江戸のナポレオン伝説―西洋英雄伝はどう読まれたか (中公新書)

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  • 中央公論新社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121014955

作品紹介・あらすじ

北からも南からも出没する異国船。海の外がどうも騒がしい。そう直感した蘭学者たちの前には、「鎖国」という厚い壁が立ち塞がっていた。その頃世界は一人の風雲児によって激動の嵐に巻き込まれており、日本近海の動揺もその余波であった。"震源地"ナポレオンの事績に関心を持ち、伝記を訳述、紹介した小関三英は、蛮社の獄直前に自刃。しかし、彼が開いた西洋偉人研究は兵法研究へと広がる一方、幕末の志士たちの精神的な糧となった。

感想・レビュー・書評

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  •  幕末維新期の大物には,意外にもナポレオンから影響を受けた人が多い。情報源が布教の恐れなしのオランダ・中国に限られていた江戸時代,人々はこの風雲児についてどのように知識を得たのか探っていく。
     カトリックのフランスに支配されたオランダが,貿易打ち切りを恐れ情報を隠したため,はじめて日本人がナポレオンを知るのは彼が落ち目になってからのことだった。

  • 1999年刊。著者は明海大学専任講師。◆1804年ナポレオン皇帝就任。当時、日本は将軍徳川家斉期。また松平定信失脚から10年の経過。一方、同年に露レザノフの長崎来航、08年、英フェートン号事件の勃発など、欧州激震というべきナポレオン帝政成立が、日本近海にも波及していたのだろう。蘭が仏支配下にあったため、阿蘭陀風説書の内容に疑義が生まれ、幕府は多様な情報を獲得しようとしていたが、その内実が語られる。ただし、これに気づいたのは既にナポレオン失脚期の1813年。幕府の取得情報源の限定の弊害も本書では示される。
    ◆なお、庶民から皇帝にのし上がったナポレオンの存在が、幕末、吉田松陰の尊王攘夷(倒幕的な発想も)に示唆を与えたという本書の指摘は、尊王志士らの想念、その基盤を象徴するかのようだ。

  • 考えたことのない視点だった。そういえば、幕末ものでときどき「奈翁」が出てくるとは思っていたので、江戸時代の人にも、同時代の英雄譚として知られているのだろうとは思ってはいたけど。

    しかし、フランス革命抜きでナポレオンを知っても、「今の時代にも三国志みたいなことがあるのか」ということにしかならないだろうし、フランス革命のあたりの近代的社会を江戸時代人がどう認識したのかということに考えが及ぶけど、そこまではこの本では追えなかった。

    もっというと、「維新の元勲」は、けっこうあっさりと台湾出兵とか征韓論に走るわけだが、それとの連続性も見たかったな。

    個人的な趣味なのだけど、私は幕末を英雄サーガにするのが好きではないので(「日本の夜明けぜよ!」ってノリは好きじゃない)、幕末の相対化として、文化文政頃のことをもっとちゃんと知るというのは、したほうがいいんかなと思う。

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