日本外交現場からの証言―握手と微笑とイエスでいいか (中公新書 1134)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121011343

作品紹介・あらすじ

本書は、英、米、独、中国等の外交政策の背後にあるものを探って、日本外交の足跡と比較しつつ外交の本質を見極めようとする。情報収集と分析、政策決定、交渉と、外交の主要分野の豊富な実務経験から、今後の日本外交の在り方を模索する試みである。

感想・レビュー・書評

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  • 外交に興味があり、本書を購入した。
    孫崎享の書いた1993年発刊の古い本であるが、山本七平賞受賞ということもあり、読んでみたかった。
    外交とは「異なる価値観の調整」である。
    同質性の高い日本ではこの能力は育みにくい。
    欧米では日常の中に、「異なる価値観の調整」が織り込まれている。
    自分の考えを持つこと。オックスフォード大学では独自の考えを持つことが求められる。
    そして、独自の考えであるからこそ、他人に説明する能力も求められる。
    外交は、①分析、②政策決定、③交渉、の3つの要素から成り立つ。
    ①分析→価値観の相違を分析する
    ②政策決定→調整の枠組みを決定する
    ③交渉→具体的に調整する
    このプロセスにおいては妥協も重要である。
    部分的な正解が全体的には最適解でないことがある。大局に立って判断を下せる人材が求められている。

    【補足】日本人には構想力が足りない。細々した企画はできるが構想は苦手だ。
    例えば、携帯電話。改善を重ねて使いやすい携帯電話を作ることはできたが、スティーブ・ジョブズのスマートホンに全て食われてしまった。
    ipod、iphone、ipadを作り、ituneとの連動や、iosをオープンにしてアプリ開発を促した。
    こういった壮大な構想を描くことができるのが欧米人である。
    日本人は農耕民族であり、「八百万の神」の国である。自然に逆らわず、災害を受け止め、受け流して生きてきた。
    他方、欧米の一神教は世界の創造主である。全てを神が構想し、神が創造したと考える。
    この宗教観とそこから生じた思考法が、決定的な違いを生むのではないか。そう思えてならない。

  • 【由来】
    ・孫崎さん「戦後史の正体」P24

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 少し固いので、読みにくかったです!
    転ばぬ先のツイが入門書

  • 外交とはどのような対応や行動思考をするべきかを書かれたバイブルのような一冊。
    今の日本の外交がまさに自己中になっている。それが国益となるかどうか?外交を進める上で何を考えどのような発言をしたり行動するのが国益となるかという事を過去の事例や記録を元に説明されている。
    今の日本にも当てはまることが20年前のこの著書の中に詰め込まれていると感じた。

  • 冷戦終結後の93年に出された本であるが約20年たった現在においても普遍性を有している。それほど日本外交の根本的な問題は改善されていないということである。それは、本分にある「外交とは互いに異なる利益・価値観をもつ国々の中にあって、相手国の異なる利益・価値観を認識し、利益・価値観が互いに対立するときに、どこまで自己の価値観を譲れるかを定め、その調整を図る」ことであるという基本的な認識が国民全体に浸透していないことが原因であると考える。その認識を共通させるためにも国民必読の書のひとつではないだろうか。

  • [ 内容 ]
    本書は、英、米、独、中国等の外交政策の背後にあるものを探って、日本外交の足跡と比較しつつ外交の本質を見極めようとする。
    情報収集と分析、政策決定、交渉と、外交の主要分野の豊富な実務経験から、今後の日本外交の在り方を模索する試みである。

    [ 目次 ]
    第1章 外交の第1歩は価値観の違いの認識
    第2章 親善が外交の中心でいいか
    第3章 情報収集・分析
    第4章 新しい外交政策の模索
    第5章 政策決定過程
    第6章 外交交渉

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 外交の政策決定も人間関係も恋愛も同じなんだな。
    ドイツの欧州統合論(=通貨面)が面白い。異なる利害の調整と価値観の変更。

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著者プロフィール

1943年、旧満州生まれ。東京大学法学部を中退後、外務省に入省。
英国、ソ連、イラク、カナダに駐在。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授などを歴任。現在、東アジア共同体研究所所長。
主な著書『戦後史の正体』(22万部のベストセラー。創元社)、『日本外交 現場からの証言』(山本七平賞受賞。中公新書)、『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、『日米開戦の正体』『朝鮮戦争の正体』(祥伝社)、『アメリカに潰された政治家たち』河出書房新社)、『平和を創る道の探求』(かもがわ出版)ほか。

「2023年 『同盟は家臣ではない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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