コミュニケーション論: 愛と不信をめぐるいくつかの考察 (中公新書 1470)
- 中央公論新社 (1999年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121014702
作品紹介・あらすじ
時代を反映するポップスの歌詞やマンガに着想を得て、ポップ文化にひそむ思想性を、G・H・ミードやH・S・サリヴァンの理論により摘出する。1960年代以降の大衆文化が秘めていた可能性を、90年代の文脈から再検討し、新世紀のコミュニケーション秩序のありうべき姿を、情感にとんだ記述をとおして描き出す。何も押しつけず、何も否定しない。時代の最後列から「乗り遅れた世代」のひとりが送る相互理解のメッセージ。
感想・レビュー・書評
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正常な精神をもっている人間は狂気になる権利を有している。その権利を有しているからこそ健全な精神をもっているといえるのでは―という一文が鮮烈に頭に残る。枝葉的な所で本書のテーマとはそこまでかかわりの無いところなのだが。
フィリップ.K.ディックが出発点のコミュニケーション論というだけでも興味がわく。著者はコミュニケーションを媒介するのは言葉や行動だけではなく、物すなわち人間が生み出した物須らく総てがコミュニケーションの媒体になると説く。親しみやすい砕けた文章は羊の皮とでもいうようにかなり深慮に溢れた考察が続く。いつの日か再読を。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
¥105
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私とあなた。真のコミュニケーションは成立するのか。私はこれを読んで思った。<BR>「人間は孤立を恐れるので、多数派の意見に同調しようとする強い同調傾向を示します。」(P.115)<BR>このような傾向は意外にあります。人とコミュニケーションをする際には、同調する事はとても大事です。同調しないと、人は孤立してしまいます。当然、人は孤独になると生きていけない人が多いでしょう。それを逃れるためには同調するしかないのです。しかし同調するばかりでは、自分が見えなくなります。つまり、私が考えるのは、同調できる人はコミュニケーションが上手い。しかし、それだけだと「本当の自分」が見えてこない可能性があるということです。