社会学講義―人と社会の学 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 258
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121012425

作品紹介・あらすじ

本書は、理論的研究、経験的研究、歴史的研究等多くの分野を見通してきた著者があらためて現代社会学を総合的に捉え、専門分野のみならず一般読書人を対象にして、可能な限り高い水準で平易に説くことによって、この学問の面白さと真価を伝えようとする、「富永社会学の展示室」というべき作品である。

感想・レビュー・書評

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  • 富永健一 社会学講義

    新書なのに教科書らしい教科書。変な導入など無しに本論からダイレクトに入るあたり、有斐閣から出ている大学向けの教科書よりよっぽど教科書らしい書きっぷりをしているんでなかろうか。また、幅広い分野の話を1人で書けてしまう学識の広さに部外者だけれども脱帽もの。

    この本で印象的だったのは下の2点。
    1. 1章で社会学の取り扱い範囲と取り扱う社会の類型を並べていること
    2. 日本国内の社会学研究の歴史も言及していること

    1章で社会学が取り扱う社会をマクロとミクロ、社会と準社会に分けて話を進めているのだけれど、この部分を読んだ時に学生時代、卒論指導をしてくれた教官が時々「取り扱う集団が社会の中においてどういう集団であるのかをはっきりさせた方が良い」と言われていたことを思い出した。教官は「小さな集団を研究対象として扱っても、そこから大きな社会が見える研究をしてほしい」とも言っていたが、この本を読んでいたら、自分の研究が社会学が取り扱っている社会の全体のうちどの類型に該当するかを明らかにすることで調査対象とした集団を超えてより一般的なことが言えたのではないかと思った。2章の理論社会学のところで、経験社会学と理論社会学の往復の話をしているところに至ってなおその思いが強まった。
    ただ、1章は他の社会学者の名前を数えるほどしか出さずに話を進めていることが気になった。確実に過去の研究や著者自身の研究がバックボーンにあるはずだが、これをそのまま使うことはできない(使うにはなぜ使えるのか説明できないといけない)と思った。
    なお、1章2章と抽象度が高い話が続いているが、新しいタームを出すたびに具体例を挙げてくれるので迷子にならずに読み進めることができる。

    また、戦前からの日本の社会学研究の歴史を取り扱っていることも印象的だった。とかく理想化されがちな”古き良き”日本の実際を知る手がかりになるのではないかと思った。

    難点としてはミクロ社会学の取り扱いが薄い(特に現象学的社会学を実証主義を放棄したゲテモノだと思っていたようにも読める)、社会調査法は定量調査しか扱っていない上に内容が駆け足と言ったことが挙げられるけれど、これは他の本を読んで補えば良いのではないかと。

  • 社会学のていねいで手堅い入門書。

    著者は、社会学をあくまで実証的研究として捉える立場から、社会構造とその変動についての一般理論を解明する理論社会学を位置づけている。また、個別的な領域についての社会学的探求の実例として、家族社会学・農村社会学・都市社会学・産業社会学、さらに経済社会学の諸成果についても分かりやすく紹介し、社会学の実際の姿を読者に示している。

    最後の章は社会学史の概観に当てられている。著者はまず、啓蒙思想と実証主義の流れを汲む、コント、スペンサーらの先駆的業績を紹介した上で、社会をマクロな視点から扱うデュルケム、テンニェス、ウェーバーらの研究と、個人のレヴェルに定位して社会を眺めるジンメルやミードらの研究を対比しつつ解説する。また、日本における社会学史にもある程度詳しい説明がなされており、高田保馬、戸田貞三、鈴木栄太郎、新明正道らの業績が概観されている。

    社会学を実証的研究とみなす立場からの入門書なので、シュッツらの現象学的社会学やルーマンのシステム論について論じた箇所は、その魅力を十分に伝えきれていない憾みはあるが、入門書としては良心的で優れた本だと思う。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】

  • ◆新書サイズであるにも関わらず、広範かつ茫漠とした社会学の全容を俯瞰して見せる重厚なガイドブック◆

    1995年刊行。
    著者は東京大学名誉教授(社会学理論、社会変動・近代化、経済社会学、社会階層論、組織理論)。

     重厚である。通常の新書レベルは超え、叙述密度の濃さから言えばなまじの概説書は凌駕するだろう。それは社会学の対象領域の広さと、雑多さに依拠、すなわち学問対象の「社会」の持つ意味・領域の広深さの必然的な帰結であるとはいえる。
     大体、法学や経済学が社会や人間の営みを対象とする以上、社会学の範疇とも言え、また人間が社会を動かしている以上、その人間心理も社会学の領域と言えないことはないからである。

     これら広大な学問領域の全容を言及しようとする意味で、本書は社会学全体の地図のような役割を果たしていることは確かだ。

     まず、全体を様々な物差しで峻別しマッピングしていく。
     つまり、社会学検討の視点の置き場が、個人か社会か(ミクロとマクロ)。静的分析か動的分析か(マクロの中の社会的システム構造論と社会的システム変動論)。演繹的理論か実証的帰納か(理論社会学と経験社会学)。統合的・一般的領域か、個別具体的領域か(理論社会学と領域社会学)。

     その上で、社会学の学説史を、源流の西欧と、これを受容・検討した日本での展開を踏まえ、現代社会学への誘っていく。

     勿論、領域社会学のように余りに多様かつ雑多なため(しかも、その中には他の学問、法学・経済学・教育学などの領域への越境と見られる分野もある)、その全容に触れることなど、紙幅的にも、著者の目配せと理解の範疇という観点でも不可能な部分もあり、事実、この点は割愛されている部分も多い。
     また、様々な解説自体について、富永社会学のバイアスから逃れることも皆無ではなかろう。

     しかし、新書サイズ(一応)に圧縮し、全体を俯瞰できれば十分ともいえる。軽量ではない内容も長所だ。

     もとより社会学のガイドブックの選択は専門家の意見に従うべきだろう。ただ、素人ながらに、取っ掛かりとして、本書がその一になるかも知れないなぁとは思う読後感である。

  • まるで電話帳を読み進めているかのような無味乾燥感を抱いた。今日の多くの社会学がごく当たり前の議論の積み重ねで構成されていて魅力に欠ける御用学問になってしまっているのではないだろうか。それはそれで世の中に必要とされているものなのかもしれないが。

    とはいえ、もう一度くらい読み返すともう少しためになると思う。

  • 新書ながら基本をカバーした教科書になっている。

    【目次】
    第1章 社会の学としての社会学
    第2章 理論社会学
    第3章 領域社会学と経験社会学
    第4章 社会学史の主要な流れ

  • 社会学系の学部を卒業しましたが、在学中はよくわからない学問だなあとずっと思っていました。社会人になって本書を読んでみて、社会学って面白いなあと初めて思いました。本書は社会学の基礎概念などをわかりやすく解説していますよね。社会学が他の学問領域に出張していくのが「領域社会学」ですなどと。
    経験社会学と社会学史のところはよくわからなくて辛かったです。
    大学で社会学を勉強することは二度とないでしょうが、在学中に「勉強するべきだったのにしなかった」ことの一つを勉強できて、満足です。

  • 社会学を一望できる。
    もう一度都市学をやりたくなった!
    メモ

    パーソンズ→ルーマン(+複雑性の縮減/システム自身が持つ自己組織化能力によって可能、構造ー機能から機能ー構造へ)
    盛山和夫「秩序問題と社会的ジレンマ」
    コールマン「社会理論の基礎」
    奥田道大「都市コミュニティの理論」
    藤田弘夫「都市の論理」

    都市社会学
    ドイツ:ヴェーバー/ゾンバルト
    シカゴ学派:都市問題に特徴づけられる
    パーク/バージェス/マッケンジー.......ワース
    「都市社会学のフロンティア」

  • 本書は、理論的研究、経験的研究、歴史的研究等多くの分野を見通してきた著者があらためて現代社会学を総合的に捉え、専門分野のみならず一般読書人を対象にして、可能な限り高い水準で平易に説くことによって、この学問の面白さと真価を伝えようとする、「富永社会学の展示室」というべき作品である。

  • [ 内容 ]
    本書は、理論的研究、経験的研究、歴史的研究等多くの分野を見通してきた著者があらためて現代社会学を総合的に捉え、専門分野のみならず一般読書人を対象にして、可能な限り高い水準で平易に説くことによって、この学問の面白さと真価を伝えようとする、「富永社会学の展示室」というべき作品である。

    [ 目次 ]
    第1章 社会の学としての社会学
    第2章 理論社会学
    第3章 領域社会学と経験社会学
    第4章 社会学史の主要な流れ

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著者プロフィール

東京大学名誉教授、日本学士院会員

「2015年 『経済社会学キーワード集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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