平安朝の女と男: 貴族と庶民の性と愛 (中公新書 1240)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121012401

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  • 本書は、平安時代、女性史を専門とし

    現在は埼玉学園大学教授である著者が、

    平安時代における父子関係について検討する著作です。


    まず1章において、平安時代、父親が子の成長にどのように関わったのか

    『古今著問集』や『蜻蛉日記』など当時の資料を参照し紹介します。


    続く2章では、平安時代よりも以前では、父の権威は確立していない

    ―との認識を示し、「家」や「父権」がどのように確立したのかを

    「墓参り」や「親不孝(親による子の絶縁)」などの概念を手掛かりに考察。


    そして終章では、本書の内容をまとめるとともに、

    現代における父権論についても触れ、

    父子関係のあるべき姿について論じます。


    菅原道真による自身の家系についての分析や

    女性にとっての元服である「着裳」をめぐる政治的駆け引き

    なども興味深かい記述は多くありました。

    なかでも、個人的に印象深かったのは

    貴族層の墓参りは、命日とは関係なく

    官職の継承に際して行われたものであった―という記述です。

    個人的には、天智天皇などは命日が国忌などが定められたことについて、

    命日だからお墓参りをしたのだろう―と考えていましたが、

    そうではないと知ることができ、とても興味深かったです


    あいまいに理解しがちな、歴史の中の家族関係について

    実証的かつ平易に論じた本書。


    日本史に興味がある方はもちろん

    多くの方におススメしたい著作です。

著者プロフィール

埼玉学園大学名誉教授
専門:平安時代史、女性史、ジェンダー史
業績:『家成立史の研究』(校倉書房、1991年)、『平安王朝の子どもたち』(吉川弘文館、2004年)、『平安王朝社会のジェンダー』(校倉書房、2005年)、『古代・中世の芸能と買売春』(明石書店、2012年)、『平安王朝の五節舞姫・童女』(塙書房、2015年)、『平安朝の女性と政治文化』(編著、明石書店、2017年)、『藤原彰子』(吉川弘文館、2019年)、『藤原道長を創った女たち』(共編、明石書店、2020年)、『「源氏物語」の時代を生きた女性たち』(〈NHK出版新書〉、NHK出版、2023年)

「2023年 『紫式部を創った王朝人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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