- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121011381
作品紹介・あらすじ
1932年3月、中国東北地方に忽然と出現し、わずか13年5カ月後に姿を消した国家、満洲国。今日なおその影を色濃く残す満洲国とは何だったのか。在満蒙各民族の楽土を目指すユートピアか、国民なき兵営国家なのか。本書は、満洲国の肖像をギリシア神話の怪獣キメラに譬えることによって、建国の背景、国家理念、統治機構の特色を明らかにし、そこに凝縮して現われた近代日本の国家観、民族観、そしてアジア観を問い直す試みである。
感想・レビュー・書評
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#積読してた
#初読
#点検読書(ギア2/5)
古書で買ったまま読まずに放置していた。今は満洲についてつぶさに知るほどの喫緊の用件がないため、詳細な記述があるくだりは目が滑りがちだった。それでも「幸福後見主義」(本書 p.60)や「善意の悪政」(同p.308)などのパンチラインに集約される、欺瞞だらけの日本の傀儡政権づくりの手管をつぶさに紹介している本として、今後も再読に備えて覚えておく価値はあると思った。
(理念を唱えながらそれらを実装するための公正な施策を組立てられない、倫理の実装にリソース割けない根性論の組織は何やってもダメ、21世紀の日本もほとんどおんなじだ、みたいなことを考えていた)
(それから、記述の端々に近代的な教養をにじませるくだりが多い。教養の香水を軽く振っておくことが、ある一定水準以上の格調高い文章を示すことにつながるという、今よりもだいぶ上の世代の書き手の常識がまだ活きていた時代の筆致だ。嫌いではないが、軍記ものめいた文体の感触を不必要に連想させる。)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本の活くる唯一の途◆在満蒙各民族の楽土たらしむ◆世界政治の模範となさんとす◆経邦の長策は常に日本帝国と協力同心
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新書文庫