ヴィクトリア朝の性と結婚―性をめぐる26の神話 (中公新書 1355)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121013552

作品紹介・あらすじ

ヴィクトリア文化は性を抑圧する文化であり、性に対するとりすました淑女ぶり、お上品主義である-このような考え方は、今世紀のみならず、当時からすでにあった。「中流階級の女たちは不感症に育てられる」「娼婦に落ちたら死ぬまで娼婦」「避妊を知らない」「未婚の母は召使に多い」など、本書は現在まで多くの人が受け入れている「神話」を26とりあげ、その虚構性を当時の日記や書簡、新聞の投書や漫画などの資料を通して検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 1997年刊。著者は法政大学教授。◆産業革命期と軌を一にする英国ヴィクトリア文化。これは、性を抑圧するピューリタニズムに彩られ、取り澄ましたお上品な淑女のごとく振舞われていた。このステレオタイプ的解釈に添う26の神話(都市伝説)を仮設し、同時代の日記・書簡・回想録・委員会報告・新聞や雑誌記事、投書等から、神話の化けの皮を剥ぐ書。奇麗事ではすまされない男女の在りようが生々しいが、結婚相手に高収入を求める女性のあざとさ、モノを扱うがごとく娼婦に接する男性の醜さ、結婚を餌に関係を迫る男性の嫌らしさが顕著。
    ただ、貧困、二極化など現代に通じる要素も垣間見られる。一方、所々牽強付会気味の解釈、特に女性の性欲の存在の理由付けは、結論に賛意を持ったとしても疑問の残るものであった。

  • 新書のためか、ヴィクトリア朝にしぼってあるためか、
    同じ著者の「ラヴ・レター」よりも、
    さらに読み易い。

    「ラヴ・レター」は広範囲に渡っているが、
    ヴィクトリア朝の社会通念についてだけでも把握するために、
    この著書を先に読んだ方が良いかもしれない。

    ヴィクトリア女王を愚鈍と断じたところが気になる。

  • [ 内容 ]
    ヴィクトリア文化は性を抑圧する文化であり、性に対するとりすました淑女ぶり、お上品主義である―このような考え方は、今世紀のみならず、当時からすでにあった。
    「中流階級の女たちは不感症に育てられる」「娼婦に落ちたら死ぬまで娼婦」「避妊を知らない」「未婚の母は召使に多い」など、本書は現在まで多くの人が受け入れている「神話」を26とりあげ、その虚構性を当時の日記や書簡、新聞の投書や漫画などの資料を通して検証する。

    [ 目次 ]
    序章 女王の素顔が見え隠れする幕あけ
     神話1 ヴィクトリア文化は性を抑圧するピューリタニズ
     神話2 女王は従僕ジョン・ブラウン夫人
     神話3 避妊を知らないヴィクトリア文化
     神話4 男に甘く女に厳しい性のダブル・スタンダード(二重基準)
    第一章 結婚
     神話5 旦那さまとは結婚できない
     神話6 恋愛結婚のお国柄
     神話7 村の鍛冶屋も牧師さま
     神話8 結婚は解消不可能
     神話9 奥様売ります―妻売りの神話
    第二章 男たちの性
     神話10 結婚をためらう男たち
     神話11 下層階級の女性を誘惑するジェントルマン
     神話12 娼婦の遊び相手は中・上流階級の男
     神話13 同性愛、この自然に反する重罪
    第三章 女たちの性
     神話14 母は母らしく母乳で子育て
     神話15 性に悦びを感じない妻たち
     神話16 婚前妊娠は重大な過失
     神話17 未婚の母は召使
     神話18 精神病は子宮から―女の病気の神話
    第四章 娼婦たち
     神話19 ロンドンは現代のバビロン
     神話20 誘惑されて、捨てられて―転落の神話
     神話21 娼婦に落ちたら死ぬまで娼婦
     神話22 娼婦の愛人
    第五章 少年少女と性
     神話23 オナニーは気違いのもと
     神話24 子どもは純真無垢、性をもたない
     神話25 ムチ打たれる快楽
     神話26 幼い娼婦
    終章 ヴィクトリア文化

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  ロマンスの王道パターンの一つに「身分違いの恋」ってのがありますが、現代日本に生きていると、「身分違い」というのがどれくらいのハードルなのかいまいち実感できない。
     なので、その辺のことが知りたいなーと思って読んだ本、第一弾。

     性と結婚についての当時の人たちの感覚がどんなものであったのかを、色々な資料から検証しています。資料の種類が、日記や手紙、新聞、裁判の証言など、多岐にわたっているので、とても興味深いです。

     昔の人は若いときにさっさと結婚していたんだと思っていましたが、イギリスではそうでもなかったなんて、意外でした。やっぱり根拠のない思い込みは危険ですね。 
     当時のジェントルマンやレディは生活水準を落としたくないから結婚を先延ばしにしていた。貧しい人は家族を養う余裕がないからやっぱり結婚しなかった。
     なんて、現代日本人と通じるところがありますね。

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