ヴィクトリア朝の性と結婚―性をめぐる26の神話 (中公新書 1355)
- 中央公論新社 (1997年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121013552
作品紹介・あらすじ
ヴィクトリア文化は性を抑圧する文化であり、性に対するとりすました淑女ぶり、お上品主義である-このような考え方は、今世紀のみならず、当時からすでにあった。「中流階級の女たちは不感症に育てられる」「娼婦に落ちたら死ぬまで娼婦」「避妊を知らない」「未婚の母は召使に多い」など、本書は現在まで多くの人が受け入れている「神話」を26とりあげ、その虚構性を当時の日記や書簡、新聞の投書や漫画などの資料を通して検証する。
感想・レビュー・書評
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新書のためか、ヴィクトリア朝にしぼってあるためか、
同じ著者の「ラヴ・レター」よりも、
さらに読み易い。
「ラヴ・レター」は広範囲に渡っているが、
ヴィクトリア朝の社会通念についてだけでも把握するために、
この著書を先に読んだ方が良いかもしれない。
ヴィクトリア女王を愚鈍と断じたところが気になる。 -
ロマンスの王道パターンの一つに「身分違いの恋」ってのがありますが、現代日本に生きていると、「身分違い」というのがどれくらいのハードルなのかいまいち実感できない。
なので、その辺のことが知りたいなーと思って読んだ本、第一弾。
性と結婚についての当時の人たちの感覚がどんなものであったのかを、色々な資料から検証しています。資料の種類が、日記や手紙、新聞、裁判の証言など、多岐にわたっているので、とても興味深いです。
昔の人は若いときにさっさと結婚していたんだと思っていましたが、イギリスではそうでもなかったなんて、意外でした。やっぱり根拠のない思い込みは危険ですね。
当時のジェントルマンやレディは生活水準を落としたくないから結婚を先延ばしにしていた。貧しい人は家族を養う余裕がないからやっぱり結婚しなかった。
なんて、現代日本人と通じるところがありますね。