ハプスブルクの実験: 多文化共存を目指して (中公新書 1223)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121012234

作品紹介・あらすじ

五千万の人口に十一の言語集団。東欧に君臨した多民族国家ハプスブルクはアウスグライヒ体制の下、憲法に各民族の平等を謳い、その実現のために様々な工夫を導入した。軍隊の配置と移動、役所での使用言語、小学校の設置と教育、選挙区の区割り-。しかし巧妙につくられた各民族の均衡は第一次大戦で崩壊し、その後に独立した諸国家にハプスブルク五十年の実験が継承されることはなかった。民族自決の理念と現実の乖難を問う。

感想・レビュー・書評

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  • 第一次大戦前夜のハプスブルク帝国の多民族統治を「実験」と捉え、後世への影響を考察している専門書に近いレベルの内容で細かい点で理解できない事柄は多いが、「国家」と「民族」という、日本では養われにくい感性について、多少は考える機会を得た。新書レベルのハプスブルク本は江村氏の名著があり、彼の本は時間軸にそってハプスブルク家の血脈をドラマティックに描いていたのに対し、本書はある時間軸の断面を虫眼鏡で淡々と観察しているようだ。

  • (1996.03.12読了)(1995.08.01購入)
    多文化共存を目指して
    (「BOOK」データベースより)amazon
    五千万の人口に十一の言語集団。東欧に君臨した多民族国家ハプスブルクはアウスグライヒ体制の下、憲法に各民族の平等を謳い、その実現のために様々な工夫を導入した。軍隊の配置と移動、役所での使用言語、小学校の設置と教育、選挙区の区割り―。しかし巧妙につくられた各民族の均衡は第一次大戦で崩壊し、その後に独立した諸国家にハプスブルク五十年の実験が継承されることはなかった。民族自決の理念と現実の乖難を問う。

    ☆関連図書(既読)
    「ハプスブルク家」江村洋著、講談社現代新書、1990.08.20

  • 民族自決・国民国家の理念について考えてみるきっかけになる。オーストリア・ハンガリー二重帝国の構造、アウスグライヒ、東欧のナショナリズム、等々について知りたい時にも良い。

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著者プロフィール

1952年生まれ。東京大学大学院社会学研究科修了。現在、神戸大学大学院人文学研究科教授。専攻は、ハプスブルク史、オーストリア近現代史、民族政策。著作に『ハプスブルクの実験---多文化共存を目指して』(中公新書、1995/増補改訂版、春風社、2007)、『ハプスブルク帝国』(山川出版社、1996)、『青野原俘虜収容所の世界----第一次世界大戦とオーストリア捕虜兵』(山川出版社、2007)、『大学で学ぶ西洋史〔近現代〕』(共著、ミネルヴァ書房、2011)、『Global Austria. Austria's Place in Europe and the World』(共著、Univ of New Orleans Press、2011)、(『捕虜』として姫路・青野原を生きる---1914-1919 箱庭の国際社会』(共著、神戸新聞総合出版センター、2011)、など。

「2013年 『捕虜が働くとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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