新・日本の外交―地球化時代の日本の選択 (中公新書 1000)
- 中央公論新社 (1991年1月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121010001
感想・レビュー・書評
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名著『日本の外交』の続編として出された新書。
歴史家が、「現代」「現在」を語ることの難しさを痛感させられた著作。外交史の大御所である入江昭氏が書いた著作であっても、15年経った現在読んでみると、論証の度合いや認識不足という点が気になってしまう。
歴史家は常に、過去の一事象を取り上げて論じる。もちろん、その一事象の原因・背景・経過そして影響までも知った上で、その一事象について論じるのである。しかし、現在は違う。我々が生きる現在には、過去はあっても未来はない。現在を形作っている原因・背景すらもはっきりしない。
そのような状況の中で、現代史の通史を描くことは歴史学者として勇気のいることだと思う。
さて、本書の肝心の中身であるが、冷戦は終結からソ連崩壊の間に書かれているため、時代の「過渡期」で試行錯誤している様がうかかがえる。
その一方で、前作から貫かれている「定まらぬ日本の外交姿勢」ということは明確に打ち出されている。今や当たり前の概念となったボーダーレス時代の地球を見据えた著作と言えるだろう。
ただ、日米関係の考察は鋭いものがあると思うが、日韓・日中関係についてはやや考察が甘い部分があるように感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『新・日本の外交――地球化時代の日本の選択』(入江昭、1991年、中公新書)
第二次対戦後の国際政治史を詳細に解説している。すばらしい分析力をもって書かれている。国際関係の流れが国際政治、国際経済の両側面から説明されているので非常にわかりやすい。
初版が1991年であるため、近時の国際関係については記述がないが、80年代までの国際関係と日本外交の流れを学習するには非常に有益である。
(2009年6月29日)