鯨の自然誌: 海に戻った哺乳類 (中公新書 1072)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121010728

作品紹介・あらすじ

原始哺乳類が陸上で多方向に適応進化していくなか、鯨類は敢然と海中への回帰を試み、体重大人2千人分のシロナガスクジラから10歳の子供ほどのコビトイルカまで、見事な適応を遂げた。再進化の過程でクジラ・イルカ類はどのような運動機能・生理的形質を獲得したのか。第二の霊長類といわれるイルカの知能はどれほどなのか。比較解剖学の視点から鯨類へのさまざまな疑問にこたえ、新しいクジラ観の確立とヒトとの共生を目指す。

感想・レビュー・書評

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  • 1992年刊。著者は筑波大学医療技術短期大学部教授。元来、シーシェパード関連から本書を紐解いたが、本書は、鯨類の進化過程、解剖学的知見、海豚の知的能力等が論じられ、食文化内の位置づけは未検討。が、解剖学的知見は細かいところまで解説され興味深い。海水内で生活する鯨類の腎臓の特徴、食性と歯・胃腸の関連、水生動物なのに肺呼吸する鯨の特殊性のみならず、陰茎の特徴、海豚の交雑・雑種というような特殊例まで解説。ただ、鯨類の基礎研究者の不足、大学教育の不備という本書の指摘は痛い現実。医学部だけは担っていた点は遺憾。
    脳に興味があれば、第二の霊長類と言われるイルカの項を、具体的生物の進化の過程、あるいは陸生動物から水生動物への進化(ある意味では退化)に興味があれば、クジラ類の進化・生態学的特徴部分の項が参考になる。

  • [ 内容 ]
    原始哺乳類が陸上で多方向に適応進化していくなか、鯨類は敢然と海中への回帰を試み、体重大人2千人分のシロナガスクジラから10歳の子供ほどのコビトイルカまで、見事な適応を遂げた。
    再進化の過程でクジラ・イルカ類はどのような運動機能・生理的形質を獲得したのか。
    第二の霊長類といわれるイルカの知能はどれほどなのか。
    比較解剖学の視点から鯨類へのさまざまな疑問にこたえ、新しいクジラ観の確立とヒトとの共生を目指す。

    [ 目次 ]
    第1章 ヒト、鯨に会う
    第2章 鯨の顔つき、体つき
    第3章 イルカは第二の霊長類か
    第4章 鯨との共生を目指して

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    [ 参考となる書評 ]

  • 比較解剖学は、現代ではけして派手な分野ではないが、自然と直接に接してそれを具体的に論じる、こうした書物が出版されることが、ある意味でその国の文化水準を示すといえよう。大上段に振りかぶった環境問題だけが、環境問題ではない。それにしても、鯨を遠くから見ることと、その身体を直接に知ることの距離は、きわめて大きい。

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著者プロフィール

1930年東京都に生まれる。1964年東京大学にて医学博士号取得。1971年東京大学専任講師(医学部解剖学)。1980年筑波大学医療技術短期大学部教授、東京大学総合研究博物館終身学芸員、筑波大学医療技術短期大学部名誉教授、医学博士。2004年逝去。主要著書に『鯨[原書第2版]』(共訳、1984年、東京大学出版会)、『人魚の博物誌』(1989年、思索社)、『鯨の自然誌』(1992年、中公新書)、『イルカと話す日』(共訳、1994年、NTT出版)、『骨の動物誌』(1995年、東京大学出版会)、『骨と骨組みのはなし』(2001年、岩波ジュニア新書)などがある。

「2022年 『川に生きるイルカたち 増補版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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