物語ラテン・アメリカの歴史: 未来の大陸 (中公新書 1437)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121014375

作品紹介・あらすじ

かつては高度の神殿文化を生み出しながら、16世紀以来ラテン・アメリカは常に外部の世界に従属してきた。スペイン、ポルトガルの征服と植民地支配、イギリスはじめ列強の経済的支配、アメリカの政治的影響。独立後も独裁制から民主制へ、統制経済から自由経済へと激動が続く。ラテン・アメリカ諸国は共通の文化的伝統を基盤に、いかに苦悩の歴史と訣別し、自立と自己表現を達成するか。恐竜の時代から現代まで、長大なタイムスケールで描く。

感想・レビュー・書評

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  • 2019.02―読了

  • 1998年出版,古代から戦後までのラテンアメリカの歴史について,世界史の教科書+αくらいの記述。

  • ラテンアメリカの歴史を、古くは古代から説明する書籍。
    各テーマは新書なので簡潔だが、当然学校教育で学ぶ以上の知識と洞察の深みがあった。

    近代・現代のラテンアメリカ諸国の政治について、共通点とその原因、また変化の動向を知ることができた。

  • 人の歴史よりはるか前、大陸プレートからはじまる斬新さ。

  • MYa

  • ラテン・アメリカとは?
    プロローグ 新世界
    恐竜とゴンドワナ大陸
    アメリカ大陸の成立
    動物相と陸橋
    ヒトの登場
    1 古代アメリカ人の世界
    農耕の成立
    神殿から文明がはじまる
    征服者の見たアステカの大都市
    インカ帝国の首都クスコ
    2 侵入者
    「一の章」の年
    白い人間たちの正体
    ビラコチャの国
    王と征服者たち
    3 事業家としての征服者
    探検と征服の経費
    事業家コルテス
    ピサロ兄弟の運命
    4 イベロアメリカの成立
    ふたつの副王領
    植民地時代の特質
    太平洋
    5 十六世紀の変動
    疫病と人口減少
    王室に対するあいつぐ反逆
    千年王国の待望
    アラウコ族の抵抗
    6 成熟する植民地社会
    産業の発展
    クリオーヨ階層の出現
    アフリカ人の反乱
    ヨーロッパ人たちの侵入
    7 反乱の世紀
    ボルボンの改革
    首長たちの反乱
    貿易独占体制の崩壊
    8 自由な空間を求めて
    イギリスの攻勢
    ブラジル帝国の独立
    南アメリカの独立
    メキシコの独立
    独立運動の性格
    9 開かれた空間における独立と従属
    カウディーヨの時代
    輸出大成長時代の開始
    輸出ブーム時代の政治
    10 二〇世紀のラテン・アメリカ
    北の巨人の支配
    大衆に顔を向けた政治
    第二次大戦と戦後
    ラテン・アメリカの未来

  • ラテンアメリカをほぼ知らない私が後学のために図書館で借りる。
    読みやすく、勉強になる。

  • アメリカに生活していると中南米の国々との関係を日々意識せざるを得ない。政治、文化等に大きな影響を及ぼしているし、その影響力は益々大きくなることは間違いない。
    一方でその歴史、国の成り立ち、個々の文化等、知らないことが多いことに改めて気付かされる。
    本著は中南米の歴史を古代から現代へ広く薄く解説しているもので、全体の歴史の流れを知るには参考になった。
    然しながら、全体の大きな流れを重視しているが故に、個々の国の成り立ちや、そのアイデンティに関しては、物足りなさがあり、これはもう少し国別の歴史を追うしかないのだろう。
    単純にスペイン、ポルトガルの旧植民地、という扱いではなく、イギリス、アメリカの影響、また、独自な文化との融合等、興味は尽きない。

    以下引用~
    中南米の歴史のステージ
    1.アジアから渡米した民族が、南北アメリカの各地に定着して、他の文化圏からの影響をほどんどうけず、自力で国有の文化を創造した時代。
    2.1492年のコロンブスの渡米にはじまり、アメリカ大陸の大部分が、スペインとポルトガルの政治支配下に入り、その強烈な影響のもとに、ラテン・アメリカ文化の形成がはじまった時代。イベリア両国は、経済的にも他国を排除して、アメリカ植民地との通交を独占しようとした。この体制は、原則的に19世紀初めまで、約300年間続いた。
    3.17世紀以降、カリブ海を中心に侵入をかさね、イベリア両国の独占体制を崩そうとしてきたヨーロッパ列強、特にイギリスの勢力を背景に、ラテン・アメリカ各地で独立国が成立した19世紀はじめから現在までの時代。これは大きくわけて、イギリスの経済的支配が強かった19世紀はじめから第一次大戦までと、アメリカ合衆国の影響が決定的になったそれ以降の時代、を区別することができる。

  • 1571年マニラ市を建設した・・・日本人の渡航もはじまり、17世紀はじめまでにマニラ市に人口2000の日本人町が成立していたという。
    そこに中国人が渡ってきてスペイン人と商売を始めた。
    絹、陶磁器、象牙細工などのためにスペイン人はメキシコから銀を輸入し始める。
    ちょうどこの時期に日本人がペルーの首都リマに渡っていた証拠がある、
    徳川家康はメキシコとの通商を強く望んで、20人の商人団をメキシコに派遣したことがある。
    西回り、ポルトガル領経由でポルトガルやブラジルに渡った日本人がかなりいたこともわかっている。

    各国とも、アメリカ合衆国の憲法にまなび、またヨーロッパのナポレオン奉天を模範としながら、法体系をつくり、いずれの国でも、主権在民、三権分立、直接選挙による大統領制、基本的人権の保障などを謳ったりっぱな憲法がさだめられた。しかし、このりっぱな法が運用される現実は、それとはまったく別世界であった。
    独立直後の旧スペイン領中南米各国の政治的不安定は、交付された憲法の数の多さによく反映されている。
    20世紀のラテン・アメリカの一大特徴は、それがアメリカ合衆国の完全な経済的影響下にはいった、ということである。

  • ラテンアメリカの歴史を理解するのに最適な一冊です。
    素晴らしい。
    遠く恐竜の時代から始まり、20世紀までを10章かけて回想する。
    コンパクトなのに内容が濃厚、しかも、文章が簡潔で分かりやすい。

    星マイナス一つなのは、発行されたのが1998年で、内容が若干古いため。
    最近の動向は、別途追う必要がある。

    しかし、それでも、現在もラテンアメリカが抱える課題や人々に根付く様々な習慣や感情などがとてもよく理解できる。

    前半の1章から5章までで、ヨーロッパ人たちが大陸にやってきて各地方を制圧した16世紀までが見渡せる。

    歴史的事実なのだろうが、ややヨーロッパ人に否定的な書き方をしている印象を受けた。
    確かに我々のような第三者からすると、ヨーロッパ人たちが「一神教のキリスト教を押しつけた」のだが、ラテンアメリカでは今でも「キリスト教を教えてくださった」という風潮がある。
    私が見た現地の教科書では、ヨーロッパ人の「征服者」はあまり好ましく描かれていないのに、「宣教師」はかなり好意的に描かれていた。

    それにしても、金(きん)の求心力って恐ろしい。
    スペイン人とポルトガル人の新大陸征服の原動力となった、金銀。
    命かけてまで突き進み闘う戦士たち。

    ヨーロッパ本国では、金持ち以外は恵まれない生活を強いられていた時代背景もあるのかもしれない。

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著者プロフィール

増田義郎 ますだ よしお
1928年、東京生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学名誉教授。専門は文化人類学、イベリアおよびイベロアメリカ文化史。『大航海時代叢書』(全42巻 岩波書店)の刊行を推進。主な著書に『インカ帝国探検記』『黄金の世界史』『太平洋』など。訳書に講談社学術文庫『西太平洋の遠洋航海者』(B.マリノフスキ著)のほか、『ワルツへの招待』(ロザモンド・レーマン著)、『片隅の人生』(サマセット・モーム著)などがある。2016年没。


「2020年 『アステカとインカ 黄金帝国の滅亡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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