新島襄の幕末・明治」吉海直人編著、中経出版、2013.04.24
    「新島八重の維新」安藤優一郎著、青春新書、2012.06.15
    「小説・新島八重 会津おんな戦記」福本武久著、新潮文庫、2012.09.01
    「小説・新島八重 新島襄とその妻」福本武久著、新潮文庫、2012.09.01
    「八重の桜(一)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2012.11.30
    「八重の桜(二)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2013.03.30
    「八重の桜(三)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2013.07.26
    「八重の桜(四)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2013.10.10
    「吉田松陰」奈良本辰也著、岩波新書、1951.01.20
    「吉田松陰」古川薫著、光文社文庫、1989.06.20
    「吉田松陰の東北紀行」滝沢洋之著、歴史春秋出版、1992.12.25
    「岩倉具視-言葉の皮を剥きながら-」永井路子著、文藝春秋、2008.03.01
    「流離譚(上)」安岡章太郎著、新潮文庫、1986.02.25
    (2014年1月14日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    朝敵とされた会津の人々の上に、戦火の嵐は否応なく襲いかかった。その中で、荒川勝茂は勇猛を誇る佐川官兵衛隊にあって血槍を振るい、戦争の惨劇を身をもって体験した。戦後は新潟での謹慎、さらには慈しむ家族とともに、下北の苛酷な暮しを強いられる。迎えた新生日本も、勝茂一家を窮乏と苦悩から解き放つことはなかった。しかし、勝茂は会津武士の矜持を捨てず、試練に耐えた。彼は履歴書に記す。“罰かつて受けし事なし”と。

  • 明治維新の前後を薩長に敗れた側としての会津藩士とその家族の視点から見ます。西軍(薩長軍を会津ではこう呼ぶ)の略奪はとても皇軍とは思えないような酷いものであったことが描かれていますが、それ以上に圧巻は会津滅亡後、高田藩に預けられ、その後更に、下北半島に入植し新しい斗南藩を築こうと自然の猛威との闘いの中で過酷な日々を過ごしたこと。荒川勝茂はその中で妻、長男、三男、長女など家族の多くを失っていった悲痛さが生々しいです。そして明治4年から35年には小学校教師として会津で教鞭を取ったと言う。晩年の日本刀をバックに家族と撮影した写真の骨っぽい姿は、維新後何年も経た段階であるにも関わらずその気骨ある人物を力強く語っています。命を捧げた殿様・松平容保の存在が年々希薄になっていくことにも、時代に流されていく一士族(市民)の苦難の人生を感じます。今から140年ほど前の話ではありますが、遠い昔とは思えない臨場感がありました。

  • 会津藩士 荒川類右衛門勝茂の日記を元に書かれた本。単なる歴史書ではなく一藩士の生活が書かれていて興味深かった。

  • [ 内容 ]
    朝敵とされた会津の人々の上に、戦火の嵐は否応なく襲いかかった。
    その中で、荒川勝茂は勇猛を誇る佐川官兵衛隊にあって血槍を振るい、戦争の惨劇を身をもって体験した。
    戦後は新潟での謹慎、さらには慈しむ家族とともに、下北の苛酷な暮しを強いられる。
    迎えた新生日本も、勝茂一家を窮乏と苦悩から解き放つことはなかった。
    しかし、勝茂は会津武士の矜持を捨てず、試練に耐えた。
    彼は履歴書に記す。
    “罰かつて受けし事なし”と。

    [ 目次 ]
    1 京都守護職
    2 戊辰戦争
    3 血の海
    4 無念の白旗
    5 越後高田での謹慎
    6 会津藩再興
    7 苦闘する斗南藩
    8 故郷での再起
    9 怒りと悲しみ

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