- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121012401
感想・レビュー・書評
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本書は、平安時代、女性史を専門とし
現在は埼玉学園大学教授である著者が、
平安時代における父子関係について検討する著作です。
まず1章において、平安時代、父親が子の成長にどのように関わったのか
『古今著問集』や『蜻蛉日記』など当時の資料を参照し紹介します。
続く2章では、平安時代よりも以前では、父の権威は確立していない
―との認識を示し、「家」や「父権」がどのように確立したのかを
「墓参り」や「親不孝(親による子の絶縁)」などの概念を手掛かりに考察。
そして終章では、本書の内容をまとめるとともに、
現代における父権論についても触れ、
父子関係のあるべき姿について論じます。
菅原道真による自身の家系についての分析や
女性にとっての元服である「着裳」をめぐる政治的駆け引き
なども興味深かい記述は多くありました。
なかでも、個人的に印象深かったのは
貴族層の墓参りは、命日とは関係なく
官職の継承に際して行われたものであった―という記述です。
個人的には、天智天皇などは命日が国忌などが定められたことについて、
命日だからお墓参りをしたのだろう―と考えていましたが、
そうではないと知ることができ、とても興味深かったです
あいまいに理解しがちな、歴史の中の家族関係について
実証的かつ平易に論じた本書。
日本史に興味がある方はもちろん
多くの方におススメしたい著作です。詳細をみるコメント0件をすべて表示