現代中国学―「阿Q」は死んだか (中公新書)

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  • 中央公論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121013767

作品紹介・あらすじ

中国と言えば、これまで日本人は、格調高い中国古典に関心を抱き、伝統中国に郷愁を覚えるのが普通であり、現代中国や無数の愚民「阿Q」にはあまり関心がなかった。しかし好むと好まざるとにかかわらず、日本は現代中国と共生してゆかねばならない宿命にある。その現代中国を、表面的にではなくて、古典中国学・伝統中国の研究者の立場から本質的に分析し、「「阿Q」は死んだか」と問い続け、真の現代中国学の必要性を提唱する。

感想・レビュー・書評

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  • 著者がさまざまな雑誌などに発表した、現代中国にかんする論考をまとめた本です。

    本書に収められている論考は、「講義」と題された章と「演習」と題された章に分かれており、「講義」では中国の人びとの考えかたや行動原理について、著者の意見が語られています。「演習」に収められているのは、時評的な性格をもった文章で、文化大革命や江青ら四人組の失脚、天安門事件などについて論じられています。

    著者は『中国人の論理学』(ちくま学芸文庫)などの著作で、日本人が「名」を優先するのに対して、中国人は「実」を優先するという文化論を展開していますが、本書でもそうした理解の枠組みが採用され、現代中国のさまざまな問題に対する独自の視点からの議論がなされています。

    また、『儒教とは何か』(中公新書)や『沈黙の宗教―儒教』(ちくま学芸文庫)などの自著解説の章もあり、儒教において従来無視されてきた、死および死後についての説明をおこなうという意味での宗教としての側面に目を向け、そのことが中国および日本の死生観にどのような影響をもたらしたのか、あるいは中国と日本で死者に対するどのような考えかたのちがいがあるのか、といった問題が考察されています。

    著者は「あとがき」で、「現代中国学」の必要性を訴えつつも、それが「古典中国学」とは異なり若く粗削りな分野であると断っています。ただ本書を読んだかぎりでは、中国文化論ないし日本文化論のようなエッセイに近い性格の文章も多く、著者のいう「現代中国学」にどのような学問的基礎づけがあるのだろうかという疑問も感じます。

  •  何気なく積読本から選んだ1997年に発行された本ですが、とても良かったです。現在の中国は20年以上前に書かれたこの著者が予想したことよりずっと経済的には発展しています。
     でも反対にこの頃書いた本だからこそ中国の本質が書いてある。中国人のものの考え方、儒教の本質、毛沢東や鄧小平、江青、の実像も触れることができた。

     新書は新しいものに限るなんて思っていたが、読んで良かったです。

  • 「現代中国学」加地伸行著、中公新書、1997.08.25
    288p ¥840 C1212 (2019.07.24読了)(2009.04.29購入)
    副題「〈阿Q〉は死んだか」

    【目次】
    はじめに
    序章 中国大陸と台湾と
    (一)鄧小平以後の大陸
    (二)台湾の今後
    第一章 名実を読みこむ
    〔講義〕<名>優先の日本人・<実>優先の中国人
    〔演習一〕企業の大陸進出
    〔演習二〕「人治」・「社会主義市場経済」の意味
    〔演習三〕文臣銭を愛さずんば天下平らかなり―天安門事件に寄せて
    第二章 儒教を読みこむ
    〔講義〕儒教は今も生きている
    〔演習一〕日中死生観の相違
    〔演習二〕個人主義と家族主義と
    〔演習三〕<儒教の虚像>に踊った文化大革命
    第三章 資料を読みこむ
    〔講義〕眼光紙背に徹すべし
    〔演習一〕テレビによる世論操作
    〔演習二〕大陸における宗教弾圧
    〔演習三〕大陸の食糧問題
    第四章 人間を読みこむ
    〔講義〕列伝という名の人間学
    〔演習一〕画家・斉白石
    〔演習二〕曲終わりて人見えず―江青の生と死と
    〔演習三〕毛錐三管横禍に遭う―政治と文芸と
    あとがき

    ☆関連図書(既読)
    「中国発の危機と日本」長谷川慶太郎・岡崎久彦著、徳間書店、1998.04.30
    「日中再考」古森義久著、産経新聞社、2001.06.30
    「中国」日本経済新聞社編、日経ビジネス文庫、2002.10.01
    「不平等国家中国」園田茂人著、中公新書、2008.05.25
    「中国経済あやうい本質」浜矩子著、集英社新書、2012.03.21
    「崩壊する中国逃げ遅れる日本」宮崎正弘著、KKベストセラーズ、2008.01.25
    「人民元がドルを駆逐する」宮崎正弘著、KKベストセラーズ、2009.06.30
    「中国ひとり勝ちと日本ひとり負けはなぜ起きたか」宮崎正弘著、徳間書店、2010.01.31
    「2013年の「中国」を予測する」宮崎正弘・石平著、ワック、2012.09.27
    「習近平の中国」林望著、岩波新書、2017.05.19
    (「BOOK」データベースより)amazon
    中国と言えば、これまで日本人は、格調高い中国古典に関心を抱き、伝統中国に郷愁を覚えるのが普通であり、現代中国や無数の愚民「阿Q」にはあまり関心がなかった。しかし好むと好まざるとにかかわらず、日本は現代中国と共生してゆかねばならない宿命にある。その現代中国を、表面的にではなくて、古典中国学・伝統中国の研究者の立場から本質的に分析し、「「阿Q」は死んだか」と問い続け、真の現代中国学の必要性を提唱する。

  • [ 内容 ]
    中国と言えば、これまで日本人は、格調高い中国古典に関心を抱き、伝統中国に郷愁を覚えるのが普通であり、現代中国や無数の愚民「阿Q」にはあまり関心がなかった。
    しかし好むと好まざるとにかかわらず、日本は現代中国と共生してゆかねばならない宿命にある。
    その現代中国を、表面的にではなくて、古典中国学・伝統中国の研究者の立場から本質的に分析し、「「阿Q」は死んだか」と問い続け、真の現代中国学の必要性を提唱する。

    [ 目次 ]
    序章 中国大陸と台湾と
    第1章 名実を読みこむ
    第2章 儒教を読みこむ
    第3章 資料を読みこむ
    第4章 人間を読みこむ

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著者プロフィール

1936年生まれ。京都大学文学部卒業。中国哲学専攻。文学博士。高野山大学助教授、名古屋大学助教授、大阪大学教授、同志社大学フェロー、立命館大学教授を歴任。現在、大阪大学名誉教授。主な著書に『論語 増補版』『孝経 全訳註』(講談社)、『儒教とは何か』(中央公論新社)、『沈黙の宗教-儒教』(筑摩書房)など多数。わが国における儒教研究者の第一人者である。

「2022年 『論語と冠婚葬祭 儒教と日本人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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