軍国日本の興亡―日清戦争から日中戦争へ (中公新書 1232)
- 中央公論新社 (1995年3月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121012326
感想・レビュー・書評
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淡々と日清戦争から敗戦を1冊で追いかけるには、ちょうどよいが、文章が少し無味乾燥だった。
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19世紀半ばから対米開戦までの手軽な通史として読める。筆者の生き生きとした筆致が随所にある(陸軍の「無法者集団化」、ロンドン条約での艦隊派加藤軍令部長は「未熟な青少年の夢想」、朝鮮民族の皇民化は「大日本帝国の指導者たちの底知れない愚劣さ」等)。
著者は戦前・戦中の日本の軍国主義化を批判しているが、矛先は軍だけでなく文民政治家とテロを賛美した国民にも向いている。同時に、軍事的なもの一切を否定しているわけではなく、戦後の「空想的平和主義」は軍国主義の裏返しだとも述べている。戦前の高級将校の偏狭な視野も、戦前・戦後を通じ文民政治家が安全保障に無知なことも共に批判している。逆に言えば、幅広い視野を持つ軍人と安全保障を理解する文民政治家の間の文民統制を理想と考えていると思われる。 -
日本陸軍の無為無能ぶりを具体的に書いている一方で、浜口雄幸・井上準之助の経済政策が、予測しなかったニューヨークの株式の大暴落という事態によって社会的危機を招き、国民が政治への信頼をなくし軍が支持を勝ち得た経緯を読むと、さらに複雑にグローバル化した現在に何が正しいのか一人一人が判断する難しさを感じた。
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大学の講義録のような本。
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明治維新後、日清戦争~日中戦争に至るまでの道のりを日本国内、対外関係の両面から考察された本。日本が無謀な戦争に突き進む要因として筆者は、軍部(陸軍)の暴走を止められないような政治体制を作ってしまったことである、と主張している。それは、明治維新を支えた元老達の衰退、対外強硬を求めるマスコミ、右翼団体、国民。これらが複雑に絡み合うことで軍部の暴走を容認してしまう環境が形成されてしまったのである。
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ふと中公新書の政治系のものを読んでみたくたり、でもできれば直近のものではなくて少し前のものがいいなと。1995年刊行で扱っているのが明治~昭和戦前期なのでこれが一番ベストかと。久しぶりに日本史の勉強した感じで、面白く読めた。本書によって色々と新しい知識も吸収できたしね。それにしても、世界史をちゃんと勉強していないので分からないけど本当に日本の近現代史って面白い。日露戦争を「坂の上の雲」にして、その後の自爆戦争に至る流れがまあ何というか経ち止って冷静になる瞬間がいくらいでもあったのになと心底思う。通史なので情報の取捨選択が難しいところだけどバランスよく記述されている。少々軍人に厳しすぎるきらいはなくはないとは思うけどね。100年からこの国は常に中国との付き合いで常に選択を迫られていたんだね。あと全然知らなかったんですが猪木正道って高坂正尭の先生だったんだ。。戦後の平和主義を嫌うのはわかるけど、日米開戦にあまりに憤慨するあまり盲目的な新米追従路線にてなってないかとちょっと突っ込みたくはなりなした。
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明治維新の近代化から絶望的な日米開戦までの流れ、軍国化していく経緯と過程を非常に分かりやすく書かれている。
個々の事象にたいするさらに細かな分析等はあるのだろうが、全体としてどのように絶望的な戦争に繋がったのかがよく分かる。 -
何故日本が第二次世界大戦へと突入して行ったのかということに興味があり、この本を読みました。明治維新後から第二次世界大戦終了まで軍部を中心とした日本近代史です。