花が語る中国の心―美女・美酒・美食の饗宴 (中公新書)

著者 :
制作 : 王 敏 
  • 中央公論社
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本棚登録 : 21
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121014177

作品紹介・あらすじ

本書は花を主題とする詩歌を読み、故事を辿り、民間伝承を尋ねて、中国の花文化の深奥さを探る試みである。花料理のレシピ付。

感想・レビュー・書評

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  • 中国では、詩人が輩出した。なぜなのだろうか?
    日本では、和歌となって、ひとつの文化を創った。
    漢字のもつ奥深さ。音としてよんだ時の語感
    杜甫、白居易、李白・・
    文化大革命以後に、なぜ詩が生まれないのか?

    今回、不思議な本の感じをうけた。
    王敏さんは、一体何を言おうとしていたのだろうか?
    中国の求めているテーマが、「不老不死・健康」にまとめているが、
    このテーマは、ある意味では、皇帝達の希望かもしれない。
    庶民は、もっと違っていたのではないだろうか? 
     
    中国人が好きな花 (1987年;全国投票)
    梅、ボタン、菊、蘭、月季、杜鵑(ツツジ)、
    山茶(サザンカ)、蓮、桂花(キンモクセイ)、水仙。

    桃 は中国では、特別な意味を持っている。
    孫悟空が、修業の場の三星洞の裏山の爛桃山の桃を食べた。
    3000年に1度だけ実を付ける桃。仙桃という。
    孫悟空は、不老不死の生き方を手に入れた。 

    桃源郷 桃の花が咲き乱れる。理想の秘境。

    桃の発音は、「tao」 逃「tao」、刀「dao」
    魔よけの神木とされた。
    桃人、桃弓、桃印。

    菊の品種は、中国で、さまざまに改良された。
    そして、食事にした。
    「菊花茶」
    菊の効能は、解毒、腫毒、頭痛、高血圧、
    肝臓や腎臓にたまった熱を冷やす消熱作用、
    疲れ目、風邪に効く。

    晋の時代の葛洪は「抱朴子」で、仙薬を3つのランクに分けている。
    上薬 延寿の期待と神への近づきとして苦痛のない昇天へ誘う。
    秘薬中の秘薬。時には鬼神をも操作する能力をつけさせる。
    中薬 健康を保させる。
    下薬 病気を治させる。

    月にすむもの。
    嫦娥 不老不死の薬を飲んで、月に追放された。
    ヒキガエルが、月に住んでいる。

  • 花にまつわる様々な逸話や風習、人々が寄せた想いを辿っていく一冊。
    どちらかというとエッセイのような語り口で非常に読みやすい。
    面白かったのがその花を使うレシピを時折載せていることで、かの世界がぐっと身近に感じられた。

  • 中国文化と花の関わりがこれほど深いものとは。
    中国の文学、習慣、少数民族の伝説から日本の古典文学までが豊富に集められていて、読んで楽しい本だった。
    「百花料理」、花を使った中国料理のレシピが添えられているのも楽しい。

    第1話 百花盛宴
    さまざまな花の精を、中国では女性の仙女として捉えるらしい。
    それが百花仙子。
    思いのままに花を咲かせたい則天武后との戦いは、たくさんの書物に出ていることなのだろうか。

    第2話 桃美人の美容食
    西王母の仙桃は不老の力を持つ。神仙思想との結びつきが強い。
    それを孫悟空が人間界に「空輸」したとされる!
    不老不死のシンボルにして、女性のシンボルとして、中国文化でも思い意味を持つ桃。
    その音(tao)が、「逃」「刀」に通ずることから、桃で作った弓や人形、ほうきが魔よけの意味を持ち、やがて武将を描いた「桃符」を生み出したという。
    このつながりは想像だにしなかったことで、目からウロコの落ちる思いがした。

    第3話 桜嬢の渡日
    中国では、桜は実を楽しむための木なんだそうだ。
    花を愛でるのは、雲南省の少数民族のイ族。
    桜の花をめぐる伝説があるのだそうだ。
    桜の精「ミール」が土地の権力者に嫁がされ、自殺する。
    彼女に恋をしていた青年が後を追い、その血で桜は赤く染まったという伝説だ。

    第4話 菊君子の隠逸
    易学では、一桁の奇数で最も大きく、一桁の奇数である一、三、五を足して得られる「九」を特別な「陽数」として珍重する。
    その「九」が二つ重なるから、九月九日は重陽の節句。
    登高や菊華酒の習俗が紹介されている。
    菊は老境の美の象徴であり、敬老思想と深く結びついているとか。
    他に、菊と並ぶ隠逸の花として、蓮のことも触れられていた。

    第5話 桂花婦人の色香
    「桂花」は金木犀。
    月の精嫦娥に恋をして、天上界の「天蓬元帥」から豚に変化されられたのが猪八戒!
    嫦娥の夫は、弓の名人、羿(げい)。
    堯帝の時代、十個の太陽を射落とした伝説の名手だが・・・
    嫦娥には西王母の不老不死の薬を盗んだという伝説もあり、月へ追放されたとか。
    嫦娥は罰として醜い蟾蜍(せんじょ)に姿を変えられたとも。
    月には蛙と兎がいるとするのが、中国の民間伝承。
    月で兎の姿になった嫦娥が、償いとして同じ薬を作ろうと薬をついている・・・というのもあるんだそうだ。
    これまで切れ端として知っていた話が、つながってびっくりだ。

  • 読み物としては面白いのですが、憶測が多いので資料としてはあまりオススメできません。物知りな人と飲みの席で雑談してるような感じ。
    この本のユニークなところは、花を使った料理レシピを実際に紹介してくれること。

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著者プロフィール

1954年中国・河北省承徳市生まれ。大連外国語大学日本語学部卒業、四川外国語学院大学院修了。宮沢賢治研究から日本研究へ、日中の比較文化研究から東アジアにおける文化関係の研究に進む。人文科学博士(お茶の水女子大学)。法政大学教授、上海同済大学客員教授。早稲田大学や関西大学などの客員教授を歴任。「文化外交を推進する総理懇談会」や「国際文化交流推進会議有識者会合」など委員も経験。現在、日本ペンクラブ国際委員、かめのり財団理事、朝日新聞アジアフェロー世話人など。
90年に中国優秀翻訳賞、92年に山崎賞、97年に岩手日報文学賞賢治賞を受賞。2009年に文化庁長官表彰。
主著:『日本と中国 相互誤解の構造』(中公新書)、『日中2000年の不理解─異なる文化「基層」を探る』(朝日新書)、『謝々! 宮沢賢治』(朝日文庫)、『宮沢賢治、中国に翔る想い』(岩波書店)、『宮沢賢治と中国』(国際言語文化振興財団)、『日中比較・生活文化考』(原人舎)、『中国人の愛国心─日本人とは違う5つの思考回路』(PHP新書)、『ほんとうは日本に憧れる中国人─「反日感情」の深層分析』(PHP新書)、『花が語る中国の心』(中公新書)など。
共著:『<意>の文化と<情>の文化』(中公叢書)、『君子の交わり 小人の交わり』(中公新書)、『中国シンボル・イメージ図典』(東京堂出版)、『中国人の日本観』(三和書籍)、『日中文化の交差点』(三和書籍)など。
要訳:『西遊記』、『三国志』、『紅楼夢』など
中国語作品:『生活中的日本─解読中日文化之差異』、『宮沢賢治傑作選』、『宮沢賢治童話選』、『異文化理解』など多数。

「2015年 『周恩来たちの日本留学 百年後の考察』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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