ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 3986
レビュー : 357
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121010872

作品紹介・あらすじ

動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、サイズによらず同じなのである。本書はサイズからの発想によって動物のデザインを発見し、その動物のよって立つ論理を人間に理解可能なものにする新しい生物学入門書であり、かつ人類の将来に貴重なヒントを提供する。

感想・レビュー・書評

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  • 哺乳類の心臓は一生のあいだに約20億回打つ。
    それはゾウでもネズミでも同じ。
    …ということは、心臓の拍動を時計として考えたら、ゾウもネズミも同じ長さだけ生きて死ぬことになる。

    …という冒頭の話から、目からウロコがぽろぽろ落ちていくのがわかりました。
    生物のサイズに着目し、エネルギー消費量や体内器官、移動方法などを考察しています。
    実際に計測されたデータから導き出された数式を元に説明が進むのですが、それぞれの生物にとって今ある形が理にかなっているものだということがわかりました。
    特に昆虫の体の仕組みについての第12章と、ヒトデやウニなどの棘皮動物についての第14章が楽しかったです。
    水の中ではやわらかく体をくねらせているのに、手で持ったとたんに固くなるヒトデの仕組み、やっとわかって長年の謎が1つ解けました。
    生物って本当によくできているのですね!

    そして、残念なことに、苦手な数式が出てくるたびに、ぼんやりと眠気をもよおす私の頭もよくできている…と思わざるを得ませんでした…。

  • 思ったほど時間のことについて書いてなかったのは残念だったのだが、生物の体の作りや進化について改めて勉強しなおした感じ。
    たしかにこんなこと勉強したかもしれないが、忘れてた、ということを思い出させてもらったような気持ちになった。生物に対して謙虚になる。

    • goya626さん
      「ゾウの時間 ネズミの時間」という著者が歌う歌があります。私の子どもたちが小さい時、親子でCDに合わせて歌い踊ってましたよ。
      「ゾウの時間 ネズミの時間」という著者が歌う歌があります。私の子どもたちが小さい時、親子でCDに合わせて歌い踊ってましたよ。
      2020/12/16
    • momchapさん
      本の最後に楽譜がありましたね!CDがあるとは知りませんでした。楽しそうですね♪聴いてみたいです。
      本の最後に楽譜がありましたね!CDがあるとは知りませんでした。楽しそうですね♪聴いてみたいです。
      2020/12/17
    • goya626さん
      実に楽しいですよ。
      実に楽しいですよ。
      2020/12/18
  • 生物とはいかに素晴らしい設計がされてるのかが、わかる本です。


    この本を読めば、宗教的とは違う視点から神様はいるなと思うことができるかもしれません。


    タイトルは「時間」が大々的にアピールされていますが、実際は副題の「サイズ」の方に重きがおかれています。

  • 昔一度読もうとして、途中まででどうにも性が合わず断念し、最近一念発起してやはり全部一度は読むべきだとトライしてみたが、やはりあまり性が合わなかった感はある。
    色々な数式を弄りながら話を展開していくのだけども、その仮定や論理に割と飛躍しすぎなのではないか、というところや、一方的に押しつけられているような感覚になる部分もあり、なんだか意図的にどこかにごまかされて連れていかれているようで、だからきっと腑に落ちなかった部分が多かったのだろうと思う。
    とはいえ、生物の様々な値の根底に横たわる定義や普遍性ついて考えてみようという試み自体は面白い発想で、新たな視点が得られた良い機会にはなったと思う。また、細胞のサイズの制限や、循環系のない生物とある生物の違い、循環系がない生物がどこまで大きくなれるかの考察などは中々面白いと思った。

  • 数学的難しさを乗り越えると興味深い話の連発でとても楽しく読めた。
    始終生物のサイズについての考察がなされている。「生きる」ことと「サイズ」がこんなに密接に結びついているなんて本著を読むまで気づかなかった。
    あとがきにもあるように、他の生き物の世界観を知ることで、自分を新たな目線で捉え直すことができるのかもしれない。

  • 東大の理学部で生物学を専攻し、琉球大・東工大などでヒトデやナマコの研究に没頭する一方でシンガーソングライターとしても活躍、「サンゴのタンゴ」など冗談か本気か分からないような曲を出したりして「歌う生物学者」の異名で知られる理学博士の本川氏。ネズミのような小動物は脈拍も動作も早くて寿命が短いのに対して、ゾウは脈拍が少なく動作も遅くて寿命が長いという「現実」を掘り下げ、動物のサイズがその生き方に与える影響をクジラから昆虫・さらには細胞レベルまで解明して、「サイズが違えば時間も違う」という結論に至る。ひいては人類も動物の1種類であることから、「人間が自らのサイズを知る」ことが最も基本的な教養であると説いた内容は、生物学的にも哲学的にも読む者を唸らせる。

  •  ずっと前から読みたかった本。
     動物のデザインには意味がある。大きさにも形にも意味がある。すばらしいデザイン。そして、正しいデザインが何なのかは解らない。

  • 動物のサイズと時間、犬猫を飼った人なら実感しているはず。「犬の1歳って人の何歳の?」 犬のチャッピーが3ヶ月で我が家に来て、当時4歳だった娘は妹ができたと喜んだが、一年経つとチャッピーは17歳!!知恵のあるりっぱな犬に。かたや・・・。20年前の本。難しい理論を少しでもわかりやすく伝えたいという本川先生の気持ちは感じるが、それでも全部は読みきれなかった。(R)

  • 体の大きさに応じて「時間の流れが変わる」というところを切り口に,色々な種族で世界観が異なることを紹介している.生物学者としては「それぞれの世界観を意識し想像してこそ他種族と交流がもてる」という考え方のようだ.中の一節に少しだけロボットのこともあり,「人の世界観を理解し,人の流れる時間を意識することで人にやさしいロボットが出来るのではないか?ロボット・機械は人と同じサイズながら人よりももっと早く動くことができる.それは高性能かもしれないが,流れる時間が違うということは人と共に生きていない.『動物に似せたロボットを作るときに,体長に合わせて歩く速度を決めたりしただろうか?(p.134)』」と書いてあり面白い. 時間の話だけでなく,体の大きさに応じて体のシステムの在り方もそれぞれ異なっていることなども書いてあり,とても勉強になる本.

  • 最後の、動物それぞれの論理を理解することが、人間がその生き物との良い関係に必要であると考えることは、人間関係はもちろん、様々な社会現象・事象にも適用できる考え方だと思った。異形で理解しがたい形に潜んでいる生存戦略を、読み解くことこそ。

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著者プロフィール

本川達雄(もとかわ たつお)
1948年生まれの生物学者であり、シンガーソングライター。東京工業大学名誉教授。専攻は動物生理学。科学普及のための一般書・啓蒙書を多数刊行しており、中でも『ゾウの時間ネズミの時間』はベストセラーに。そして「歌う生物学者」として活動を続けており、自身の作詞作曲歌をまとめた『歌う生物学 必修編』を刊行したこともある。2019年4月刊行の『ナマコ天国』(絵:こしだミカ)もナマコの紹介と作詞作曲歌を収録している。

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